日本経済の行方 | ある女子大講師

日本経済の行方

日本経済の行方

1.日経平均株価が史上初の4万円を記録し、長く続いたデフレからの脱却が秒読みと言われる日本。今春は2年連続で大幅の賃上げが期待される企業が多く、6月には政府による定額減税もある。GDPの半分以上を占める個人消費が上向き、我が国が活況を取り戻す好機を迎える。米国では直近3四半期連続でHVの販売台数がEVを上回った。23年10~12月に至っては、トヨタ自動車の米国でのHVの販売台数がテスラのEVを逆転。日本経済の行方は『トヨタ』が鍵を握る」。

 

2.2023年は30年ぶりの高い賃上げ率となったが、実質賃金は物価上昇に追いつかず前年比2.5%減と1900年以降で最低水準を記録。だが、今春に2年連続での大幅な賃上げが実施され、6月の定額減税も加われば日本経済が上向いていく。日銀は1月の「経済・物価情勢の展望」の中で、「所得から支出への前向きの循環メカニズムが徐々に強まるもとで、潜在成長率を上回る成長を続ける」との見通し。

 

3.日本経済の浮沈をトヨタが握っているのかと言えば、単に連結で37万人超の従業員を抱えているからではない。その業績の行方が1つの目安だ。最新の世界時価総額ランキングを見ると、上位50社に日本企業が入っているのはトヨタだけ。バブル期の1989年では、約30社。トヨタの「今」は決して悪くない。グループ企業の不正に悩まされるものの、世界で6割のシェアを誇るハイブリッド車(HEV)を中心に好調だ。欧米で電気自動車(EV)の需要は鈍化傾向にあるが、トヨタはHEVやプラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池自動車(FCEV)など全方位の戦略を描いてきた。今年1月に開催された「東京オートサロン2024」で、トヨタの豊田会長は新たにエンジン開発プロジェクトを立ち上げると表明し、EV化が進行していったとしても、エンジン車は残り続ける。

 

4.予測によると、HEVの世界市場は2035年に2022年の421万台から1176万台に、PHEVは同276万台から650万台に増加する見通しだ。調査会社マークラインズによると、HEVは主要国での販売台数が2023年に前年比30%増となり、EVを上回る。1997年に世界初の量産ハイブリッド車として「プリウス」を登場させたトヨタには、豊富な経験とノウハウがある。HEVは「トヨタ1強」といわれ、エンジンとモーターの2つの駆動方式を効果的に使い分けることで低燃費や乗り心地の良さを実現している。環境性能に優れ、米国での販売も勢いを見せる。

 

5.EV失速を受けてビッグスリーはHEV開発に転換する。「日の丸」のHEVが売れている現状に焦りは隠せない。EVが失速し、日本勢に強みがあるHEVが復活するのは日本経済にとって朗報。円安による業績好調といった点も否めないが、自動車産業は裾野が広い。政府による猛烈な支援策で日本でも半導体の熱が高まっているが、やはり日本を代表する企業はトヨタだ。その浮沈は人々の「気」にも多大な影響を与える。「研究と創造に心を致し、常に時流に先んずべし」。トヨタの経営の核と位置づけられる「豊田綱領」には、トヨタグループ創始者である豊田佐吉氏の考えが並ぶ。創業以来受け継がれてきた精神は、変革期をリードし、実体経済への好影響につながるのか。トヨタをはじめとする「日の丸勢」の行方に注目していきたい。

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