自民党内で「積極財政派vs緊縮財政派」のバトル | ある女子大講師

自民党内で「積極財政派vs緊縮財政派」のバトル

自民党内で「積極財政派vs緊縮財政派」のバトル

1.自民党派閥のパーティー収入不記載事件を受け、積極財政派の議員が多かった安倍派(清和政策研究会)の解散が決まり、緊縮財政派の存在感が高まっていた。ところが、ここに来て積極財政派を牽引した安倍元首相の「遺志」を継いだ議員らが、日本経済を成長させるために再び動き始めた。財務省の影響力が強い「増税・負担増」路線の岸田政権と、どう対峙するのか。須田慎一郎氏が「金融コンフィデンシャル」で、経済財政運営の指針「骨太の方針」をめぐる両派の熾烈な戦いをリポートする。

 

2.自民党内の「財政バトル」再燃「渡海紀三朗政調会長に直談判しまして、何とか『財政政策検討本部』を再起動させることが認められました。これでようやく自民党内に、積極財政派の拠点を築くことができたわけです」。この検討本部は政調会長直属の組織で、安倍元首相の肝煎りで設置されたもの。本部長に西田昌司参院議員、幹事長に城内実衆院議員という陣容を見ても、ここが自民党内において積極財政派の牙城となっていることは明らかだ。ところが、自民党派閥のパーティー収入不記載事件で政調会長が安倍派の萩生田光一氏から無派閥の渡海氏に交代するという混乱もあって、事実上、その活動を停止させていた。渡海政調会長は必ずしも積極財政派とはいえない存在だが、その渡海氏が検討本部の活動再開を認めたのである。同検討本部の執行部に名前を連ねる有力国会議員がこう言う。ほとんどの大マスコミは、まだこの動きに気がついていないようだが、その意味するところは極めて大きい。

 

3.日本経済浮沈かかる「骨太の方針」こうした動きと連動する形で、先週に積極財政議連(責任ある積極財政を推進する議員連盟)が、渡海政調会長に対して「討議資料」という位置付けの文書を提出した。この面談には、中村裕之、谷川とむ両共同代表以下、8人の所属議員が同席し、渡海政調会長に対してこれまでの同議連の活動内容や経済、財政に対する基本認識が説明されたという。見方によってはかなり刺激的、挑発的な内容となっている。例えば、前述の「討議資料」なるペーパーだが、その冒頭には以下のようなくだりが出てくる。「2015年の骨太の方針以来、非社会保障費は『3年間で1000億円』という歳出キャップがはめられており、日本の経済成長を妨げていること(以下略)」ここで言う「骨太の方針」とは、正式名称を「経済財政運営と改革の基本方針」と言い、予算編成作業の出発点とも言える概算要求基準(予算の上限)を策定する前に、予算編成の基本方針として決定される。実は、財務省はその骨太の方針の中に「非社保障費の純増は、3年間で1000億円以内」という3年縛りを、それとは分からないような形でひそかに潜り込ませていた。この縛りによって、例えば教育無償化の拡充、国土強靭化といった政策を進めようとしても、政策的選択の幅が全くなくなった。

 

4.「そのことに気付いたのは、22年のこと。党内でも大問題になったが、財務省が必死になって巻き返して、その縛りが24年まで続けられることになった」(谷川共同代表)その結果、日本経済の成長は大きく妨げられることになってしまった。その「3年縛り」が有効なのは、24年度まで。従って25年度予算編成の前提となり、今年6月にも策定される「骨太の方針2024」が極めて重要になってくる。積極財政派は、前述のペーパーを通じて、真っ向から財務省に喧嘩を売ったといっていい。もちろん財務省サイドも、自民党内の緊縮財政派を総動員して、積極財政派を迎え撃つ体勢に入っている。果たしてこのバトル、どちらが勝利を収めるのか。その結果に日本経済の浮沈はかかっている。(ジャーナリスト・須田慎一郎)

そもそも90年代以降緊縮と増税で日本経済は凋落し日本の国力が大幅に低下したのは完全に確定した歴史的事実なのだ。いまだに緊縮を唱える連中は何を考えていんだ。もはやこれは緊縮と反緊縮の戦いなどではなく、売国と愛国の戦いだ。