日本、国家ブランド指数で初の世界トップ | ある女子大講師

日本、国家ブランド指数で初の世界トップ

日本、国家ブランド指数で初の世界トップ

1.この記事の3つのポイント

①2023年、日本のブランド指数が世界総合トップになった

②米国、ドイツ以外の国がトップになるのは初めて

③「この国がグローバルな経済リーダーだと思う」も総合2位

 

2.2023年11月、フランスの調査会社イプソスは、2023年アンホルト・イプソス国家ブランド指数(NBI)を発表した。NBIは、観光客、学者、投資家など幅広い人々にとって魅力的な国家ブランドとは何かを測定する方法について、専門家らの間で注目が高まっていることと相関している。

 

3.国家ブランドとは、その国の知名度を表す別の言い方に過ぎない。特定の企業や人に良い評判や悪い評判があるように、国にも良い評判や悪い評判がある。そして、人や企業と同じように、その評判は上がったり下がったりする。常に監視が必要なダイナミックな指標なのだ。そして日本は幸いにして、国家ブランドの将来性がかつてないほど高まっている。

 

4.NBIが18年前に開始されて以来初めて、非西洋諸国である日本がこのランキングで、60カ国中トップに立った。この指標によれば日本は地球上で最も称賛される国であり、アジアの世紀と呼ばれている潮流をさらに強める存在だ。トップ10には、ドイツ、カナダ、英国、イタリア、米国、スイス、フランス、オーストラリア、スウェーデンがランクインしている。

 

5.日本は、NBIで毎年じわじわと順位を高めてきた。7位以下になったことは一度もないし、ドイツと米国以外で首位に躍り出た唯一の国でもある。強気な経済見通しと日本に対する積極的な対外投資の動向がしばしばメディアのトップニュースになる米国の投資家、ウォーレン・バフェット氏は言う。「名声を築くには20年かかるのに、台無しになるのはたった5分。それを考えれば、もっと違う行動ができるはずだ」。

 

6.日本は20世紀、日本固有の事情もあって、常に(他国とは)少し違った行動を取れてきた。NBIでは、日本は輸出指数で最も強く、科学技術への貢献、場の創造性、そして製品の魅力で1位だ。「人と観光」指数では、日本は活気ある都市として高い評価を得ている。初めて日本を訪れる人であれば、今も伝統が息づく日本の地方にも興味をそそられるかもしれない。

 

日本の総合ランキング1位は、国の評判に影響を与える以下2つの共通の関心属性で1位を獲得したことと大いに関係がある。それは、「私はこの国で製造された製品を信頼している」「この場所は他のどの場所とも異なっている」である。

 

7.この2つの属性は、日本に住む私たちにとって驚きではない。製品への信頼だけでなく、人間関係にも信頼がある。筆者は、人前で面目を保つことに対する信頼は、「他のどこにもない」日本の文化的側面だと考える。信頼に報いることが少なくなった国から来た私たち米国人にとっては、国の宝なのだ。

 

8.「日本は世界経済のリーダーである」

日本は、「私はこの国がグローバルな経済リーダーだと思う」という項目で総合2位となった。私たちは、日本が国内総生産(GDP)だけでなく、包括的・先進的環太平洋経済連携協定(CPTPP)を通じた貿易や日米豪印4カ国の協力枠組み「Quad(クアッド)」を通じた同盟関係において、地域的・国際的なリーダーシップを発揮し、経済成長を遂げていることを目の当たりにしてきた。

 

9.表だった話題にはならないものの、大口のインフラプロジェクトにおける日本のリーダーシップは、中国の取り組みにバランスをもたらしていると高く評価されている。このことを米ブルッキングス研究所の研究者ミレヤ・ソリス氏は新著の中で、「日本の静かなるリーダーシップ」と呼んでいる。

「かつて日本は経済的なルール作りに消極的で、地域の政治的役割を軽視していたが、今日、東京はインド太平洋における経済・安全保障協力の新たな構造において重要な立役者となっている」(ソリス氏)

 

10.日本に期待される静かなリーダーシップ

国家ブランディングにおいても、日本の静かなリーダーシップは成果を上げている。多くの国は、良い評判を得るために多大な投資をしているが、日本が時間をかけて静かに着実に成長して得てきたようなリターンを得ることはできない。恐らく日本は、これまでと同じように、しかしもう少し国家的な関与をもって評判への投資をし続ける必要があるだろう。

例えば、もし筆者が外務省や経済産業省にいたら、中小企業との関わりをさらに拡大し、手作りのメイド・イン・ジャパン製品をもっと増やすだろう。すでに日本は他のどことも違うと見なしている人たちは、その特別な場所を思い起こさせる特別なものに投資したがる。日本に住むことができなくても、「日本」を持ち帰ることができるからだ。

 

11.かつてゆりかごから墓場まで従業員の面倒を見ていた日本の雇用が劇的に変化しているが、クリエーティブ系の産業は、この変化と歩みを合わせていけるだろう。若い人たちは今や、一つの会社に一生、雇用されることを望んでいない。彼らは、個人的に意義が感じられ、かつひらめきを刺激するものに関わることで貢献し、社会に足跡を残すことを望んでいる。

 

12.評判の良い国ほど投資しやすい

名刺交換だけでなく、若い文化的クリエーターを集めてアイデアを交換し合う交流の場所をもっと増やすべきだ。「アウトサイドイン」の哲学を用い、(東京のような)メガシティーから地方に移り住んだ人々の参加を促すのである。要するに、評判の良い国ほど投資しやすい国だということだ。外国人投資家は安定性と信頼性のある場所を好むと同時に、より高い投資収益率も好む。これこそが今最も重要なことだ。24年の国際情勢を考えてみよう。世界では、民主主義社会の衰退が加速し、戦争が激化して、恐怖と不安が拡大している。将来の不確実性が高まっているにもかかわらず、世界各国から日本への渡航意欲は19年に過去最高を記録した。日本が国家ブランドナンバーワンの地位を声高に吹聴するとは思わない。地元のレストラン経営者がミシュラン・ガイドへの掲載を断ることで知られる国、それが日本なのだ。このような特別な場所が尊敬に値するランキングの評価を得た今、日本に憧れる人々だけでなく、日本に住むという特権を持つ人々も一緒になって、物静かで安定感あるリーダーを育むべきである。

、「国家ブランド、 日本がトップ 前年 2 1 順位 国名 1 日本 2 ドイツ 3 カナダ 4 英国 5 イタリア 6 米国 7 スイス 8 フランス 9 オーストラリア 10 スウェーデン (出所) アンホルト ・イプソス国家ブランド指数 (NBI) 3 6 4 8 7 5 10 9」というテキストの画像のようです