トヨタグループで多発する問題 | ある女子大講師

トヨタグループで多発する問題

トヨタグループで多発する問題

1.ここ数年、日本の自動車関連企業で不正や品質問題が後を絶たない。直近ではダイハツ工業や豊田自動織機の不正問題の範囲が拡大し、消費者にも影響が広がっている。2020年以降に判明した主な自動車関連の不正・品質問題を表にまとめた。まず目を引くのが、トヨタ自動車グループの不正が多いことだ。2021年から2023年までで、トヨタグループの企業が公表した不正は5件に及ぶ。2021年に判明したトヨタ・レクサス販売店の車検不正に始まり、2022年には日野自動車のエンジン不正、2023年には豊田自動織機のエンジン不正とダイハツ工業の一連の不正、愛知製鋼の特殊鋼における公差外れが明らかになった。

 

2.グループ会社で不正が続く事態を受け、トヨタは2024年2月14日に予定していた「グループビジョン」の発表を同年1月30日に前倒しした。同日の説明会には、トヨタ会長の豊田章男氏が「トヨタグループの責任者」(同氏)として登壇。日野自とダイハツ、豊田自動織機の3社の不正について謝罪した。相次ぐエンジン不正の対象としては、エンジン関連が目立つ。日野自とダイハツ、豊田自動織機はいずれも開発するエンジンの認証試験において不正に手を染めていた。一時的なものも含め、多くの搭載車種が出荷停止に追い込まれた。3社の認証不正について、豊田氏は「販売してはいけない商品を顧客に届けた。絶対にやってはいけないことをした。顧客の信頼を裏切り、認証制度の根底を揺るがす極めて重いことだ。顧客の信頼を取り戻すのは時間がかかる」との認識を示した。

 

3.トヨタ自動車は2024年1月30日、トヨタグループ17社が進むべき方向を示した新たなビジョン(以下、新グループビジョン)を発表した。当初は同グループの創始者である豊田佐吉氏の誕生日に合わせて、同年2月14日に発表する予定だったが、グループ会社で不正行為が続いていることなどを勘案して予定を早めた。トヨタグループが共同運営するトヨタ産業技術記念館(名古屋市)で1月30日に開いた会見においてトヨタ会長の豊田章男氏は、「日野自動車やダイハツ工業、豊田自動織機で不正が続いていることの背景には、トヨタグループ創業の原点を見失ったことがある。これが最大の問題だ。すべてのステークホルダーに迷惑と心配をかけていることについて深くおわびする」と謝罪した。

 

4.そのうえで、「不正の芽を早めにつぶしていくことが重要だ。今回のビジョンはそのための指針でもある。これまでと同様に、今後も主権を現場と商品に置き、グループのガバナンス(企業統治)責任者として不正を出さない風土づくりに取り組んでいく」と宣言した。

ダイハツなど3社の不正行為について豊田氏は、「共通しているのは、安全や環境に関わる認証試験で不正が行われたこと。生産してはいけないクルマを造り、販売してきた」と指摘した。

3社の再生については、「会社を作りなおす覚悟で取り組む必要がある。各社の強みを生かし、この会社に在籍してよかったと社員に思ってもらえるような変革の道を探っていく」と述べた。ただ、3社の経営陣や自身を含むトヨタ経営陣の進退などの責任問題には触れなかった。

なお、トヨタが1月30日に発表した新グループビジョン「次の道を発明しよう」では、従業員1人ひとりが持つべき心構えを示した。具体的には(1)誰かを思い、力を尽くそう、(2)仲間を信じ、支えあおう、(3)技を磨き、より良くしよう、(4)誠実を貫き、正しくつくろう、(5)対話を重ね、みんなで動こう──の5点である。

以下、

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/08849/?P=2

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