日本国のバランスシート | ある女子大講師

日本国のバランスシート

日本国のバランスシート

1.正しい日本国家(日本政府と日銀)のバランスシート。データは普通に日銀の「資金循環統計」に掲載されているので、誰でも同じ図を作れる。図1に、日本政府(中央政府)のバランスシートを示す。日本政府は貸方の負債が借方の資産をはるかに上回る、債務超過(純負債)状態にあるが、これで良いのだ。政府の債務超過が874兆円で、政府の負債のメインは国債・財投債と国庫短期証券。「国の借金で」と騒がれているのは、この二つの勘定項目。借方の資産として「対外証券投資」を計上したが、これが外貨準備。

 

2.次に、図2に日本銀行のバランスシートを示す。現金(現金紙幣)と日銀当座預金が貸方に負債計上。同時に、国債・財投債が574兆円と借方に巨額計上されている。この国債・財投債(及び国庫短期証券)が、「親会社」の日本政府に貸している形になっているため、連結決算で相殺される部分だ。連結決算とは「親会社と子会社のおカネの貸し借りは相殺される」「親会社と子会社間の利払いは相殺される」という会計ルール。日銀は、借方(資産)サイドが貸方の負債を上回っているため、34.6兆円の純資産状態にある。連結決済すると、この日銀の純資産が中央政府の純負債と相殺され、中央政府の純負債が減る。

 

3.図3が日本国家の統合(連結)バランスシート。日銀が借方に保有している国債が、政府の貸方の国債と相殺され、消滅する。残る国債は400兆円弱。同時に、日本政府の純負債(債務超過)額が34.6兆円減り、約840兆円に減少する。もっとも、統合政府の債務超過分、日本の民間(特に家計)に純資産が産まれている。というわけで、「誰かの純負債=誰かの純資産」である以上、政府の債務超過は何の問題もない。というよりも、債務超過は拡大しなければならない。さもなければ、我々の純資産が増えない。

 

4.ところが、例の「単方向の思考」により、「債務超過、大変だ」と、「誰かが債務超過になっているとき、誰かが純資産になっている」という当たり前のことを理解できずに騙される人が出てくる。バランスシート(BS)は借方と貸方が同額にならなければならないし、徴税権といった勘定項目は存在しないし、政府が債務超過を増やせば、国民の純資産が増えるし、国家のBSは別に特殊技術が無くても、日銀の資金循環統計から簡単に作れる。左右がバランスしないバランスシートはない。

(参考:三橋貴明氏の説明資料)