蜻蛉日記の概要
蜻蛉日記の概要
1.平安時代中期、大陸文化に憧れていた日本だが、独自の文化を見直そうと仮名文字の使用が広まるようになっていた。丸みを帯びた仮名はとくに女性のイメージに近く、女流の日記に続々と使われるようになる。その最初の作品とわれているのが「蜻蛉日記」。作者は藤原道綱の母、名前は明らかになっていない。上中下の3巻からなり、主な登場人物は作者本人とその夫、藤原兼家。作者は文才と歌才に優れているだけでなく、才色兼備で男性からの人気もかなり高かった。自分に惚れた男の滑稽さを静かに笑いながらも、そのな中でもっとも熱心だった兼家と結婚した。ところが、彼はどうしようもない浮気者。やがて作者は、家に帰らなくなった夫への嫉妬や、愛人女性に対する怒り、それでも変わらぬ息子への愛などを募らせていく。夫婦と家族の物語を和歌で綴る、女流日記文学の最高峰、それが蜻蛉日記。
2.蜻蛉日記 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)2002.01.01。現代語訳を中心に書かれているので、専門的な古典の文法知識などは必要ない。現代文学を読むような感覚で、登場人物たちに感情移入できる。古典の世界への入口となるビギナー本としては外せない。古典はあまりにも時代を遡るため、リアリティという面をカバーしきれない部分が多い。漫画であれば、想像と同時に視覚的情報を補うことができるので、臨場感を持って、その時代への脳内タイムトラベルが可能だ。
3.更級日記 (ホーム社漫画文庫―NHKまんがで読む古典 (特5-2))2006.03.01 羽崎 やすみ , 菅原孝標女 , 藤原道綱母
古典を学ぶ受験生などにも定評がある。少女コミックのような美しい装丁の本書は、気楽に色恋の物語に浸りながら同時に古典を学ぶことができる。
4.わたしの蜻蛉日記 (集英社文庫)2012.11.20
瀬戸内 寂聴 集英社
作家として、元住職として、また人生相談のエキスパートとして有名なのが瀬戸内寂聴。寂聴が完訳した「源氏物語」は一時期古典のブームを巻き起こした。蜻蛉日記は源氏物語に繋がる部分も大変多い作品。男女の人生物語のプロともいえる寂聴が解説する本書は、あなたの共感をより深め、わからない部分を掘り下げ、そして蜻蛉日記の新しい楽しみ方を教えてくれる。男女関係に悩むとき、あなたを苦しめるのは孤独という面もある。時を超えて、いつの時代も同じ悩みを持つ者がいることを知れば、明日からも頑張って生きようと思える。彼女の人生観とともに綴られる、蜻蛉日記へのラブレターのような一冊。ぜひ蜻蛉日記の本編、原文を大まかにでも知ったうえで手にすることをおすすめ。