廃炉技術から生まれた産業 福島県大熊町でダイヤモンド製造 | ある女子大講師

廃炉技術から生まれた産業 福島県大熊町でダイヤモンド製造

廃炉技術から生まれた産業 福島県大熊町でダイヤモンド製造

1.溶け落ちた燃料いわゆる「燃料デブリ」の取り出しは、廃炉作業の中で最も難しい作業になる。作業に必要な装置には、極めて放射線量が高い格納容器の内部でも作動できるよう、放射線に強いダイヤモンドが採用されている。このダイヤモンドの製造が、福島県大熊町で始められようとしている。 <廃炉を進めるための海洋放出> 2023年8月に始まった原発処理水の海洋放出。福島第一原発構内に、燃料デブリの取り出しなどで必要なスペースを確保するため開始された。これまでに2万300トンの処理水が放出され、新たに発生している分と差し引くと2023年度末までに約1万トン・タンク10基分の処理水が減少する。海洋放出は2024年以降も継続される。

 

2.<年度内に試験的な取り出しへ> そして、廃炉作業の本丸・燃料デブリ取り出しに向けては、作業が加速する見通しで、福島第一原発2号機では、2023年度中に燃料デブリの試験的な取り出しに着手する予定。作業用の穴から、ロボットアームを入れる計画だ。 <鍵を握るダイヤモンド> いま研究が進められているのが、燃料デブリがある格納容器の内部で狭い範囲の放射線量をピンポイントで測定する装置。大きな役割を担うのが、キラキラと輝くダイヤモンド。 ロボットアームは燃料デブリを掴んで取ってくるため、狙った場所の放射線量を事前に把握しておく必要がある。極めて放射線量が高い格納容器の内部でも影響を受けずに作動できるよう、放射線に強いダイヤモンドが選ばれた。

 

3.<メイドイン大熊のダイヤ> 北海道で技術開発が進むダイヤモンドは、メタンと水素を分解して「炭素」だけを薄く重ねて作る。次世代の半導体としても期待されるダイヤモンド。福島県大熊町では、2023年度中に製造を始める計画だ。 大熊ダイヤモンドデバイスの金子純一代表は「廃炉に向けて、ようやく炉の中が見えてきた。それで地域の方々も、将来を考えるようになってきた。そこで非常に過酷な条件で技術を磨いて、それを基礎にして新たな大きなマーケットのある所に色々展開していく。それを福島・大熊町からやりたい」と話した。 燃料デブリに立ち向かう”輝き”が、未来の技術も支えていく。