地産地消のお題目 | 板前日記

板前日記

1999年 web日記とよばれた時代から書き続けている店主の日々の記録です。
板前の日常を垣間見ることで、パンフレットでは書ききれない店の姿勢までうかがえるかもしれません。

世の中 地産地消 大流行です。

 

お役所の関連からも、つい先日地産地消のアンケート調査票が送られてきました。御上の側からも飲食と一次生産者 両方を活性化するためにテコ入れをなさっているようなのですね。

 

 

 

今、料理店は地産地消です。

地物を中心に使っています。地酒を使ってます。・・・・でなければ地方の名店の仲間入りをさせてもらえません。

 

 

北海道白糠町横山さんの蝦夷鹿です。

十勝の蝦夷豚です。

青森八幡平牧場の短角牛です。

岩手九戸村小野家さんの天然キノコです。

三浦半島松輪漁港の黒むつです。

山梨鳴沢村柏木さんのキノコです。

京都丹後浜詰の小芋です。

丹波いくたさんの黒大豆枝豆です。

 

じゃぁなくて、静岡県産の豚です。静岡育ちの牛肉です。静岡夢さきの小芋です。地元契約農家の野菜です。

 

の方を求められるんでしょうか?地産地消ならば。

 

 

ちょっと待ってください。

 

東京の高級店では地産地消なんて薦められません。

 

東京の地元は無理としても、隣の千葉産の○まるです。埼玉産の○○です。三崎の鮪だけを使っています。

 

が地産地消で素晴らしいと言われるでしょうか?

 

世界に冠たる築地市場をバックにすれば日本中から素敵な食材が自由自在です。地方では高くて売れない高級素材も築地なら飛ぶように売れていくのです。

 

大都市圏では地産地消はお呼びでなく、地方ならば地産地消なんですねぇ。

 

そこにはかすかに感じる「田舎町なんだから」という意識はないでしょうか?

田舎は地産地消でやっときなさい。。。って考えるのはひがみ根性故ですか?

 

 

 

地元に素晴らしい農家、猟場、漁場と捕り手がいるのであれば、積極的にお付き合いをするのはもちろんですが、地元だから素晴らしい。地元のお酒は地元の食材にあうに決まってる。地元の作り手と共存しなくてどうする。

 

だけで、仕事はしたくはありません。

 

私自身は若い頃から遠くにある素晴らしい生産者の情報も入手できず、手に入りそうでも流通がままならず・・・という苦しい時代を長く生きてきました。

 

時間をかけてやっと築いた全国の生産者さんたちとの信頼関係と、今だから享受できる革命的な流通を地産地消のかけ声くらいで崩すわけにはいきません。

 

 

もちろんイタリアで起きたスローフードの理念をベースにした、大都会では実現できない地方独自の共同体自治の再構築は常に念頭にあります。だって、壊れかかっているとはいえ、田舎のコテコテな人間関係を未だに維持しているんですから。

 

場所が離れているからといって、顔が見えないわけではありません。連絡がとれないわけでもありません。地元以上に信頼をよせているからこそ長いお付き合いができています。

 

 

一番は、「だって、こっちのほうが美味しいから」です。