クライアント環境
現在のクライアント環境での課題として取り上げられるライセンスの一つがデバイスライセンスだろう。ライセンスがクライアントデバイス、特にPCに紐づくケースだ。
環境としては大きくいくつかのパターンが考えられる。
1.包括契約(EA)で多額のライセンス料金を支払っている。
EA は保険のような要素も含んでいるて厳しい管理は求められない。年に一回、対象となる環境の対象となるユーザー数を勘定して適正化する。しかし、多くの場合、ライセンス料金は払い過ぎの感が否めない。もちろん、対象となる数を分類し本当に必要なソフトウェア製品に限定して、それらの種別(あるいはグループ)毎に、必要なソフトウェア製品ごとのEA契約が(あるいは、EA契約の内訳としての製品グルーピング)できていれば適正なライセンス料金を支払っている場合もある。
これには、しっかりと明確な使用ソフトウェアのポリシーと標準化(どのような職種・職能の人が、どのようなソフトウェアを使用するのかの定義)と、ソフトウェアメーカーとのEA契約の交渉力が必要となる。
支払コストを削減する場合、適切な対象ソフトウェア製品を選択し、EA、ボリュームライセンスへの移行と、ライセンスのエンタイトルメント管理が望ましい。
2.ボリュームライセンスを各部門が購入している。
各部門予算でボリュームライセンスを購入している場合にありがちなのが、ライセンスのエンタイトルメント(使用権の割り当て)の責任が部門にあり、ボリュームライセンスの管理も部門責任となっている場合だ。
ボリュームライセンスは、部門の人数で購入していて、割り当て管理やライセンスの管理が明確ではない場合、多く買いすぎている場合もあるだろうが、少なく買っている場合もあるだろう。どちらの状態かが明確に分からないのが問題。
余剰が常に発生しているとすれば無駄なコストだし。恒常的に購入ライセンスが不足していると監査の対象になりやすい。この場合、過去数年間にわたりその状態であったと認識されることが多く、数年間分の追徴金の請求をされてしまう。
各部門でボリュームライセンスを管理すること自体が困難で、ライセンス(ソフトウェア資産)管理プロセスを正規化し、一元管理することが望ましい。
3.パッケージ、OEMバンドル、ボリュームライセンスの混在環境。
一番やっかいな環境といえる。問題になりやすいオペレーションは数多く、ディスクイメージの作成のあたりからの充分な注意が必要。また、OEMバンドルはOEM先のハードウェアメーカーに紐づく製品なので、できればパッケージ、OEMバンドルをボリュームライセンス一本に統合して一元管理することがお勧めだ。
例えば、OEMバンドルがインストールされたPCをベースにディスクイメージを作成し展開すると、展開されたディスクイメージのPCはすべてライセンス違反となる。
スイート製品を購入してバラバラにして使用することは、メーカーの使用許諾契約にもよるが、多くの場合はライセンス違反となる。
特定の職種のグループに本当に必要な製品を定義し標準化して、必要なライセンスの契約をボリュームライセンスで一元管理することがコスト削減、コンプライアンス維持となるだろう。
コンソリデーションとプールは、サーバー環境のリソースだけでなくクライアント環境のライセンス管理にも当てはまるのだ。