平地歩行で体重の3倍、階段昇降では6倍の力が膝にかかります。
基本的に人工膝関節手術は、平地歩行で長期間の耐久性を追求しています。
床からの起立はもっと大きな力がかかります。
年を取ると階段昇降時に前十字靭帯にかかる負荷は半分になります。
高齢者のほうが、人工膝関節にかかる負荷も小さくなりますが、骨は弱くなります。
人工膝関節のゆるみ、沈みを抑えるため
1.骨を切る量を減らし、強い大きな骨の上に、1つ大きい面積の大きい人工膝関節を載せています。骨を切ると人工膝関節が小さくなります。
2.脛骨内側の硬い骨を残し、キールを固定して脛骨部品の後方滑り回旋を完全に止めています。
正確に人工膝関節を入れても、道で転倒し、急に立ち上がる、非常に大きな力をかけると、脛骨が後ろに滑り、弱い海綿骨に乗って、沈んでしまいます。階段昇降とは比べられないい大きな力がかかります。
3.大腿四頭筋、ハムストリングスは切らず、剥離せず、きんりょくがおちないようにしています。
4.脛骨内側工法を切らず。後者靭帯、半膜様筋を完全に残しています。
5.脛骨を脱臼させず、整復位でインサートを入れ筋肉、靭帯を再緊張させています。
これは亜脱臼です。今は膝の屈曲角度を浅くし、整復位で入れています。
人工膝関節は膝90度屈曲位で脛骨を前方脱臼させていれるものですが、これでは術後に関節のゆるみが残ります。
靭帯の一番緩む屈曲60度で、膝蓋骨を整復し、斜め上から押し込めば、筋肉靭帯が一瞬伸びるのでインサートは入ります。
どこまで伸びるかは患者の筋力、靭帯の強さに依存し、やってみないとわかりません。
それでも、長期間人工膝関節を使えば、人工膝関節は緩む、沈むことは起こりえます。
人間の膝関節が長期間使えば、摩耗し変形するのと同じです。
この患者の場合、スタビライザーのついていないトライアルでも12mmまでしか入りませんでした。
スタビライザーのついている15mmのインサートは、subvastus侵入法で、癒着のある人工膝関節後ではさすがに入りにくかったです。前回手術は内側膝蓋骨侵入法でかなり切っている。
さすがに、前方関節包は少し剥離。
インサートを、内側から、膝蓋骨下方に、インサートは関節が開かずなかなか脛骨の前面を超えなせんでしたが、偶然入った。入るとは思いませんでした。グラグラだった膝が麻酔下でも、側方動揺はまったく出ず、前方引き出しも出なくなりました。