人工関節は関節の形状を直し、痛みを取り可動域を良くするもの?運動能力まで改善できない? | 痛くない人工膝関節手術3

痛くない人工膝関節手術3

人工膝関節手術の紹介、メカニズムの説明を行います
300本以上のビデオをyoutubeで見られます
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人工股関節は大きなカップを臼蓋を削って弱い海綿骨の上に固定されます。ステムは大腿骨の中に差し込みますが、骨と人工関節の間に隙間が残ります。

置換の際、筋肉を切り関節包を切除します。

傷んだ関節を、人工関節に置き換え、痛みを取り正常な可動域を回復できますが、人工関節の金属と骨との接合は完全でなく、人工関節の摩耗の問題とゆるみの問題があり、正常の関節に比べ、耐久性、負荷の大きい運動ができないという限界があります。

関節が破壊され、痛くて動けないことから、痛みがなくなり歩けるだけで大きな改善ですが、人間の欲望はとどめがなく、もっと元気に運動したいという人が増えてきたのです。

日本では、人工股関節手術の対象は先天性股関節脱臼後の患者が多く、アメリカでは骨頭壊死による患者が多いと考えられます。どちらにせよ、人工関節手術の対象者は60歳以下で若く、人工関節の耐久性に問題があり、活動性を下げて人工関節の生存期間を伸ばす必要があり、動かずに40年持たそうという考えが残ります。

膝関節は老化によリ起こるものが多く、昔のように若い患者の関節破壊は少なくなり、特に日本では70歳以上の高齢者の変形性関節症が対象になります。アメリカでは若い患者が手術することがあり、耐久性が股関節と同じく問題になりますが、筋力が強く、筋肉靭帯を切っても関節の駆動力は余裕があり、脛骨が前方滑りするなどの不安定性も筋力で補えます。

しかし、日本の患者は高齢であり、60歳を超えると大腿四頭筋筋力は40%以上落ち、80才ならもっと筋力は落ちます。男性の平均寿命は81才、健康寿命は74才、女性の平均寿命は87才、健康寿命は77才です。70歳以上で手術すれば、歩ける期間は10年もなく耐久性は考えなくてよいことになります。しかも高齢になれば活動性は落ち、負荷のかかる運動はしなくなり、長時間の歩行もしません。

患者が人工膝関節後に望むのは長距離歩行と階段昇降ぐらいです。正座は最近はあまり必要でなくなりました。それでもなかなか歩けませんし、階段も上れません。

問題は老化とともに落ちる大腿四頭筋筋力と、関節の安定性、支持性、少ない筋力を効率よく使うということです。

人工膝関節の形状機能は進歩が1990年ぐらいまでで限界に達しましたが、手術法は1975年ぐらいのままで進歩はありません。

しかし、膝関節はスポーツ医学が2000年以降に進歩し、膝関節の解剖を格段に進歩しました。

1979年のアイダホ大学の発表で膝関節の解剖は完全に解明とされ、膝関節の内側の関節包は3層構造で、内側側副靭帯のみが膝内側に存在するだけでした。

2007年の発表では、内側側副靭帯も浅層、深層があり、深内側側副靭帯、後斜靭帯、の存在がわかりました。

2013年ごろには膝後方の靭帯、OPLが膝の過伸展を最も抑制することも判りました。

しかし、人工膝関節の膝蓋骨内側侵入法では内側側副靭帯を残すことしか考えない古い方法で他の靭帯をの残すことは考えられていません。これら靭帯は関節包内に存在し、昔は靭帯とは認められていなかったからです。

最近は前十字靭帯、後十字靭帯を残す人工膝関節が開発されていますが、前十字靭帯は走る時に必要ですが、歩くときにはあまり必要ではありません。高齢者だと切れていることも多く、膝が変形している場合、機能しているかはわかりません。

人工膝関節はアメリカで開発されアメリカ人の生活機能に合わせて手術法が決められています。車がアメリカ車は左ハンドル、大型車のアメリカ仕様を世界的に売りつけようとするのと同じです。日本で今売れているのは右ハンドルの軽自動車です。

日本では体の小さい、階段が上り下りできる人工膝関節が必要で耐久性はあまり問題にならないのです。一般に人工関節は線香花火仕様ですが、日本人は打ち上げ花火仕様を望んでいるのです。

どうすればよいでしょう。まずは筋肉を切らないことです。大腿四頭筋だけでなく、ハムストリングスもです。骨を切らないことです。骨を切って弱くすると、人工関節が緩みやすくなります。膝関節の安定性をよくすることです。側副靭帯、膝後方の靭帯を緊張させ、膝のぐらつきを抑え力が出るようにします。ポンコツ軽自動車でも速く走れるようにするということです。

 

これでは力が逃げて、年を取って落ちた筋力を有効に使えません。

 

筋肉を切らず、靭帯も剥離せず、薄いインサートを厚くすれば、膝の安定性が増し、手術後すぐに速く階段が上り下りできます。

基本的には最初から薄いインサートで骨を切らずに人工膝関節を入れたほうが、膝関節周囲の靭帯を痛めず、高い運動能力を残せ、切らないので痛くなく出血もしません。

 

 

 

手術後2週から市営住宅の5階まで階段を上っている。

人工膝関節手術は痛いもとと思われていますが、手術直後から鎮痛剤を使わなくても痛がっていません。雰囲気が明るいから?

平地を歩くのでも体重の3倍、階段は6倍の力がかかります。