COが多い/ランサー | 自動車整備士駆け込み寺 喝っ!

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排気ガスが基準値を超えて車検に通らないという平成18年式ランサー(CS5AS、4G93)

 

 

同業者からの依頼。

 

 

この車は教習車でありLPG仕様。

 

 

排気ガスを測定すると、COが6~7%で変動。

 

これでは車検には通らない。

 

ただし、良いときもありその時はほぼ0%。

 

 

O2センサーとプラグは交換済み。

 

 

とりあえずダイアグノーシスを測定すると、P0170(空燃比制御異常)を記憶していた。

 

 

データモニタで入庫時の空燃比を調べると、空燃比の補正値と学習値を合わせた数値が+30%とかなり増量していた。

 

しかし、それでもO2センサーはリーン(薄い)信号。

 

COはほぼ0%。

 

 

COは問題ないが、補正値が+30%は大きすぎ。

 

 

これからすると、リーン状態なので最大増量しているが、それでもまだリーンだということになる。

 

 

O2センサーが間違ってリーン信号を出しているので、増量してCOが出るのじゃないのか?と思ったが、O2センサーは純正の新品に交換済みだし、データからはそうではなさそうである。

 

話ではCOがいい時と悪い時があると言っていたのだが、今は基準値的には問題ないが、補正値的には問題である。

 

 

とりあえず、べーパーライザの調整スクリューでこの補正値が±10%以内になるように調整した。

 

そして、排気ガスを測定すると、CO・HCとも基準値内に納まっていた。

 

 

 

しかし、しばらくするとCOが増えてきて基準値外となった。

 

 

この時の合算の補正値はマイナス30%と今度は最大減量している。

 

 

最大減量したり、最大増量したりと意味不明。

 

 

これでは、P0170を記憶するわけである。

 

 

何が原因でリッチになったりリーンになったりするのかをいろいろと調べたが分からない。

 

 

べーパーライザ―の不良ではないかと疑いながら更に点検をしていると、空燃比制御用インジェクタの作動音がするときとしない時があることに気が付いた。

 

また、作動音がしない時にCOが増量することもわかった。

 

 

インジェクタの波形をオシロスコープで調べたが、信号は正常と思われる波形なのに、作動音がしない時があった。

 

 

またインジェクタの抵抗は5Ωと問題ない値だったので、インジェクタの機械的な不良(開きっぱなし?)の可能性が高い。

 

ということでインジェクタを交換し、再度、調整スクリューで調整すると、空燃比の補正値もCO・HCも基準値を超えることは無くなった。

 

インジェクタの作動音に気が付かなければ、べーパーライザを交換していたかもしれない。

 

故障診断時は五感を研ぎ澄まし、小さな変化も見逃さないようにしなければいけないと、改めて感じたトラブル事例であった。