調べてみると、ECUはマグネットクラッチリレーをOFFさせているにも関わらずリレーがONしていた。
リレーを点検するために外してみると、今までに見たこともないリレーだった。
通常、リレーには接点用の2つの端子とコイル用の2つの端子があり、最近のリレーは端子の大きさが違うのが一般的である。(当然、大きな電流を流す接点側のほうが端子は大きい。)
なにの、このリレーの端子の大きさは全て同じであり、どれがどの端子なのかがわからない。
それに、一般なリレーの取り付け方向は決まっているが、このリレーの端子の配列は上下と左右が対称なので2方向のどちらにも取り付けが出来そうである。
試しに、付いていたのと逆方向にして差し込んでみた。
すると、きちんと取り付けることが出来た。
これでは、コイル用端子と接点用端子が逆になりまずいのではないかと思われたが、よく見ていると端子の色が若干違うことに気が付いた。
金メッキしているのとしていないのがクロスして配置されていたのである。
なるほど、クロスしているのであれば、上下をひっくり返して取り付けても問題ないはずである。
どっちがどの端子かわからなかったが、全ての端子間の抵抗を測定すればわかるはず。
抵抗が出るのはコイルの2つの端子であり、残る2つが接点端子と推定できる。
そして、全ての組み合わせ(6通り)を測定すると、おかしな結果になった。
通常、リレーの端子を6通りで測定すると、抵抗が出るのはコイル間(100Ω前後)だけであり、その他は∞Ωのはず。
それが、このリレーは3通りで抵抗が出るのである。
(2-3で約110Ω、2-1で約30~数100Ω、3-1で約数100Ω)
ただし、この抵抗が出る3通りのうち、2-3は約110オームと安定しているが、残りは一定ではなく、テスタ棒の当てる強さや位置により、約30~数100Ωで変化するのである。
110Ωが出る端子を見ると、金メッキしている同士なのでコイルに間違いない。
ということは、コイル用端子と接点用端子間がショートしていることになる。
さらに詳しく調べてみると、1番と2番端子間で短絡がおこっていることが分かった。
リレー不良には間違いないが、このことによりマグネットクラッチがONしっぱなしになるかを考えてみた。
ECUがマグネットクラッチリレーをONさせる場合は、リレーの2番端子をECU内でアースに落とす。
すると、リレー内のコイルが磁化されて接点がONする。
当然、マグネットクラッチもONする。
ECUが2番端子をアースしなくなると、本来はリレーがOFFする。
しかし、これが2番と1番端子が抵抗を持って短絡していると、2番端子から抵抗を経由して1番端子→マグネットクラッチ→アースと流れる。
リレーのコイルの抵抗は約100Ω。それに30Ωの抵抗が追加になっても、リレーをONさせる電流は流れないかもしれないが、ON状態を保持し続けるくらいの磁力はあるはず。
よって、リレーはONしたままのようである。
このリレー内の抵抗値は温度等によって変化するようであり、いい時と悪い時があったようである。
リレーを交換して作業を終えた。