4,100円のなぞ(1) 人事院勧告と関係あり | 倉敷市の社会保険労務士・行政書士 板谷誠一 雑多な日記

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社会保険労務士・行政書士として仕事している板谷誠一の雑多な日記です。私は岡山県倉敷市に事務所を構えています。

これから数回に分けて、あるテーマについて日記を書きますが、税関係の分野の話であることや、思ったことをそのまま書いていることから、あまり正確な分析、検討をしていません。その前提の上でお読み下さい。


なぜ、4,100円なのか。


ふと疑問に思い、いろいろ調べたのがことの始まりである。

4,100円とは通勤手当に関する金額のことであるが、これだけでは分かりづらいので、詳しく言えば、給与の中の通勤手当について、労働・社会保険分野では賃金(あるいは報酬)と考えられる一方、所得税法上は一定額まで非課税とされる。JRなどの公共交通機関を使って通勤する場合は、原則全額非課税になるが、自動車等を使う場合は、就業場所までの距離に応じて非課税限度が定められていて、片道の通勤距離が2㎞以上10km未満の場合は、1ヶ月あたり4,100円となっている。


参考:(国税庁のホームページ)マイカー・自転車通勤者の通勤手当 
 http://www.nta.go.jp/taxanswer/gensen/2585.htm


会社で人事・総務・経理の仕事をしている人はよく知っていると思うのだが、この4,100円を始めとする限度額はどのようにして決められているのか。


法律的な話をすれば、限度額そのものの金額は、所得税法ではなくて、所得税施行令第20条の2に書かれている。ようは、政令に書かれている。となれば、ある程度行政側で決めているわけ(政令は、国会ではなくて、内閣が制定するもの)で、その金額の根拠は何かいうことになる。ということで、いろいろ調べたのだが、僕なりに分かりやすい言葉でいえば、


ある程度規模以上の企業の通勤手当の平均額


と考えた。あいまいな部分があるのだが、政府の公式見解は以下のとおりである。


通勤のため自動車等の交通用具を使用することを常例とする者(以下「自動車等通勤者」という。)については、交通機関を利用する場合とは異なり、通勤に必要な自動車等の使用に係る費用は区々であることから、基本的には、民間の通勤手当の支給実態に関する調査を勘案した人事院勧告に基づいて決定される国家公務員の通勤手当の支給限度額が通勤距離に応じて定められていることを踏まえ、これを参考にして客観的な基準を定め、一般の通勤者につき通常必要であると認められる部分として非課税としているところである。この基準については、民間の通勤手当の支給状況等を勘案して改定される国家公務員の通勤手当の動向等を踏まえ、必要に応じてその引上げが図られてきている。さらに、一定の自動車等通勤者については、支給された通勤手当の金額のうち、その者が通勤のため交通機関を利用したとしたならば負担することとなるべき運賃等で、その者の通勤に係る運賃、時間、距離等の事情に照らし最も経済的かつ合理的と認められる通常の通勤の経路及び方法によるものの額に相当する金額(一月当たりの金額が十万円を超えるときは、一月当たり十万円)までの金額は非課税とされている。


上記文章は、衆議院議員滝実君提出自動車通勤者に対する通勤手当の所得税の非課税限度額に関する質問に対する答弁書からの抜粋である

http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b171274.htm


難しいことを書いているが、ようは、


国家公務員の通勤手当を参考にしている。

→国家公務員の通勤手当は人事院勧告に基づいている

 →人事院勧告は民間の通勤手当の支給実態を調査した結果である。

   →支給実態をもとに平均的な金額を定めている。


ということだ。ちなみに、この4,100円の値だが平成元年11月の所得税法施行令の一部を改正する政令で決まっており、この20年間変わっていないようだ。


これらのことからいろいろ思うことがあるが、別の日記に書くとしたい。