「1945年8月6日(午前8時15分)、

広島に投下された原子爆弾により命を奪われた人、また

現在にいたるまで死の恐怖と苦痛にさいなまれつつある人、そして

生きているかぎり憂悶と悲しみを消すよしもない人、さらに

全世界の原子爆弾を憎悪する人々に捧ぐ (峠三吉(とうげ さんきち))」

☆ 『八月六日』 峠三吉

  「あの閃光が忘れえようか!

  瞬時に街頭の三万は消え

  圧しつぶされた暗闇の底で

  五万の悲鳴は絶え

  渦巻くきいろい煙がうすれると

  ビルデイングは裂け、橋は崩れ

  満員電車はそのまま焦げ

  涯しない瓦礫と燃えさしの堆積であった広島

  やがてぼろ切れのような皮膚を垂れた

  両手を胸に

  くずれた脳漿を踏み

  焼け焦げた布を腰にまとって

  泣きながら群れ歩いた裸体の行列

  石地蔵のように散乱した練兵場の屍体

  つながれた筏へ這いより折り重なった河岸の群も

  灼けつく日ざしの下でしだいに屍体とかわり

  夕空をつく火光の中に

  下敷きのまま生きていた母や弟の町のあたりも

  焼けうつり

  兵器廠の床の糞尿のうえに

  のがれ横たわった女学生らの

  太鼓腹の、片眼つぶれの、半身あかむけの、丸坊主の

  誰がたれとも分らぬ一群の上に朝日がさせば

  すでに動くものもなく

  異臭のよどんだなかで

  金ダライにとぶ蝿の羽音だけ

  三十万の全市をしめた

  あの静寂が忘れえようか

  帰らなかった妻や子のしろい眼窩が

  俺たちの心魂をたち割って

  込めたねがいを

  忘れえようか!」

★閑話休題★

 本日、広島市のマツダズームズームスタジアムで、

プロ野球の広島対巨人戦がおこなわれます。

 8月6日に、広島市でプロ野球の試合がおこなわれるのは、

53年ぶり、のこととなります。

 今夜の試合では、鐘や太鼓の鳴りものによる応援は、

禁止とされるそうです。

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