シベリアイタチ(対馬のみユーラシア共通在来種)、ニホンテン(日本固有種)、ハクビシン(外来種)、そしてアライグマ(特定外来生物)は、西日本の4大都市害獣だ。ただし東日本には、シベリアイタチは(何故か)いない。同じく東日本では、ニホンテンは(何故か)都市には住まぬ。よって東日本では残り半分…つまりハクビシンとアライグマが、2大都市害獣を形成する。

 私のこれまでの(本ブログでの)記はシベリアイタチとニホンテン、そして害獣に非ざるのニホンイタチの述が多かった。ハクビシンとアライグマについては、殆ど言及していない。で、以降にそれを行う。

まずはハクビシン(写真1)。

 

ハクビシン

 その学名は、Pagma  larvata(Smith、1827)で、英名はMasked  palm  civetだ。分類学上の位置は食肉目Carnivoraのジャコウネコ科Viverridaeで、ハクビシン属Pagma(1属1種)に相当する。

 国外分布は中国南部と台湾、そして東南アジア8ヶ国(ベトナム・ラオス・カンボジア・タイ・マレーシア・シンガポール・ミャンマー・インドネシア)だ。ただしインドネシアはスマトラ島とボルネオ島のみで、ミャンマーにおける分布は限定的のようだ。更にネパールと、インド&パキスタンの北部にも分布する。

 次は国内分布。本州の近畿以東と四国では、ほぼ全県に分布する。だが中国地方と九州には(何故か)空白の県がある。

 日本の個体群のルーツは台湾であることが、mtDNAの分析により確かめられている。ただし全ての個体が調べられた訳ではないから、ルーツを異にする個体が日本に分布している可能性も無きにしも非ずだ。

 次は形態のこと。まずはcolor。

 胴体は灰色と茶色が混じったような色彩で、顔面は黒と白。鼻筋に沿って、文字通りの"白鼻芯"が走っている。そのことではアナグマ属Melesの各種に似るが、体型は全く違う。

 次はshape。アナグマ属の各種がずんぐり体型であるのに対して、ハクビシンは"胴長"だ。ただしイタチ属Mustelaの各種と違って、"胴長短足"ではない。足が長めのことは、ニホンテンと似る。太くて長い尾を有することも同様だ。おそらくそれは、この2種の"樹上適応"を意味しているのだろう。長い尾は、樹上においてバランサーの役割を果たす筈である。

 爪は長く鋭い。更には耳と目と鼻が大きい。

 そしてsize。ハクビシンは(ニホンテンやシベリアイタチやニホンイタチと異なり)、雌雄のサイズがほぼ同じである。体重はオス・メス共に3kg前後で、頭胴長はやはりオスメ共に520mm前後だ。尾長はメスが僅かに長く420mm前後で、オスは420mm前後である。よって尾率(尾長/頭胴長)はオスが80%弱で、メスは80%強となる。いずれの値も、ニホンテンの2倍程である。

 染色体は2n=44。DNAのことは省略する。平均寿命は明らかではない。

 食性は果実が主食で、ニホンテンと似る。ただし副食(動物タンパク質源)はそれより多様だ。ニホンテンが好まない甲殻類や魚もメニューに含まれる。やはりニホンテンが好まないトウモロコシやスイカも食べる。都市に進出した個体は(ニホンテンが行わない)"残飯漁り"もしているようである。

 繁殖はよく分かっていないが、産子数は3頭前後という知見がある。育児におけるオスの関与は確認されていない。子は離乳後すぐに巣立ちすると思われ、そのことはシベリアイタチと異なる。

 日本の個体群のルーツの地である台湾では、500~2000mの山地に棲息するという。都市に進出しているという知見はない。日本では紛れもなく都市動物だが、海岸や、あるいは雪山にての目撃例もある。

 行動圏は30~120haであるという知見がある。この値は、ツシマテンの行動圏サイズ(オスが800haでメスは700ha)より遥かに小さい。体重は、ハクビシンの方が大(オスは2倍でメスは3倍)なのにである。

 都市に棲息する個体は人家天井裏に営巣し、出産・育児も行う。山地における巣の所在は不明だ。ニホンテンよりも大型なので、樹洞の利用は更に困難の筈である。

 日周期活動は、夜行性に傾く。ただし昼も動かない訳ではない。

 次はアライグマ(写真2)。

 

アライグマ

 その学名はProcyon  lotor(Linnaeus、1758)。つまり高名なリンネが命名者である。英名はracoonだ。分類学上の位置は食肉目Carnivoraのアライグマ科Procyonidaeで、アライグマ属procyonに相当する。

 国外分布は、まず原産地の北アメリカならびに中米。そして国外外来としてヨーロッパにも進出した。ドイツはほぼ全域に分布し、フランスと東欧にもいる。スペイン、イタリア、英国には入っていない。その他はカスピ海西岸地域と、日本が国内外来の地だ。

 次は国内分布。関東(東京・埼玉・千葉・神奈川)、北陸(石川)、中部(愛知・岐阜)、そして北海道にて野生化が確認されている。中部と北海道の来歴は判明しているが、その他は不明だ。ただ、ペット飼育個体の逃亡が主と思われる。

 つまりアライグマは、ハクビシンやシベリアイタチ程には分布が広がっていないのだ。ただし野生化未確認の目撃情報だけなら、2003年時点で41都道府県に及ぶ。

 次は形態のこと。まずはcolor。

全身がほぼ灰色で、顔面は黒と白。尾に5~8本のリング模様がある。

 次はshape。胴が太く、足が長い。つまり胴長短足の真逆だ。尾は太く、目が大きく、耳が目立つ。

 そしてsize。ハクビシンと同様に、雌雄の違いは顕著でない。それよりむしろ、各々の性における個体差が大である。

 体重は3600~9000gで、全長は634~1050mm、尾長は192~405mmであると報告されている。平均値が示されていないので、尾率は不明だ。

 染色体は2n=44。DNAのことは省略する。

 平均寿命は概ね5年以下と考えられる。ただ北米では16年の長寿例があり、日本では北海道で8年生きた例がある。つまり、個体差が大と言い得よう。

 食性は雑食の傾向が著しく、主食というのが判然としない。その棲息地の環境に合わせて、"最適採食"を行っていると考えうる。農作物を広汎に漁り、家禽や養殖魚も襲う。野生動物は魚や両生類、爬虫類、甲殻類、鳥、小哺乳類などを採食する。都市に進出した個体は"残飯漁り"も行う。

 繁殖のこと。交尾は春と秋の2回で、産子数は3~5頭。育児におけるオスの関与は確認されていない。子は離乳後すぐに巣立ちすると思われる。

 棲息場所は森林と都市だ。前者では川沿いと林縁部を好む。各々の個体群密度は不明だが、シベリアイタチ程には"都市への集中傾向"が著しくないと思われる。

 行動圏は2~35haと報告されている。つまりsizeや寿命と同様に、個体差が大きい。「人間と似ている」と、言えるかもしれない。ちなみに行動圏サイズのミニマムもマキシムも、ハクビシンにおける値よりも小である。

 巣は地下空間を利用することが、ヨーロッパにて知られている。日本でのことは、よく分かっていない。都市にて人家天井裏で営巣・繁殖することはあるが、その事例は多くない。本種は、西日本4大都市害獣の中でサイズが最大だ。そのため、侵入しうる家屋が限られるのである。ただ、空き家は外壁が老朽化しているので侵入し易い。空き家が多い都市は、本種にとって住み易いであろう。

 ところで本種の日本における分布(野生化確認)の広がりは、何故"さほどでもない"のか?。ひとつは侵入の時期が浅いことだろう。もうひとつは、本種が(2005年に)特定外来生物に指定されたことだろう。つまり、ジェノサイドの標的になっているのである。だが私は、もうひとつ(より重要な)理由があると考えている。

 動物の生存には「食と住」が不可欠である。そしてCarnivoraは、いずれも子が未熟児状態で生まれて来る。つまり"就巣性"であるために、繁殖巣を設営しうる条件がとりわけ重要なのである。

 アライグマは最適採食者であるので、「食」においてはアドバンテージ大だ。だが「住」…殊に繁殖巣確保の難しさにおいては、ディスアドバンテージ大だ。その故ではないかと、私は思うのである。

 日周期活動は、夜行性に傾く。ただし昼も動かない訳ではない。

 

写真出典:The Wild Mammals of Japan

 

 


 

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