リストラにあった… つまり、自分から会社を辞めるのではなく、クビになったのは実は社会人になってはじめての経験です。 それ以外では、勤めていた会社が倒産して働き口がなくなった事があって、それは一番最初に勤めた会社でした。
20数年前のある日、会社に行くとなんか恐いお兄さん達がいて、事務所にある机や椅子、キャビネット等すべて外にある大型トラックに運んでいました。 はじめは何があったのかわからなかったのですが、会社が倒産したという話を経理のおばさまから聞いて、へぇ~って他人事のように見ていたのを覚えています。
当時は駆け出しのプログラマーだったのですが、初めてのお客様を担当しており、もうすぐシステムが出来上がり納品する間際でした。 その倒産劇の次の日が、お客様先でのテスト&デバッグの日で、電車に乗ってお客様先へ伺い、普通に仕事をして、作業の後は事務所に入れないので、アパートへ戻っていました。
翌週、同じようにお客様先へ伺ったところ、先方の社長さんに呼ばれ、
社長さん 「なんだか、あなたの会社が倒産したと聞いたのだが…」
私 「どうも、そうみたいです。もう、事務所には入れなくなってしまいました。」
社長さん 「なぜ、うちへ来ているの?」
私 「もう少しで、仕事が終わるので、それまでと思いまして… だめですか?」
社長さん 「…」
というようなやり取りがありました。
それから5回くらいは伺った覚えがあります。 当時は宇都宮に住んでいまして、車の免許は持っていませんでした。 お客様は水戸にありましたので、宇都宮→小山→水戸と片道2時間くらいかかっていましたが、社長さんとお話をしてから、毎回電車の到着時刻を聞かれ、駅に車で迎えに来てくれるようになりました。
お仕事をして夕方になると、また水戸駅まで送ってくださり夕飯までご馳走してくれました。
無事テストも終了し、システムを引き渡した日、駅前のステーキハウスで茶封筒を頂き電車の中で開けるよう言われました。
「会社が倒産したというのに、まじめにお仕事をしてくれてありがとう。 これは少ないですが御礼です」
というお手紙と、きれいな一万円札で当時私がびっくりするほどの金額(だいたい一か月分のお給料分くらい)が入っていました。
もう、電車の中なのに涙が止まらず、声を殺して下を向いていました。
今思えば、この経験が私の仕事に対する心構えの基礎になっているのかもしれません。
「仕事は誠実に、目線はつねにお客様へ!」
U社長、あの時は本当にお世話になりました。