藤の花の季節だな。
前にも言ったけど結構おいらは花がすきなのよ。
季節感があるだけでなくなんとなく癒されるじゃないの。
これからの旬は「つつじ」と「藤」だな。
「藤の花」では亀戸天神などもいいけど、やはりすごいのは「足利フラワーパーク」の藤だよな。
この写真は形のいいのを選んだけど、大きさでは樹齢130年、たたみ300畳に広がる藤棚は必見だぜ。
今日はちょっと面白い話・・・・藤といえば「藤娘」があるじゃない。
大津絵とか歌舞伎に出てくる奴とか、人形のあれさ。
藤娘というと「藤の精」と思っている人がほとんどだと思うが、藤娘が藤の精になったのは昭和十二年からで、それ以前は何かと言うと遊女だったんだって。
元禄時代・・・というとあの忠臣蔵の頃に京の金持ちの若奥様やお嬢様といった人々がレジャー感覚で物見遊山に出掛ける事が流行ってたらしいんだけど、派手なファッションに身を包み、とにかく人より目立つ格好をするのがその頃のカッコイイ女だったんだって。
それを見ていた遊女たち・・・負けてなるものかと思いっきりイケイケのファッションに凝り始めて、それを見ていた大津絵の作者がこりゃ面白いとその姿を風刺画にして売り出し大当たりしたらしいんだな。
黒の塗り笠は物見遊山片肌脱いで色っぽく藤の枝をかかげた姿は大津絵という旅行者に人気のお土産になって日本全国に知れ渡ったそうだよ。
藤の枝をかかげているという事は「愛しい」という気持を表しているらしく「よれつ もつれつ まだ寝が足らぬ」や「藤に巻かれて 寝とござる」の歌詞などからもこれは「藤娘」と「娘」の字がついるけど、けっしてあどけない女の子ではないらしいんだな。
もとは遊女の踊りで昭和十二年六代目尾上菊五郎がそれまでの「大津絵藤娘」を全く新しい演出で「藤の精」に変えてしまったんだそうだ。
そして今ではこの藤娘の方が主流になってしまい、古い形の「大津絵」の方は忘れ去られてしまっているんだよ。
そして藤娘が塗り笠をかぶっている訳もほとんど人に知られなくなってしまったって訳。
どうだ、これからは人形を見るたびに思い出せよ。
