基本的に、うちの会社には「こうと思ったら、誰これ構わず直ぐ行動」という文化です。
それだけを聞けば「おっ、良いじゃん」と思うかも知れませんが、直ぐに行動したとして成果が出るならともかく、成果が出てこないから始末が悪い。
まるで5歳児のように「おもちゃで遊びたい!」と思ったら遊ぶし、テレビ見たいと思ったら見るし、けど、おもちゃは片付けないし、テレビは見終わったら消さないし……。
つまり、トイレに行ってうんこしてケツも拭かないで、うんこも流さないでそのままどこか行くようなもの。
うちの会社の場合、それを新入社員がするのではなく社長が率先してするから始末が悪い。
今日も、デザインの構成が入ったのですが、それは良いものの、納期の関係で「無理です」と言ったら、違うチームのエンジニアにいつの間にか頼んでいた。
「この段階で、UI の変更は無理です。ロジックを変える必要があります」
と言ったら、「あっ、そう」と言ったのに、これを陰で「ここをこう改修して欲しい」と言っているから始末が悪い。
本当に、非常に、驚くくらい、悪い。
直ぐに気付いたので、直ぐに「その修正、無理です」と割って入ったから、良かったものの、それをしていなかったらえらいことになってたな……。
僕のことを信用出来ないなら、今すぐプロジェクトリーダーを解任して下さい、そして即刻、解雇して下さい、と言うところでした。
その社長本人は、悪いことをしたと全く思っていないんですよ。
むしろ良い案が浮かんだから、それを言っている、何が悪い?とでも言いたげな表情。
しかも最近は、松下幸之助の「日に新た」を持ち出して、どんどん新しいのにしていこうぜ!と言い出す始末。
社内もそれを許す風潮があって、「仕方ないよねー」とみんな言っている。
僕はその度に「それじゃあ、うんこしてケツも拭かんとうんこ流さないのと一緒。松下幸之助が成功して、うちの会社が成功しないのは、そこでしょ」と口を酸っぱくして言っている。
なんだ、このやりとり……。
幼稚なのかなぁ。
結局、会社は誰かのために存在するが、それは顧客のためであって、社長のためではない。
社長は顧客のために働いているのかも知れないけど、僕だって顧客のために働いている。
そこで認識の齟齬が出るということは、与えられた情報が違う、つまり判断材料と条件が違うということでしょう。
その差を埋めるのが「議論」なのに、社内では「議論=戦争」と捉えられていて、何か話し合おうとすると、戦争だやるかやられるかみたいな風潮になって、非常にやり辛い。
凄く、未熟だと思うのです。
会社の幼稚化。
みんな自分中心だし、顧客中心じゃない。
そこで、ふと考えると、プログラマ35歳説って、そこなんだな、と思いました。
ノーベル賞を以前貰った田中さんが、以前、昇格を断って研究一筋で頑張ってはったという話がありましたが、35歳というのは、現場から離れる時期なんですね。
そして現場で働いているエンジニアの感覚、考え方とズレてしまう。
持っている情報が違うから。
だから、情報のずれを必死に無くそうと思えば、定年説なんて吹っ飛ぶんだろうけど、それがなかなか出来ないから定年なんだろうし、仕事の見える化なんてぇのがはやるんだと思う。
欠かせないのは、相互理解……つまり、僕も私も、顧客のために働くし、自分のために働く。
利益相反かもしれないけど、顧客のために働く点では一致している。
しかし未熟な社会人には、それが難しい。
そして恐らく、ソフトウェア業界にはそういった人間が、他の業界よりも多い。
だから35歳定年説なんだ、と思う今日このごろ。