餅は餅屋・・・

 

ImpressWatchの記事に、 アイリスオーヤマ、初のノートPC。14型フルHDで49800円 てのがありました。

 

アイリスオーヤマは、シンプルなデザインで操作性や静音性に優れるという同社初の14型ノートPC「LUCA Note PC」を、3月25日より発売するそうです。記事によると・・・

 

LUCA Note PCは、CPUに「インテル Celeron Nシリーズ Gemini Lake 4コア」を採用するファンレス仕様。液晶は14型で解像度は1,920×1,080ドット(フルHD)を搭載する。キートップは16.3×17.3mmの大きめサイズを採用し、大人から子供まで幅広い世代で操作をしやすくした。

メモリはLPDDR4 4GB。ストレージ容量は64GB。無線LANはIEEE 802.11 a/b/g/n/ac。インターフェイスはUSB3.2 Gen1 Type-A×2、Type-C×1/miniHDMI×1(HDMI 2.0対応)などを備える。本体サイズは約323.15×219.4×19.3mm(幅×奥行き×高さ)。重量約1.3kg。

 

だそうです。生活用品のイメージの強いアイリスオーヤマさんがPCに参入するそうです。スペックは上記の通りですが、お値段が 49,800円(税別) とかなり強気の価格設定ですよね。

 

CPUは型番が記載されていませんが、スペックからして Celeron N4100 で間違いないでしょう。Gemini Lakeですから今から4年くらい前のCPUですね。メモリは4GB、ストレージはたった64GBしかなく、今となってはWindows10が動く最低スペックと言ってもいいゴミスペックです。

 

そのゴミスペックのPCにも関わらず、お値段が49,800円という強気設定なのは気になります。中の人は絶対買いません。中の人だけでなく、多少PCのスペックに明るい方なら絶対買わないでしょう。

 

スペックの中に気になる部分もありました。このゴミスペックにも関わらずOSがWindows10 Proであること、無線LANの規格が11acにまで対応していることです。

 

コストを考えたら、Windows10 Homeで十分ですし、同じくWi-fiも2.7GHz帯(11b,g,n)のみにすればいいはずです。

 

記事中に”文部科学省が推進するGIGAスクール構想”という一文があり、調べてみるとありました。

 

文部科学省の GIGAスクール構想の実現標準仕様書 の10ページにWindows端末の詳細仕様の記載がありました。その仕様を見ると、まさに今回のPCの仕様とほぼ合致します。

 

つまり、今回のアイリスオーヤマさんのPC参入はGIGAスクール構想への端末提供ありきのものだったようです。これで、OSがWindows10 ProであることやWi-fiが11ac対応である必要性が理解できました。

 

GIGAスクール構想への端末提供ありきのものですから、誰も買わないような価格設定でも問題ないのでしょう。いわば、リテール販売はオマケのようなもので、スペックを理解しない方がアイリスオーヤマの製品だからと購入することを狙っているのかもしれません。

 

しかし、それでいいのでしょうか?

 

同様のゴミスペックのPCは、以前、本ブログで ドンキの格安ノートPCが3代目に進化 ストレージなど強化で価格は据置1万9800円 とのエントリーでご紹介したドンキの「MUGA ストイックPC3」が挙げられます。

今回のものと、CPUがちょっとだけ違うだけで他の仕様はそんなに変わりません。

 

ただ、圧倒的に違うところがあります。ドンキのPCは 19,800円 で売っています。今回のものの半額以下です。このくらいのゴミスペックであれば、19,800円が妥当な値段でしょう。(個人的にはそれでも高いと思いますが)

 

他業種からのPC参入は過去にも例があります。本ブログでも過去にご紹介していました。

事務機器で有名なキングジムさんもUMPCみたいなものを出していたんですが、CPUがAtomでメモリが2GB、ストレージが32GBでお値段9万円というとんでもない価格。
 
コナミさんのゲーミングPCは、1世代前のCPUにエントリーレベルのグラボを積んでいるにも関わらず、18万円という市場価格からはとてつもなくかけ離れた価格でした。
 
今回のアイリスオーヤマさんのPC参入も含めて、3社に共通していることは、PCのスペックがゴミレベルなのに、価格は市場価格を圧倒的に上回る価格だということです。
 
キングジムさんのPCは発売から1年もしないうちに 2万円強で叩き売られていた 事からも、売れてなかったことが伺えます。
 
コナミさんのゲーミングPCも 「コナミ ゲーミングPC」 で検索した際の候補が
  • コナミ ゲーミングPC 炎上
  • コナミ ゲーミングPC 高すぎ
  • コナミ ゲーミングPC 高い
  • コナミ ゲーミングPC ひどい
と軒並み市場の反応が高く、話題を集めていましたね。
 
今回のアイリスオーヤマさんのPCはGIGAスクール構想への参入を狙ったものであることは前述のとおりですが、このようなゴミスペックのPCで勉強させられる子供が不憫でなりません。願わくば被害者が増えないことを祈るばかりですが、 公立小中学校の「GIGAスクール」端末のOSシェア の1位はChromeOSだそうで、2位がiPadOS、3位がWindowsということで、自治体の賢明な判断によりそれは杞憂に終わりそうです。
 
異業種からPCに参入することについては素晴らしいことだと思いますし、それだけ競争が増えるわけですから業界にとってもいいことだと思うわけですが、少なくとも自社の冠を関した製品なわけですし、スペックや品質などについては事前に市場の状況なども含めキッチリ検証していただきたいものです。
 
今後、同様の間違いを犯す新規参入業者が出ないことを切に願います。