みなさん、こんにちは。五十音です。

窓を開けると、春の気配を含んだ風がふわりと部屋に入ってくる……そんな穏やかな時間に、そっと寄り添ってくれる音楽。今日はそんな一枚をご紹介したいと思います。

 

 

「アコースティックな音が好き。でも、ただ静かなだけじゃなくて、何か心に小さな火が灯るような、そんな新しい響きに出会いたい」

もし、あなたがそんなふうに思っているのなら。 イギリスから届いた「Tunng(タン)」というグループの、『Love You All Over Again』というアルバムを、ぜひ手に取ってみてほしいのです。

 

 

実はこのアルバム、あるお客さまからの「これを聴いてみたい」というリクエストがきっかけで、私たちの元へやってきました。リクエストを受けて、私も実際に針を落としてみたのですが……一曲目の音が流れた瞬間、その美しさにすっかり心を奪われてしまったのです。

 

 

そこにあるのは、ベッキー・ジェイコブスの柔らかな歌声。 まるで古い友人が隣で語りかけてくれるような、どこか懐かしくて、牧歌的な響きです。

この心地よい音に身を委ねていると、ふと、かつて聴いたピンク・フロイドの名盤『原子心母』に収められた「If(もしも)」という曲を思い出しました。あの静かなアコースティック・ギターが奏でる、どこか切なくて、でもどこまでも優しい風景。Tunngの音楽にも、そんな時代を超えて愛される「牧歌的な魂」が宿っている気がして、思わず懐かしいレコードを引っ張り出して聴き直してしまいました。

 

 

でも、Tunngの魔法はそれだけではありません。 優しく爪弾かれるギターの音の向こう側で、「パチパチ、チリチリ……」と、電子の小さな火花が爆ぜるような音が聴こえてきませんか?

それは、焚き火がはぜる音に似た、不思議な心地よさ。 現代的な電子音(グリッチ)が、伝統的なフォーク・ミュージックの中に、まるで「温かなノイズ」として溶け込んでいるのです。

この「牧歌性」と「電子音」の、絶妙なミスマッチ。 これこそが、彼らが20年以上かけて磨き上げてきた、世界で唯一の「魔法」なのだと思います。

 

 

誰かの「好き」という純粋な気持ちが運んできてくれた、この「現代の焚き火」。その繋がりに感謝しながら、私は今日もこの音楽に当たり、心の中の冷えた部分を、ゆっくりと温めています。

何を聴いたらいいか迷っているあなたへ。 このパチパチと弾ける新しいフォークトロニカの音色が、あなたの日常を、ほんの少しだけ不思議な色に染めてくれますように。