テレビをつけていると、突然ローカルな話で恐縮ですが、北海道では平日のお昼時から夕方にかけて流れているバラエティー番組、いや、情報番組というのかしら?があります。

 

「どさんこワイド」って言うのですが、世界や世間で物騒な出来事が起こっても、お構いなしに地元ネタでのんびり盛り上がる風情が心地よくて、何も用事のない時は、息子のお嫁さんといっしょに、コタツで横になったりしながら、何とはなしに見ています。

 

天気予報のコーナーになると、北海道の最寄りの場所が屋外の定点カメラで映し出され、各地域の今の情景を見ることが出来ます。

 

函館山から見下ろした夕暮れ前の街並みの光景、旭川の旭橋を渡って帰りを急ぐ?車の模様、夕闇迫る小樽運河を歩く観光客の群れ…。

 

そんな中で、私にはいつも気になる街があります。

この街の光景、いや、この街から見た海の光景が映し出されると、なんか、ワクワクします。

留萌(るもい)、なんです。

実際に、何度か訪れたことがあります。

今思うと人生の転機に、どういうわけかここを訪れたことがあるような~。

なぜかって、この街の何にもなさ、

そんなこと言うと、地元の方に怒られそうですけど、

「空虚」とはまた違う、もうちょっと肯定的な意味で、何もない、

余計なものが何もない、と言えばいいのでしょうか、

私には清々しささえ感じさせてくれる何かがあるのです。

 

昨年は留萌線が廃止され、もう鉄道では行くことが出来なくなってしまいました。

深川で函館本線から乗り換えて、留萌に着き、構内の立ち蕎麦屋さんで、にしんそばを食べたことが思い出されます。

 

そして、そして、この留萌。

実は音楽の街なんです。

有名な方では、次のような方がこの留萌出身です。

 

黒澤明監督の一連の作品やゴジラシリーズを筆頭に、日本の映画音楽の大家、佐藤勝、

「宇宙戦艦ヤマト」や懐かしの昭和歌謡、ザ・ピーナッツを手掛けた、宮川泰、

自らが歌う「青春時代」だけでなく、数々のヒット曲を提供した、森田公一。

………

 

と挙げておきながら、実は私、熱い思い入れで語れるほど、それぞれの方に詳しいわけではありません。

 

今日、留萌のお話をさせて頂いたのも、昨年の暮れ、雪降る中、車を運転していたら、前をキタキツネが横切ったからなのです。

北海道では、街をはずれて、農道に入ったりすると、普通にキタキツネに出会えたりします。

それで思い出しました。

むかし、こんな映画があったな~って。

 

 

この映画に、留萌出身の佐藤勝先生が、2曲提供されていて、その内の一曲が、私、大好きなんです。

 

「やすらぎ」

♪果てしない砂丘に、

緑の夢~♪

 

映画では、紅白歌合戦にも出場したことのある、朱里エイコさんが歌っていたのですが、サントラでは別の方が歌われています。

 

このメロディーを聴くと、留萌の街のバックに延々と広がる夕焼けの日本海の海が思い出され、郷愁と言えばいいんでしょうか、胸がキュンとしてしまいます。

 

キタキツネはオホーツクの物語ですし、佐藤勝さんはたまたま留萌出身だっただけです。

ただ、私の中では、黄金岬からの光景とメロディーから受ける印象が勝手に重なり合って、ひとつの心象風景になってしまったようです。

ふとした時、その風景を思い起こすと、どういうわけかやすらぎを感じる自分がいます。