先日読んだ発生学の本は面白かった。現在の生物学は遺伝子や分子が細胞の行動を決めるとする立場であるが、著者はその考え方だけでは生物の有り様を説明するのに無理があると主張している。細胞にも意思があり、
その時々の環境の変化に応じて自分の意思で行動していると考える方が自然であると説いている。一見滑稽な考え方に聞こえるが、私にはとても共感できる。生命は物理化学だけではとうてい説明できない存在であり、人が例えうまく説明できたとしてもそれは便宜的で人間が理解する上で都合の良い解釈ができたという事にすぎないと思う。
がん細胞に意思はあるのか?私はあると思っている。無限に増殖し、最後はホストを食いつぶしてしまう生物だが、意思があり目的も持っているように思う。さらに、がん細胞はお互いに会話もし、協調しながら生きているように思う。がん細胞はなぜ増え続けるのか?彼らが増えたいと思っているからだ。なぜ増えたいのか?それは生物一般の子孫を残すという遺伝の原理に基づくものであるから、増えたいと思うのはがんに限った話ではない。がんが増え続けるのは自分でブレーキをかけないからだ。普通の細胞は周りを認識して、配慮して、必ず途中で止まる。しかし、がん細胞も周りの環境によって増殖を止めることはある。つまり、止めようと思ったら止められるけど、周りの空気が読めないKYみたいな人のようだ。厳密には、周囲をある程度察知できるけど他の人より圧倒的に弱く、自ら突き進む欲求の方が強い。例え周りがどんなに反対してもほとんど気にしない。鈍感力。どこかの政治家にも似ている。がんと会話が出来たら、どんな気持ちで毎日一生懸命がんばっているのかを聞いてみたい。でも、こういう人と議論しても、だいたい議論にならない事が多い。そうだ、がんは怪しい新興宗教の教祖みたいだ。