甲子園が熱い。

8月になると、早実野球部だった1978年の頃をいつも想い出す。


ミスターサマータイムが行進曲。


蜃気楼と砂煙とグランドの白線。


それは時空を超えて蘇る、、。


第100回目の大会となった今回、秋田県の金足農業の躍進ぶりは、当初誰も予想だにしなかった。


しかし、今日の近江との逆転ツーランスクイズは金足農の伝統の技とも言われ、まさに同校のDNAとして継承されてきた。


甲子園とは、開会前から呼び声の高いどんなスーパー選手でも一回戦で敗退することもある一方、まったく無名の選手が、試合ごとにあれよあれよという間にスターダムにのし上がることもある。


だから甲子園なのだ。


亡くなった名作詞家阿久悠さんの彼らに寄せる『甲子園の詩 敗れざる君たちへ』は本当に心を打った。


1988年の夏の大会。岩手県高田高校と兵庫の滝川第二の試合は、猛烈な豪雨のため、あと1イニングを残して、勝っていた滝川第二の攻撃の途中で56年ぶりの降雨コールドとなった。


そこで、阿久悠さんはタイトルを『コールドゲーム』と題し、高田高校には甲子園に1イニングの貸しがあると綴る。


ユニフォームに重くのしかかる雨 足に絡みつく泥 白く煙るスコアボード


降雨コールドと苛酷な結末を迎えた高田高校のナインの無念さを見事なまで描いた詩だ。


その石碑はあの東日本大震災で、高田高校が体育館が校舎に突き刺さった際も、流されずに今も現存している。


1イニングの貸しは永遠に消えない。