年の瀬が一日一日と過ぎていく。


そんななか、北海道の松前市の皆さんは不安な日々を送っている。


あの北朝鮮の木造船の松前小島への上陸の実態が明らかになるつれ、警備を徹底させているものの、道警もいつ何時、どこに不審船が来るかわからず、海上自衛隊や海上保安庁との連携で事に当たっている。


船は北朝鮮国籍の、しかも軍の船が多く、軍の船でないと航海に出るのが難しいゆえとも報道されているが、北朝鮮が金正恩や軍の指示で恣意的にそうさせていることも考えられる。


しかし、今回の場合は、北朝鮮の乗組員が極貧の生活から抜け出すために航海したようだ。


日本の領海、領域を侵し、不法侵入し、物品を窃盗したわけで、これは日本の国内法に基づいて厳格に逮捕、拘留、起訴すればよい。



しかし、問題は処罰が確定した後の帰国だ。


普通なら強制送還が頭に浮かぶが、これはご法度だ。


乗組員たちは、亡命目的かと思ったが、家族が国にいるようで、北朝鮮への帰国を希望していると報道されている。


ところが、彼らが北朝鮮の方針で、日本へのスレットをかけようとしての行動でなく、自分たちの判断で今回の騒動になったとしたら、金正恩は彼らを最悪処刑することもあり得る。


そうなると、韓国や中国経由でしか帰国できないことから、その途上に彼らが気が変わり、帰国したくないのにさせられたとなると、難民条約における難民指定がされ、それを強制送還した日本への国際批判ともなる。


このあたりが、非常にセンシティブゆえ、慎重に事を進めなければならない。



捜査が進むごとに判明したのは、今回はこの小島に10日間も滞在して生活をしていたこと。


今後このような事態が日本のどこで起きるか、また乗組員が武器をもっていることも考えられ、万が一の時には当然、一触即発の国際問題にもなりうる。


年の瀬を迎え、日本国民の命と平穏な生活を守ることが第一だが、一北海道の問題でなく、日本海側のすべての地域や島嶼の警戒に全力を尽くすことだ。