日銀の金融政策について。


財務副大臣時代に金融政策決定会合に出席する機会を得たが、あらためてこの4年間の黒田総裁の金融緩和策を検証してみる。


2013年から物価目標(インフレ率)を2%とし、緩和策を継続してきた。


当初2年で2%を達成すると公言してきたが、目標達成時期を1年、2年を目途にと延長してきた。


決定会合の委員のうち二人くらいは緩和やめるべしとのテーパリングについての発言があった。


しかし、黒田総裁は引き続き、緩やかな景気回復が続いているが、まだ物価上昇率が目標を達成していないとし、緩和を続けてきた。


結果何が起きたか。


雇用はこの4年間でなんと200万人増、非正規よりも正規社員のほうが増加率が大きく、最低賃金も上がった。


FRBは2015年にテーパリングを行ったが、その後3回の利上げを行っている。


さらにここにきて、FRBは保有債券の資産圧縮をするとの姿勢を示している。


米国債権を売却するのではなく、再投資をしないことでバランスシートを正常化するとのスタンスだ。


そして、セオリーからするとインフレ率が高まると失業率が下がるのだが、米国はその通り過去最低の失業率を達成している。


ところが、日本の場合、2%に達していないのに失業率は3%半ばと、完全雇用状態になっている。


ここはインフレ率と雇用の相関関係にある時点から逆相関関係に転じるターニングポイントがあるようで、このあたりを研究してみる。


しかし、大切なのはインフレ率が目標に達していないことより、インフレ傾向にあるのに賃金がまだ追いついていない点。


一方で、大企業は内部留保が350兆円にもおよび、いかに設備投資と賃金アップにつなげるか。


黒田総裁の任期が近づくといろいろなことを言う人がいるが、金融政策の目的が雇用改善にあるとするなら、ファクトが示しており、緩和策をやめる選択肢はないはず。


財務省に副大臣として一時期でも身を置いた者としてしっかり金融経済に携わっていく。