こんばんは、アヤンティーヌです
先日無事完走した、
東京あんみつ10選(選者・アヤンティーヌ)
をあらためてまとめてみました。
あんみつ
餡と蜜、なんと甘美な名前
甘いものを好まない方ですら、甘味処にあるメニューをひとつあげよ、といわれたら、
かなりの確率で「あんみつ」が筆頭にあがるのではないでしょうか。
あんみつを語ると言うことは、すなわち甘味処そのものを語ることにほかならないと思っている私です。
というわけで今回の甘味愛好会活動記録は、
あんみつです。
「あんみつ」は、東京発祥の甘味。
汁粉屋として創業した「銀座 若松」の2代目が、昭和5年(1930年)に考案したのがはじまりだそうです。
「もっともっと甘くておいしいものが食べた~い!」という常連客の要望に答え、当時すでにあった「みつ豆」に、こし餡を乗せ、さらに黒蜜をかけて提供したところ、大ヒット。というのが甘味界の王者の誕生秘話。
東京あんみつ10選 (私の独断デス)
~その①~
「銀座若松」(銀座)
前述の通り、あんみつ発祥のお店。
ファッションビル「銀座コア」の一階(プラダの横)。ビルが立つ前の、明治27年(1894年)からこの地にお店を構えているそうです。創業120年以上。店内は、若松色(?)のファブリックで統一。
元祖あんみつ 950円
若松の名にちなんだ松形の羊羹がアクセント。
三宅島産のテングサを使用しているという寒天は、噛むとジョロリンホロホロ(?)、という食感で崩れていくちょうどよい固さ。
自慢の餡子はスプーンにねっとりとからみつくほど濃厚で甘味が強いのに、後味が軽くすっと溶けて口の中をかけ抜けていきます。
別添えの、奄美大島のものだという黒糖を使った黒蜜は、甘すぎずむしろさわやかな風味と香り。
赤エンドウ豆は、しっかりした豆の味と遠くに塩気かあるので、全体をくどさのないバランスに保ってくれます。
~その②~
「芋甚」(根津)
大正元年(1912年)創業。
初代甚蔵さんが芋屋としてスタート。1923年の関東大震災をきっかけに火を使う芋屋さんを辞め、アイスクリーム屋に転身。当時は氷と塩で冷やしてアイスクリームを作っていたのだとか。100年以上続く老舗。
昭和初期からの看板商品、アイス最中で有名。
あんみつ430円
黒糖の香ばしい風味がしっかり立っている濃厚な黒蜜は、最初からかかって提供されます。
のど越しの良い寒天は、遠くに磯の香りが。なによりぷっくりと炊き上がったすこし硬めのえんどう豆の美味しさにハッとさせられました。
餡はねっとりとしていながらも、す~っと溶けて消えていき、甘さが強いのに主張が控えめ。牛皮やフルーツも、存在感がしっかりしているのに、決して前に出過ぎない。全員が主役で、全員が脇役。美味しさってバランスの妙なんだ、と実感します。
~その③~
「紀の善」(神楽坂)
神楽坂にきたら、坂下にあるこのお店に「ああここが」と、たいていの方が、ふむふむとうなづく有名店。
平日でも、店内はご近所のマダムや神楽坂散策に来た人でにぎわっています。
創業は1860年。料理屋、口入れ屋(人材紹介業)寿司屋等、時代時代で業務形態を、変えつつ、甘味処となったのは、昭和23年(1948)からとのこと。
唯一無二の抹茶ババロア(961円)も有名。
注文を済ませると、まずお茶とブタちゃんのお煎餅が供されます。
(とんとん拍子にことがすすむ、という意味で縁起を担いでいるとのこと。)
あんみつ854円
やさしい色合いのこしあんは、甘さひかえめでさらりとした仕上がり(つぶ餡に変更可)。ほっくりと漂う小豆の良い香り。
まめは苦み塩気のない甘さのあるもの。
寒天はつるりほろりと、喉ごしよく。
黄金色のくろみつは、黒糖はそんなに香らず、あんの風味をじゃましない控えめな甘さ。
※2022年10月追記
2022年9月30日に突然の閉店(諸般の事情によりとのこと)。75年の歴史あるお店が、一瞬でなくなってしまった喪失感。悲しい
~その④~
「初音」(人形町・水天宮前)
江戸末期、天保8年(1837年)創業の老舗。
店名は歌舞伎の義経千本桜に登場する「初音の鼓」にちなんで。
さつまいもの加工品販売からはじまったそうです。
本当にタイムスリップしたかのような気分になる、昔のままの店内は、古くても清潔感のある居心地の良い空間。
席に着くとまず、茶釜で沸かしたお湯でいれられた、まろやかな味の煎茶が。
あんみつ700円
蜜は別添えではなく、提供時にかかってくるタイプで、白蜜と黒蜜が選べます。
小笠原諸島の天草を使用しているという寒天は、つるりんほろろと噛み崩れ、蜜と共にのど越し良く消えてなくなります。
北海道産小豆のこし餡は、すーっと溶けて、控えめな甘さのさわやかな後口。
ふんわりとろけるタイプのお餅がアクセント。
レトロな店内であんみつを食べていると、
朝ドラの登場人物になったような気分に。
水天宮にお参りした帰りには是非
~その⑤~
「いり江」(門前仲町)
沖に出た船が、戻ってきたときにホッとできる入り江のようなお店にしたいとの命名。
もともと昭和初期から蒟蒻・寒天を製造していて、その後甘味屋に。
なので、寒天には特にこだわりが。
小倉あんみつ760円
こだわりの寒天は、神津島産と大島産の天草を、7対3でブレンドしたもの。噛むとグリュグリュホロッとほどけます。
蜜は黒蜜と白蜜から選択可。
餡は十勝産で、甘さの強い、キメの細かいなめらかなこし餡。
ぷっくり炊かれたえんどう豆は塩味がほのかに。
お餅はじょりじょりっとした楽しい食感。
もと寒天屋さんだけあって、お土産用に天草が売っていました
富岡八幡宮にお参りした帰りには、是非
~その⑥~
「みつばち」(湯島)
明治42年(1909)創業。もともとは氷問屋。小倉アイスの発祥のお店。
大正4年(1915年)の夏、売れ残った小豆がもったいなくて、アイスクリームを作る桶に保存し(氷を下に入れお塩を振ると-28℃程になる)、明朝、凍っていたので食べてみたら美味しかった、というのが小倉アイスのはじまりだそうです。
あんみつ540円
少し小さめの寒天は伊豆産。もっちりとした抹茶味の求肥が三個。バナナ桃さんらんぼ。
別添えの蕎麦湯のような大きな入れ物は、たっぷり入った黒蜜。
自分で好きなだけかけるスタイル。
抜きん出て甘い黒蜜は、通常の三杯の量の沖縄産の黒糖を寸胴で煮詰めているのだそうです。
求肥も自家製。
自慢の小豆は北海道産。
名物の小倉アイス、はいわゆるアイスクリームではなく、例えて言うなら粉雪と砂糖を固めたような食感の氷菓寄り。
甘さもとてもひかえめなので、 「小倉鹿乃こ」という、ゆるめのつぶ餡が添えられた食べ方は最高の組み合わせ。
~その⑦~
「みはし」(上野)
昭和23年、あんみつ屋として開業。
かつて不忍池から流れていた川に、橋が三つかかっていたことが店名の由来。
休日は終始行列が。平日でもすぐ満席になる人気店。
あんみつ570円
寒天とえんどう豆に黒蜜をかけてから、四角くすくいとられたこしあん(つぶ餡に変更可)と、みかん、おもちが載せられています(なので一瞬、蜜がかかってない?って思っちゃうかも)。
北海道十勝産のこしあんは、口どけよく甘すぎないさらっと仕上げ(粒あんに変更可)。
「さっぱり」がみはしの信条とのことで、黒蜜と白蜜の中間の甘すぎない蜜。
カドのしっかりある寒天はほとんど癖がなく、さっぱりした餡と蜜と良いバランス。
甘すぎるのが苦手な人でも抵抗なく食べられる、あっさりめのあんみつ。
~その⑧~
「竹むら」(神田・淡路町)
1930(昭和5)年創業の甘味処。入母屋造りの建物は、平成13年に 東京都選定歴史的建造物に認定されています。
かつては池波正太郎さんも足繁く通ったという汁粉屋。
てんぷらの衣をくぐらせた手作りまんじゅう(こしあん)をゴマ油で揚げる「揚げまんじゅう」は、サクサクふんわりもっちりで超美味。
あんみつ750円
(竹むらでは、どの季節でも、まず最初に桜茶が。)
少し柔らか目のホロリと崩れる寒天に、優しい甘みの自家製の蜜。ほくっと炊かれた豆は主張しすぎず、食感のアクセントとしての存在。餡もまた、甘すぎず、さらりと。全てがひかえめな美味しさ。
竹むらのあんみつは、男性ファンが多いと言うのもうなずけます。
この日も、二人連れのスーツ姿の男性が、それぞれお土産用の揚げまんじゅうを10個注文してから、店内であんみつを召し上がっていました。
寒くなってくると、熱々の「粟ぜんざい」も食べたくなります。
~その⑨~
「新緑堂」(向島)
2014年オープンの比較的新しいお店。
向島の、足袋の「めうがや」さんの並び。
「新緑堂」という店名は、お抹茶の「ふかみどり色」が大好きだからだそう。
とにかく徹底的に「手作り」にこだわっていて、ご夫婦だけで営業されているので、1日50食限定。
注文すると、ご亭主(いつも緑色のTシャツ)が、「あんみつなのに?」と思ってしまうくらい、カウンターの向こうで細々といろんな作業をする姿に、本当に「その場で」手作りなんだなあと。
あんみつ750円
特に奇をてらっているわけではないのに、どこか「モダン」なたたづまい。
3種類を合わせているという自家製の寒天は、ホロホロジョロリン、と口の中でほぐれます。
香り高い黒蜜は、波照間産と西表島産の二種類の黒糖をブレンドしているのだそう。
餡ももちろん手作り&手濾しで、極端になめらかすぎないほっこり感のある優しい甘さと食感。
やや大きめのえんどう豆は、ふっくらと炊かれていて、嫌みのないアクセントに。
あんずとすぐりとくるみと白玉(注文後に茹で始める)がのっているのですが、酸味と食感のハーモニーに、思わずにっこりしてしまいます。
この季節はお汁粉も。どれもほんとうに癒される味わい。
~その⑩~
「梅むら」(浅草)
「孤独のグルメ」でさらに有名になったけれど、浅草寺の裏手、浅草駅からは10分以上かかるので、土日休日を外せば、意外と入りやすいです(テイクアウトにくる方の方が多いかも)。
寒天の上にえんどう豆が乗った「豆かん」は、こちらのお店が発祥。
つやつやしたオニキスのような豆が勢揃いしている様は、本当に美しすぎる。
メニューは甘味のみで、どれもお値段控えめなのに味は抜群。
あんみつ600円
これ程完成度の高いあんみつがこの世に存在するでしょうか?角がしっかりした、つるつるぷりぷりだけど、噛むとさっとほどける寒天に、もちろん豆は天下一品。雑味なく、豆のほのかな香ばしさと塩気はありつつほっくりした甘さ。皮も長くは口に残らず、スッと消えていきます。
餡はねっとりしながらも、こちらも口どけよく。全体のバランスを引き立てる甘すぎない黒蜜。そして、缶詰めのみかんの意味、を初めて実感。
甘味としての完成度の高いあんみつには、その時々で甘みや酸味の違う生の果物よりも、安定した味の缶詰のみかんがベストなのだと。
しっかり甘いのに、爽快な食べ心地。
最後に、梅むらの美しい豆かんもアップで。
待ち受けにしたいくらい!
と、いうわけで、東京あんみつ10選でした。
ちなみに、ほんと私の独断選考です
たとえば。
「虎屋茶寮」のあんみつ。
こちらも、ものすごく完成度の高い芸術品のようなあんみつ。
餡子はもちろんなめらかで、上品な甘さ。宝石のようにカットされた琥珀羹や型抜きされた色寒天が入っていて、餡子と蜜の甘みと合わさり、寒天とのハーモニーに華やかさをプラス。添えられた金柑(冬のトッピング)もあんみつの風味を邪魔しない絶妙なアクセント。
ただ、1320円というお値段が、気軽に食べる甘味としては・・・。
みたいな感じ。
なので、選考基準は追及なしで~
今宵も最後までお読みいただいて
ありがとうございました
では、また~