週刊一色塾 Vol.264
2018.08.07(古文科:高村康典)
台風が接近しているせいか、少し涼しいですね。
でも終末からまた暑くなりそうですので、引き続きご注意ください。
ところで、台風という言葉は外来語の音に漢字を当てはめたものです。
タイフーン(typhoon)→台風(颱風)となりました。
逆だと思っていた方も多いのではないでしょうか。
かつて日本では台風を指す語として「野分のわき」が使われていました。
夏目漱石の小説にも『野分』という作品があります。
新潮文庫では『二百十日』という小説とあわせて出版されていますが、「二百十日」もまた台風と関連のある言葉です。
立春から数えて二百十日後となる9月初旬は台風が多く日本に襲来する季節なので、秋の収穫を前にした厄日として農家では警戒されてきたそうです。
『枕草子』
野分のまたの日こそいみじうあはれにをかしけれ。
→台風の翌日は非常にしんみりとして、また面白くもあるわ。
これも有名なフレーズですし、また『源氏物語』にも「野分」という巻が存在します。
ちなみに、「嵐」という言葉は「台風」よりも断然古くから存在しています。
吹くからに秋の草木のしをるればむべ山風を嵐といふらむ
→吹くとたちまち秋の草木がしおれるから、なるほど、山から吹き下ろす風を「嵐」と書いて「荒らし」と読むのだろう。
現代では「嵐」と言えば暴風雨のことですね。
(またはジャニーズのグループですね)
しかし、「嵐」という言葉は元来「強風」のことであり、雨は関係ありませんでした。
漢字の指すとおり、山から吹き下ろす強風を指すことが特に多かったようです。
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