イギリスのEU離脱派勝利で感じたこと。 | ほぼ・・・週刊一色塾

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週刊一色塾 Vol.154
2016.06.28(英語科:遠藤)

 

 英語科の遠藤です。こんにちは。
 先日、イギリスでEU離脱の是非を問う国民投票が行われ、離脱支持が残留支持を100万票上回って勝利した。おそらく世界中の多くの人が残留になるだろうと思っていただろうし、直前のイギリスでの世論調査でも離脱支持優勢と報じられていた。日本でもそう思っていた人が多かっただろうし、私もそう思っていた。当のイギリス人も、支持不支持は別にして残留派勝利と考えていただろう(それでは面白くないと反対票を入れた人も多いだろう)。そもそもあまり考えていなかったかもしれない、興味のない人も多かったかもしれない(The Huffington Postによれば離脱決定後にイギリス国内でのグーグルでのも最も多かった検索は”What does it mean to leave the EU?”であり、次に”What is the EU?”、”Which countries are in the EU”と続くとあった)。
 投票結果によるイギリス国内での衝撃は言うまでもない。スコットランドやアイルランドでの独立機運が再燃しており(ウェールズまで独立に動いている)、ロンドンまでも「独立」を言い始めている。この投票結果に関してやり直しを求める動きが出るのもわからないでもない。
 そして、その衝撃はイギリス国内にとどまらず世界中に広がった。株式は一気に値を下げたが、そのお金は円を直撃したようだ。そういう意味でとりわけ日本の衝撃はかなり大きい。もともと円高傾向だったものが投票直前で急に円高が加速して動いたわけなので、市場はある程度予想はしていたのだろう。ここ数年の円安志向のいわゆるアベノミクスの政策は台無しとなったと言えるかもしれない。皮肉にも円が現在「世界最強の通貨」ということなのだろう。円が上がれば国の税収が下振れするのは言うまでもない。また、イギリスには、EUの拠点として、日本の企業が進出しているわけだから、難しい立場に立たされることは確かだろう。離脱となれば、最悪脱出、撤退もあるだろう。今後の日本の経済への影響はかなりのものだ。飛行機で文字通り半日かかる国にこんなにも影響を与えているとはイギリス人も思ってはいないだろう。
 EUはもともとイギリスのチャーチルの「統合ヨーロッパ」に端を発しており、ヨーロッパからの戦争の回避を意図していたわけで、その目的はドイツの足かせであったが、ドイツが中心となっているのは歴史の皮肉とも言うべきか。イギリスはそのEUに対して、いろいろと不満があり、法規制や通貨、特に移民問題に関してイギリス独自の政策が出来るよう要求していた。
 イギリス国内での不満のガス抜きにとキャメロン首相は国民投票で公約したわけだが、まさか離脱派が勝つとは思っていなかったはずだ。それは今回の投票が、どうやら単にレイシズムや移民反対だけではなく、普通の労働者の切実な切迫した状況を反映しているからなのだろう。イギリス国内の経済状況はかなり酷くこのままではどうしようもない、せめて我々の怒りだけは示したいという意識が強かったのかもしれない。単一の市場は一見、合理的に思えるのだが、大きなものが小さいものを飲み込むためのもの、それを合法化するものなのかもしれない。歴史的経緯より今の生活を優先するのはそれだけ切羽詰まっているのだろう。ただ、EUからの離脱はそうした人たちにさらなる苦境をもたらすかもしれない。そして今利益を得ている人たちはこれをさらにビジネスチャンスとするだろうから、これもまた皮肉なことになるかもしれない。こんな重大な決断を国民にやらせるのはどうかという意見もあると思うが、ひとり一人が主権を持っているのだから自分のこととして考えて行動することが当然と考えれば、今回の件はある意味多くの人が思考停止に陥っていたとも言える(こんな大事なことを政治決断ではなく国民投票で行うとという公約を望んだ人ももしかしたらそうかもしれない)。もちろん他人事ではない。我々も選挙間近である。

 

 

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