気になったアレコレ6 | ボクの奥さん

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ボクの奥さんは、半世紀に渡る甲斐よしひろさんファン。このブログは、主に彼女の『甲斐活』について綴っております。

今日はセイヤング、明日の未明はLEGENDSと
甲斐さんのラジオが立て続きますので
自分では結構お気に入りのこのシリーズも、一区切りにします(笑)

今回も「賞」繋がりで「蜜蜂と遠雷」で直木賞を受賞された
恩田陸さんへのインタビュー記事から…

この「国際ピアノコンクールを舞台にした青春群像劇」を
構想から12年、取材11年、執筆7年かけて書かれた恩田さん

「歩んで来た道のりも、あふれる才能も様々な若者たちが
予選から本選に至って繰り広げる競争を
専門用語をなるべく使わず
クラシックに興味のない人でも楽しめるように心を砕いた」と話されてますが

書評に名を連ねておられる著名作家の皆さん…例えば、林真理子さんは
「複数のピアニストがそれぞれ複数の曲を弾く

しかし同じ描写がまるでないのである
これは本当にすごいことだ
ピアニスト個人と弾く曲の個性がくっきりと現れている」と評され

東野圭吾さんは「音楽を文章で表現するのは難しいが
作者はありとあらゆる手を使い、至るところから言葉をかき集め
その素晴らしさを伝えようとしている

それがこの小説の読みどころであり、作者の挑戦だと解釈した
これだけの数の音楽や演奏の模様を
丹念に描写した粘り強さには頭が下がる」とおっしゃってるし

北方謙三さんも「言葉が圧倒的であった
音楽を小説の中で表現するのは至難であろうが
言葉の洪水の中でそれがなし得ているというのは、新鮮な驚きであった

私は、新しい表現と向かい合っているという
刺激的なものを感じ続けながら、読了した」

…と、その「百聞は一見にしかず」ならぬ
「百文は一聴にしかず」のはずの「音楽」を
あえて、文章にされたことを絶賛なさってます

奥さんは、クラシック音楽やピアノコンクールを題材にした
ミステリー小説を何冊か読んでいて
その作者の方ご自身は、ピアノをお弾きになれないと知り

綿密な取材をなさったとはいえ、話をお聴きになっただけで
「よくあんな小説が書けるもんだね」とビックリしてたんだけど

こちらは、ピアノ演奏の場面だけでなく
ミステリーのトリックや謎解きにも重点が置かれているのに対し

恩田さんは、子供の頃にピアノを習われていたとはいえ
演奏の場面がメインになる小説を書かれた訳で

デビューから25年、本屋大賞に輝かれて以来
直木賞候補になられること6回
多彩な作品を生み出して来られた才媛をして
「新しい小説を書くのは、ものすごく怖い」と言わしめた作品

観て来たような又聞きレポ(笑)を書いたりする我が身を思うと
是非とも拝読して、その文章力の片鱗とは言いません
チリ、いや、ナノレベルでも参考にさせて頂きたいです

もっとも奥さんは「レコーディングに入る時は、いつもこわごわと始める」
と、話されていたミュージシャンの方を思い浮かべていたようだけど…(笑)

ちなみに、恩田さんは「酒に貴賤なし(笑)」とおっしゃるほど
お酒がお好きらしく、何でも好きなお酒でリラックスなさって
執筆の糧にされているんだとか…

甲斐さんの「ムダ飲みはしない(笑)」
という言葉を思い出しつつ、記事を読み進めると

「読者の時間泥棒だけはすまい、と思って来た
頂いたお代の分だけ楽しんで貰える作家でありたい」と結ばれていて

甲斐さんが「九州少年」のサイン会の際に
「CDは1枚3千円くらいだけど、本は千円ちょっとでしょ

それを買って貰うために、作家の人は

こんなに大変なことやってるんだよねぇ」と話されてたなあと…

伊集院静さんが紫綬褒章を受賞なさった際に
「大酒を飲み、ギャンブルをやり、女性の噂があったから
無頼派と呼ばれているけど(笑)
無頼派だと小説は書けません

執筆は丁寧にやるべき仕事
頭で考えても限度があるため、小説は基本的に体で書くもの
農夫が朝早く起きて、土を返すことを繰り返すような営みなんです」
…と、コメントされてます

ただ、亀和田さんは「ミュージシャンが1年間、あるいは2年間
スタジオに籠りっきりで制作したアルバムも
聴き手は46分間で聴き終えてしまう

そして呟く[モータウンサウンドを
トレバー・ホーン流のサンプリングで味つけしようとしたんだろうけど
イマイチだねぇ…]なんて…
要するに聴き手がスレッカラシになって来たのだ

何しろ、送り手が何ヵ月、あるいは何年間かかけて作ったものを
ものの何時間も経たない内に
自分の知識、体験として感覚の中に繰り込み、パクって行くのだから
送り手はそのスピードに追いつける訳がない」とおっしゃっていて

詩人の菅啓次郎さんは「本を読むということは
[無数の人々が体験した、その痕跡を
言語によってなぞって来た過去]を読み取ること
それが、未来を切り開くのだ」と記されているそうで

「無」から「物」を作られる方々の苦労は
魂を揺さぶられるような、あるいは価値観を塗り替えられるような
受け手側の感動によって報われるんじゃないかと…?

が、批評家や編集者などプロの読み手の方の中には
「同じ分野の本ばかり読んで疲れてしまう」とか
「すごい本に出会って打ちのめされた」といった理由で

本を読んでいても文字を追うだけになり
内容が頭に入って来ない「読書スランプ」に陥る方がおられるそうで

対策としては、野球のデータや時刻表を見て
気分転換することが挙げられているんだとか…

甲斐さんは「読むものがないと
新聞の折り込みチラシでさえも読んでしまう
何か体に文字を入れておかないと落ち着かない」
「活字中毒」でいらっしゃいますし

奥さんは時刻表を見るのが趣味だし(笑)
やはり、好きなことは仕事にしない方が幸せなのかも知れませんね

一方で、CDは買わずとも配信で音楽を聴くことはあっても
1日の読書時間は「ゼロ分」という若者が50%に達し
他の世代の方にも本離れが進んでいるらしい(汗)

奥さんは、10代の頃に、毎日1〜2冊ずつ読み続けても
今、この世に存在する本を全て読み尽くすことは出来ないんだろうなあ…と
焦るとも諦めるともつかない気分になったことがあるみたいだけど

一度どハマリすると、延々リピートする(笑)という
自分の性質を考えてみれば
毎日の1冊が、ずっと同じ本って可能性に気づきそうなもんだと思う(笑)

もっとも、同じ本でも読むたびに違う発見があるかも知れないし
読み返した時の年齢によって、受け取り方が違うことも考えられるし

やはり「たくさんの本を読むことも必要かも知れない
俺は、それよりも1冊の本を深く読む人生でありたい」

という甲斐さんの言葉は、正しい(笑)「本好き」の在り方かなあと…


余談ですが…恩田さんは、直木賞受賞後に
たくさんのお祝いのお花を受け取られ
「面白いことに、やはりどことなく贈って下さった方の人柄が
お花に滲み出ているような気がする」とおっしゃってます

「もちろん、お花はお花屋さんが選んでいるのだし
電話などで注文を受けてアレンジしているのがほとんどだと思う

なのに、不思議とお花の向こうにその人の顔が見え
[意外にシックなのね]とか
[あら、思ったより派手好き]などと人格を感じる

きっと、お花屋さんも電話の声や名前の印象から
無意識の内にそれに見合ったものを選択しているのかも知れない」と記されているんだけど

一応、華道免許皆伝の奥さんによれば
お花を選ぶ際には、お花を注文された方ではなく
贈られる方のイメージを優先するらしく

例えば、その方の性別や身長によって、ブーケの長さや形を変えたり
「キリッとした顔立ち」とか「にこやかで優しそうな雰囲気」といった
その方の特徴や印象を元にアレンジするんだとか…

あっ、でも、甲斐さんは「いつも白い蘭を贈ることにしている」そうだし
「赤いバラを…」と、花の種類を指定なさる方も少なくないみたいですが

そういう場合は、相手の方のイメージというより
贈る側の方ご自身のセルフイメージってことでしょうか?(笑)

ともあれ、恩田さんによれば…ご自身の受賞作の中で
生花業を営む男性が花を活けるところを見て
ピアノコンクールに参加している少年いわく…

音楽は活け花に似ている
再現性という点では活け花と同じく一瞬で、すぐに消えてしまう
しかし、再現している時には永遠の一瞬を生きることができる

…くう〜っ!グッとキますねえ

「毎日水替えをし、水切りをしても、永遠にはもつことのない花
しかし、受け取った時の花の美しさ、その全身で主張する祝福

この瞬間は、贈った方も贈られた方も、永遠だ
なるほど、お花を贈るのは、瞬間の永遠を贈る行為なんだな
と納得したのだ」と書かれているんですが

奥さんは、ライブ中にお花を渡そうとして、警備員の方に止められた女性に
アンコールで登場された甲斐さんが
「今なら良いよ」と恥ずかしそうに受け取られたことを思い出したみたいです