前回の記事でも触れた甲斐バンドのNHKホールライブ。
デビュー以来ずっと4人一緒にステージに立って来たのに
ベースの長岡さんが体調不良のため
『とうとう秋のツアーは出れない。』
この知らせを口にする甲斐さんの声は暗くて、
悔し気な口調に奥さんはひどくショックを受けたらしい。
上京して来て、仕事先も生活の場もいつも4人一緒。
当時の写真集には、高円寺のマンションの部屋で、
仔犬がじゃれ合っているかのようなメンバーの写真が載っている。
甲斐さんがよく言っていたのは、
『作詞の話は長岡と、曲のことは大森と、遊ぶ時は松藤と(笑)』だったらしい。
でも、人が4人いれば自然と2人ずつに分かれるのは良くあることで、
そういう時に甲斐さんの隣にいるのは、
ほとんどの場合、長岡さんだったそうだ。
奥さんが今でも忘れられないメンバー紹介のシーン…
『ドラムス、松藤英男』
『リードギター、大森信和』
『そして、手伝ってくれるセッションのメンバーに拍手を!』
このセッションメンバーには、今や甲斐さんのツアーに
欠かすことの出来ないギタリスト佐藤英二さんがいたというのに
個人名で紹介されることもなく…(汗)
『そして最後に…見えるだろ?ベースギター、長岡和弘!拍手を…』
甲斐さんが、いつもの長岡さんの立ち位置を指差しながら紹介した。
この後、長岡さんは甲斐バンドを脱退する。
新しいアルバムを出して、ツアーに出るというのが、
当時の甲斐バンドのスタイルだったそうだが、
『マイジェネレーション』を録ったきり、長岡さんがステージに立つことは無かった。
奥さんは『こんなことになるなら、春のツアーの時に
4人の甲斐バンドをしっかり目に焼き付けておけば良かった』と後悔したらしい。
今の奥さんが『1回限り』とか『2度とない』という言葉に弱いのは、
この時の後悔があるからかも知れない。