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VOiCE (51)

 

by KAZUKI

 

 

 

次の瞬間、間近に立つ瀟洒な中庭の時計塔から、カバーのガラス板が砕けて落ちた。辺りに居合わせた数十名の学生たちが、顔を歪めながら耳を押さえて広場に倒れ込む。コンサートのための野外ステージ前は、一時騒然となった。

おババが、鬼神と化したミカリをサリーの中に包み込むように抱きしめる。まだミカリの身体の震えは止まらない。しかし、おババの心の温もりが次第にそんなミカリの冷え切った魂を鎮めていく。彼女の鋭く吊り上がった切れ長の眼から、青白い炎が消えた。そして、身体の震えが止まる。おババはシュージに一礼すると、ミカリの肩を抱くようにしてそのまま広場から立ち去った。

 

その夜のステージは、何時になく珂怜の歌声が透明度を増した秋の星空の下で、響き合う水晶の音のように闇に浸透した。

ケンジのサックス演奏も、のりの良い珂怜のボーカルを後押しして快調だった。

シュージが二人に手を振ると、ステージ上のケンジがアルトサックスを持ち上げるように吹いて彼に応えた。

 

つづく