オークラ千葉ホテル 玄関 (千代子さんから)

 

 

 

高浜虚子 生誕150年

(1874~1959年)

企画展や関連本

正岡子規に俳句を学んだ虚子は、 子規から雑誌 「ホトトギ ス」を継承し、 伝統的な季語と定型の俳句を唱え、自然界の

現象を重視した「花鳥諷詠」で多くの俳人を指導した。  

現在もホトトギスの精神を受け継いだ俳句結社が各地で活動している。

 

盟友の河東碧梧桐(かわひがしへきごとう)は、無季句、自由律の俳句を推し進めた。

 

俳句文学館(東京都新宿区)では、虚子の代表句や生涯を振り返る企画展を9月30日まで開催している。(6月中は休み)

直筆の軸6本も展示。その一つ。

    <年を以て巨人としたり歩み去る>

1年を巨人に見立てた大胆な比喩で、様々なことがあった年が巨人のように過ぎ去って行くようで、人間が小さな存在であることを思い起こさせる。

 

虚子は、夏目漱石の代表作「吾輩は猫である」を「ホトトギス」に掲載したことでも知られ、漱石の作家としての出発を後押しした。

展示では俳人としてだけでなく、編集者としての手腕にも触れる。

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岩波文庫からは虚子が生前記した2冊の随筆風自伝をまとめた『新編 虚子自伝』が刊行された。話し言葉で読者に語りかけるような文章は、大御所の存在をより身近に感じさせる。

「虚子は韻文である俳句のみならず、文章に対しても熱意があり、散文家としての側面も持ち合わせていた」(俳人;岸本尚毅氏(63歳))

同書では虚子が自身の句から約50句を選んで、一言を添えた文章を収録する。

  <連山に日の当りたる枯野かな> 

               26歳の頃に作った代表作。

広漠とした枯野は若者の目の前に立ちふさがる世の中のように感じられ、常に現状には満足しない心が垣間見られる。

「この句によって私の句境がほぼ定ったように思う」と記す.

 

  <虚子一人銀河と共に西へ行く>

スケールの大きな想像力を感じさせる句で、虚子は「宇宙は大、我は小。宇宙は複雑、我は孤独」と添えた。

「自分自身の生の有りようや気持ちの揺れ幅を俳句で包み込んでいる」(岸本氏)

 

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読売俳壇選者;俳人・八島渚男氏(89歳)は、

2022年に、虚子の句を丁寧に鑑賞しながら生涯をたどる

『虚子点描』(紅書房)を刊行。「とにかく虚子はたくさん句を作った。季語の本質をつかんでいて、根本にはつやっぽさがある」と話す。

  

矢島氏が自宅の書斎に掛けている虚子の句

 <闘志尚存して春の風を見る>  1950年の作。

戦後俳誌の創刊や復刊が盛んになり、その動きが「花鳥諷詠」のホトトギス派を脅かすことになったことに対し、今一度闘志を燃やしている。「まだ老いぼれちゃいない、闘うぞという気概は、力になりますね」(矢島氏)

 

 <去年(こぞ)今年貫く棒の如きもの> 同年(1950)作。

新しい年が来ても、自分の中に置く信念を持ち続けようとした巨匠の姿は、現代人をも奮い立たせてくれる。

 

      (2024・5・21 文化欄から)

 

 

 

千葉公園のあやめ (千代子さんから)

 

 

午後はケアプラザへ「フレイル予防でかがやきライフ」

聴講してまいります。