シラン(紫蘭)

 

 

   祖父母の時代に活躍なさった後藤新平の功績!

    2020年の新聞記事から転記してます。

 

 

 

 

昨晩はNETFLIXで映画を見初め、途中ウトウトを交えながらの夜中1時過ぎ、これではいけないと消して眠りました。

 

 

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医療ルネサンスから

 

ストーマを希望に

 

オストメイト医師の挑戦

胃の8割を切除したが、症状は改善しなかった。胃を動かす細胞の多くが失われ、大腸も動いていなかった。そこで、医師に提案されたのが「ストーマ」(人工肛門)だった。

「生きるため。食べるため。ためらいはなかった」

内科医であるエマ・大辻・ピックルスさん(45)はすぐに決断した。

 

ストーマは、消化管や尿路の病気などの影響でお腹に作られた便や尿の出口の事。ストーマには排泄物を受け止める「パウチ」という専用の袋をつけて生活する。ストーマを設けた人を「オストメイト」と呼ぶ。

 

エマさんは41歳でオストメイトになった。「慢性偽性腸閉塞症」(CIPO)という原因不明の難病を抱える。

 

海外にはオストメイトモデルという人がいるーー。「ストーマは最悪なんかじゃない」。パウチをつけたまま水着姿の写真を撮って発信。「ストーマに対する当事者や世間の認識を根底から変えよう」。挑戦が始まった。

 

 

パウチの中身が見えることが「医療者目線では排泄物の状態が確認できるので重要なこと」なのは理解していた。しかし、自分の排せつ物が溜まっていくのを直視し続けるのは「自尊心が紙ヤスリで削られていくようだった」。

 

「皮膚・排泄ケア認定看護師」の力を借り、海外メーカー「コロプラスト」が販売するグレーの製品を使うことに。

 

コロプラストから「アンバサダー(大使)になってほしいと依頼を受ける。2021年1月、日本初の「オストメイトモデル」になる。ストーマ―友達ができた。

小学3年の女の子「エマさんは私に自信や希望をくれた。将来、私もパウチを隠さないでモデルをしてみたい」。

「社会には色々な人がいていいんだよ。ということを子どもたちにも知ってほしい」

 

2023年7月、九州ストーマリハビリテーション研究会にて、

「患者には『ストーマをつくるのは最悪なことではなく、生きていくため』と話してほしい」と医師や看護師に呼びかけた。

ストーマを作ったばかりの時は便漏れやにおいが気になった事、パウチなどの装具にかかる経済的負担は少なくないこと。抱える社会的問題を訴えた。

「患者の気持ちを知ってもらい、オストメイトの尊厳を守りたい」。「ストーマは生きるための手段。仕事も趣味も旅行もできる」。

エマさんは、11歳の一人息子を育てながら、ありのままの姿を世に届け、オストメイトの新たな生き方を提唱したい。と・・・。

多様性を尊重するようになった社会で、人はみんな違うのが当たり前だし、それでいい。ストーマがあることは、人生にとって決してマイナスではないと伝えていきたい」。

 

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なのちゃん(3歳)は先天性の「総排泄腔遺残症」。直腸や膣、尿道がうまくつくられずに生まれてくる難病。一時的な便の通り道として、生後3日目にお腹にストーマを設けた。

成長を待って手術をする。(根治手術の後、1歳10か月でストーマを閉じた)。今は自力で上手に排泄できることを目指している。

「医療従事者の自分たちには経験や知識がある。同じように困っている人に役立つ情報を伝えよう」とネットへの動画を公開。今年1月、患者会を作った。

 

ある長男(1歳)は生まれつき肛門が上手く作られない「鎖肛」でストーマを設けた。不安の中で見つけたのが「なのは日和」。「ストーマのケア方法を学べたり、日常のハプニングに共感したりと、自分と息子の大きな支えになった」。

 

「子どものストーマケアには手がかかるが、親が困ったとき、直ぐ相談できる場所は少ない。動画配信や患者会の活動は助けになる」

 

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日本創傷・オストミー・失禁管理学会理事;皮膚・排泄ケア認定看護師:渡辺光子氏に聞く。

 

●ストーマとは

腸や尿管の一部を体の外に出し、お腹に人工的に作った便や尿の出口の事。見た目は赤くて軟らかく、触っても居たくない。「人工肛門」とも呼ばれる消化管ストーマは便を、「人工膀胱」とも言われる尿路ストーマは尿を排泄する。

全国に約20万人。子どもから高齢者まで。

 

●どんな人が必要に

大腸や直腸などのがんのほか、潰瘍性大腸炎クローン病など炎症性腸疾患。先天性の病気や交通事故、外傷で必要となることもある。

 

●排泄する方法は

ストーマには肛門のように、自分の意思で排泄をコントロールできる筋肉がない。そのため、便や尿を一時的に受け止めるパウチ(専用の袋)をつけて生活する。数日程度で定期的に交換する。

公共施設や駅に「オストメイト対応トイレ」も増えてきた。

 

●日常生活は

パウチを正しく装着すればにおいや便漏れは起こらない。

仕事、スポーツ、車の運転、外出、海外旅行、入浴、可能。

温泉に行けなくなった」という悩みが多い。社会も正しい理解を持って受け入れてほしい。

 

●困ったときは

各地の医療機関には「ストーマ外来」があり、学会ホームページから探せる。ストーマ周囲の皮膚トラブルや日常生活での困りごとなどの相談に応じ、快適に過ごせるようサポート。皮膚・排泄ケア認定看護師が対応。

 

●災害時への備えは

災害時に速やかに支援を受けるためにも、自分が使っている装具の名前種類を記録したカードを携帯しておく。

 

●社会的な課題は

パウチは使い捨てで、装具の購入費用が経済的負担となっている。社会的な認知度は十分とはいえず、医療者にもネガティブに捉えている人がいて、こうしたイメージを払拭しなくてはならない。オストメイトの生活や楽しみが制限されないような社会づくりが求められる。

 

讀賣新聞 医療ルネサンス ストーマを希望に シリーズ5)