「枕草子」
一条天皇の中宮 定子に仕えた平安時代の女性歌人
清少納言(966年頃~1025年頃)の随筆。

≪枕草子≫は
紫式部「源氏物語」と双璧の平安女流文学。

≪枕草子≫≪方丈記≫≪徒然草≫=三大随筆
≪方丈記≫=鴨 長明 (鎌倉時代)
≪徒然草≫=吉田兼好(鎌倉時代)

清少納言は
一条天皇の后(きさき)である中宮定子に仕えた。
だが、権力闘争で定子の一家は没落。
定子は尼になり、清少納言は宮中で裏切者とされる。


書いた時期は二説ある。

(一)実家に引きこもっていた時期が10ヶ月続くが、
  定子から白い紙が届き、死ぬのをやめて書き綴る。

(二)「定子が亡くなった後」説
  定子は天皇の求めで尼から后に戻るが
  政敵からいじめ抜かれ、3人の子を産んだ後、
  24歳の若さで世を去る。
  清少納言は失業して再び実家に戻り、定子との
  楽しかった思い出を書き始める。


長谷川 櫂氏の 四季より

海は 水うみ。与謝の海。かはふちの海。
                    清少納言
「水うみ」  =琵琶湖
「与謝の海」=宮津湾(京都舞鶴港の近く)
    当時の都人の地理観がよく表れている。

鳥は こと所のものなれど、鸚鵡(おうむ)
         いとあはれなり。
   清少納言

鳥の筆頭に鶯(うぐいす)や時鳥(ほととぎす)や雁(かり)でなく、
鸚鵡をあげる。鸚鵡は古くから日本に渡来していた。

あてなるもの 薄色に白襲(しらがさね)の汗衫(かざみ)
                    清少納言
「あてなるもの」=品の良いもの
「汗衫(かざみ)」 =少女の夏の衣
薄紫の上に表も裏も白の汗衫を着た少女は品が良い。

雁の卵、銀器に入れたかき氷、水晶の数珠など
白や透明なものが並ぶ。 
上品さとは涼しさと通いあうものだった。