手作りの責任 | 日々つれづれ

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はづきのアタマの中。

あちこちでこのニュースのエントリを見かけるので、私も書いてみます。


昨日、ネットニュースなどで、
「加水分解コムギ末」を使用した石けんでのアレルギーのニュースが流れました。

この事例、今までに何度かニュースになっていますが、
厚生労働省から最初に発表されたのは昨年の10月。
その後、製品の自主回収が始まり、
現在そのメーカーから売っている石けんには、加水分解コムギ末は入っていないとのことです。

しかし、アレルギーというのは、
時間が経ってから突然発症したり(花粉症みたいに)、
今回の事例は、通常の小麦アレルギーとの違いの判断が難しかったり、
身体の不調があっても、それがアレルギーだと気づかなかったりすることもあるので、
今でもこうしてどんどん報告が挙がっているのだと思います。


石けんだっていわゆる「界面活性剤」である以上、肌のバリアを多少は壊しているわけで、
毎日使っていればアレルゲンが少しずつ肌に浸透していく可能性がある、ということ。
もちろん、目や鼻から入る可能性だってある。

洗い流すから大丈夫、という論理は通用しない、ということが、
今回の事例で明らかになりました。


私がこの事例を知ったのは、今年初めのことです。
「石けんもアレルギーを起こすんだ」と驚いたと同時に、
言われてみればその通りだ、とも思いました。

今回の事例は、肌につけるものから食物アレルギーにまで発展した、という、
ある意味稀な例ですが、
化粧品で皮膚アレルギーを起こすことは、よくあることです。
私も昨年末、市販の美容液で接触皮膚炎を起こし、顔が真っ赤にかぶれました。
皮膚科に通い、完治するまで2カ月ほどかかりました。
結局、その美容液の何がいけなかったのか、いまだにわかりません。
そのブランドの化粧品は、数年前は何事もなく使えていたからです。
なので、その皮膚炎がアレルギー性だったのか、そうでなかったのかもわかりません。

もともとアレルギーを持っている人は、
そのアレルゲンを避けるので、問題が起きることは少ないと思いますが、
アレルギーを持っていない人も、とあるきっかけで突然発症することがあります。
一番怖いのはそれです。


すべてのものはアレルゲンになり得ます。
また、食物アレルギーだけが「アレルギー」ではありません。
花粉症とか、うるしかぶれとかだってあります。
また、私のように、化粧品で肌が荒れる人もたくさんいます。


きちんと化粧品認可をとって、きちんと検査されている、
化粧品メーカーの製品であっても、こういう問題が起きるのです。
となると、私たちが作っている石けんで同じ問題が起きない、とは決して言えないはずです。
手作り石けんは、何も検査をしていません。
「なんか良さげ」と、いろいろ入れたりします。
入れたものが、石けんの中でどういう物質に変化しているのか、わからないし、調べる術もありません。
自分で使ってみて、何も問題なくて、
「じゃあ大丈夫だ」と思って使っている人がほとんどだと思います。

でも、「自分が使って大丈夫」なものが、
「他人にとっても大丈夫」かどうか、
それはまったく結びつかないものです。

自分で作って、自分や家族だけで使ってるならまだいいと思いますが、
他人にプレゼントしたり、ましてや売ったりするならば、
そのあたりのことをきちんと認識して、作り手の責任を持って行動すべきだと、
私は強く思うのです。

私も、石けんを作り始めたばかりのころは、
周りに配ったりすることもよくありました。
ネットショップを始めようと思ったこともありました。
「怖さ」をきちんと理解していなかったからです。
しかし、ショップを始めようといろいろ勉強する中で、
いろんなことを知り、結局売るのはやめました。
今では配ることもほとんどしていません。
「欲しい」と言われたときにプレゼントするくらいです。


法律のこととか、化学のこととか、正直難しいです。
私もまだまだ勉強不足です。
だけど、私たちの作っているものは、
決して「雑貨」ではなくて、
さまざまな危険をはらんだものなのだ、ということを念頭に置いて、
難しいなりにも理解しようと努力することが大切だと思います。


今回の事例について、
わかりやすくまとまっているページをリンクしておきます。
「リウマチ・アレルギー情報センター」
「厚生労働省」