「お前らの脳みそは鳩の脳みそより小さい」

強烈なパワハラ町長のニュースが飛び込んできた。愛知県東郷町の町長の言動がいろいろ紹介されているが、これ笑えないし、他人事とは思えない。当然ながら、どんな組織にも使えない奴はいるし、たいていの場合、自分が使えない無能だという自覚がない。町長が悪いのはもちろんだが、そんなに単純ではないだろう。

 

まだ30代前半か半ばくらいだったサラリーマン時代のことを思い出さずにはいられない。

印刷物のクリエイティブ部門、簡単に言うとデザイナーと編集者・コピーライターが集まった部門であるが、33歳のときに部長にさせられた。

20年くらい前なので「働き方改革ってなに?」という時代だ。

大量の案件やコンペ・プレゼンの準備に追われ、1年の半分は残業100時間以上だった。正直に言うと、使えない奴は迷惑でしかない。「なぜ、コイツがこの部署に配属されているのか」という連中が数人はいる。

自分に余裕があれば、笑って遊ばせておくこともできただろうが、人員的にも俺の精神的にも余裕がなさ過ぎた。

 

なかでも阿呆が3人いた。

(1)50代女性・コピーライター、(2)40代男性・コピーライター、(3)30代男性・デザイナー。

 

(1)はコピーライターというが、取締役に「中学生の作文レベル」と酷評され、俺が怒られた。毎日定時と同時に上司である俺に一言もなく返っていく。仕事が円滑に回っていればいいが、「赤字が直っていないところが多過ぎ」とのクライアントからのクレームが頻出し、その理由を質したところ「時間が足りない」という。こりゃだめだと、期の途中にも関わらず、社長に直談判して他部署の人員とトレードしてもらった。「飛ばした」といえば、これもパワハラになるのか。

 

(2)のおっさんは文章自体はひどくはないが、とにかく仕事の企画と進行がまるでできず、気がついたときには撮影や取材の手配もなんもできないので、移動してきて2、3カ月後にはテープ起こしくらいしか回せる仕事がなくなった。にもかかわらず、毎日適当にぐだぐだと遅くまで会社にいて日々2,3時間の残業を日報に記してくる。ロケハンと称して、カフェとかドライブとかでさぼる。あまりにも目に余るので「もう回せる仕事がないから、ここに居場所はない」と伝えた。

 

(3)の男性は俺と同年齢で、俺が出張中に履歴書持って売り込みに来社し、面接した社長が入社を許し、出張後出社した俺に「お前のところに配属する」と。コイツは、センスとスピードが致命的に欠如、名刺のデザイン一つに3日くらいかけて、1週間もたたないうちに見放した。デザイナーよりダサイナーという感じだった。別に遊ばせておいても良かったのだが、定時過ぎに断りもせず自分の年賀状を会社のPCでつくり、しかも残業を日報に記してくるという、薄汚い根性が俺をぶち切れさせた。「あまりに無能すぎ。キミが人員にカウントされると、ほかに採用できないから、自分から去ってくれ」と伝えた。

 

この頃、親しい同僚と飲みに行くと、この連中について「脳みそがアメンボ以下」と言うのが俺の常套句になっていた。そうとでも言わなきゃ、ストレス死しそうだった。本人にいわないだけ、マシ。

 

さあ、結末はどうなったでしょう?

(1)は異動を伝えると、「わたし、編集は苦手なんです」だって。そんな奴、職を変えた方がいいって。コピーが得意だとでも言いたいのか。

(2)(3)は、その足で専務だか社長のところに命請いに走り、他部署に異動。そのフットワークを本業でも発揮してほしかったな。結局、俺が1年後くらいに辞めた後、解雇されたり、来なくなっちゃった退社したり。

 

これらも今流に言えば、多分パワハラ認定されるんだろうな。無能な奴に限って、人間性もそんなに良くない。嫌な面もたくさんみてきた。ただ仕事ができないだけで人柄が良ければ、さすがに対応も異なっていたろう。

 

結論としては、阿呆と接するこちら側も相当心身がやられる。血圧が200超えた。それでフリーになる決心がついた。そう考えれば、決して無駄じゃなかったということもできるか。