ここのところ立て続けに日経新聞、NHK日曜美術館で紹介していた「楊洲周延(ようしゅうちかのぶ)展」、独身時代に、時に母親とも行った町田市立国際版画美術館でやっているとのこと。文明開化期の独特の浮世絵の数々に心を惹かれ、母も誘って行ってきました。
この美術館は、日本唯一ともいえる版画に特化した美術館。ずいぶん昔「死の舞踏展」ではペスト流行時代を背景にした骸骨たちの、恐ろしさを通り越してコミカルな版画の数々を堪能したものです。
美術館は芹が谷公園という、傾斜地を利用した緑深い公園の中にあります。小田急線下りに乗ると、あと5分で町田駅というあたりで緑の森のあたりに「国際版画美術館」の立て看板があり、そこで電車から飛び降りたくなる。駅から歩くとたっぷり15分はかかり、交通の便の悪さは世田谷美術館に匹敵します。
が、行ってみれば芹が谷公園は有栖川公園に匹敵する美しさ、美術館併設の喫茶店はミカドコーヒー使用、メニューも豊富で(また来たい)と思ってしまいます。
今回の楊洲周延の版画は、初期は歌舞伎の世界よろしく緑、赤、紫の競演。150年以上、よくこの色彩が保てているなと感心します。やがて時代は明治期に入り、バッスルスタイルのドレスを着た皇族や華族の婦人たちの華やかな公式行事が描かれる。濃い紫が消え、ラベンダー色やコーラルピンク、ターコイズブルーなどの中間色が豊富になってきます。特に明治期の美人画を得意とする版画家でした。
作品数も多く、ルノアールやルーベンスをこれだけ観たらお腹いっぱいだが、日本の版画はいくつ見ても胃もたれしない感じがしました。
写真撮影が20点以上許可されているのもうれしい。
当時は西洋音楽家も少ないので、モデルは誰だかわかるようです。
明治のJKだよ。
中で、撮影許可はされていないが、実家のルーツにつながる非常に気になる作品がありました。
この話はまたいつか…