とある読書会。会場となっているキャロットタワーの生活工房ブースに遅れていったら、「風立ちぬ・美しい村」をテーマに、「年齢差(男>女)の恋愛」について討論しているところでした。メンバーは50-70歳代の男女6人です。

 

精神的な愛については、男性より女性のほうが理解がありそうでした。ジェンダー論者の参加者がいたら荒れるところだが、あるがまま自由に書き、読み、論じられるところが文学のよいところ。それにしても(中学時代に読んだのに)ストーリーを忘れたなあと思い、帰りがけに豪徳寺の古本屋「玄華書房」で探したがなく、代わりに買ったのがこちらです。

 

 高校の1つ年上のかっこいい(不良っぽいとも見える)先輩に憧れ続ける、ちょっと地味なヒロイン。先輩の可愛い彼女を見ても、やがて自分に恋人が出来ても、キャリア的にも先輩を凌いでも、指一本触れることのない先輩との連絡は間をおきながらも断つことなく、思い続ける…12年も。

 

読書会の男性陣が読んだら「何をやってんだ」と怒り出しそうですが、絲山秋子は、それなりにラヴシーンなど描きながらも、不器用な男女の心の交流を表現するのがうまい作家だ。

この二人のような関係は現実にはあり得ないかもしれないが、恋人関係はないけれど何でもさらけ出し認め合える相手(もちろん異性で)がこの世にいるっていいなあ、と思う女性は多いはずだ。

絲山氏は同い年、世田谷出身 新宿高校を経て、同時期に早稲田の政経におられたようだ。

政経は男子が圧倒的に多いから、女子は恋愛機会に恵まれていたのだろうか?文学部英文科は洋書の翻訳に忙しかった。クラスの男子に映画に誘われても「明日授業で当たりそうだから」と断ってたな。

何かあっても妊娠の心配がないお年頃になりお婆さんにはまだ遠い私たちは、もっと自由に恋愛観を語ってもよいかもしれませんね。

 

他 2作「小田切孝の言い分」「アーリオ オーリオ」収録。