中学校校則の公開や撤廃をせよ、という流れが、今学校改革の一端としてある。下着の色を白やベージュに規定するのもやりすぎだという。なんでも自由の風潮の中にあって、下着に関しては一家言あるいそくみ、「中学生の下着は白やベージュ一択、why not?」と言い切ります。

 

流行とは恐ろしいもので、最近の中高生は、白いブラウスの下に黒キャミを着たがる子がいる。白っぽいブラウスの下に黒下着を透かせるのは娼婦の象徴、ちょっとランジェリー事典でも見れば書いてある。中学生は知らないだろうが、昔、黒沢年男という歌手が♪時には娼婦のように~黒い靴下をはいて~と歌っていたが、ナイキの黒ソックスを言っているわけではない。黒いストッキングとそれに続く黒い下着を連想させる歌で、その艶っぽさゆえにヒットしたのです(一発屋だったけどね)

校則をなくして自由にすれば、子どもは案外自分で常識的な選択をするものだ、という性善説的なご意見もあります。甘い。大人は、自分の中学時代を忘れてしまったのだろうか?

性の目覚めの中学生の頃…あの頃はみんな狂っていた。

 

中学に入って間もなく、そんな様子はなかったタダの明るい男子たちがこぞって学校にエロ本を持ち込み、教室の後ろのロッカーはその手の本だらけだった。

男子だけではない。

ミヤモトさん(仮名)は長身だが地味でやせ形で、男子の噂話もモテようというおしゃれもしない人だった。それが中学生になり、体育の時間の後だったが、彼女はトラックの第一コースのところから、第三コース付近にいる私のところまで聴こえるような声で「ヴァ〇ナってなに~?」としゃべっていた。笑っていたから、ある程度よからぬ単語だとわかって言っているのだろう。

みんなおかしくなってる、と思った。何がショックだったって、ふだん男女でつるんでいる派手なグループではなく、恋愛など縁遠いような地味な子たちがあからさまに性への関心を示し始めたことが。言っていいこと・やっていいことと悪いことの区別がつかないうちに100%の自由を与えるのは危ない。

 

中学三年になり、受験も近づいてあからさまなエロ話はおさまった頃。ユカリ(以下、全員仮名)というクラスメートがいた。ほっそりして髪型は広瀬すずでスカート丈も規定通り。勤め人であるお兄さんのバイク仲間と“大人の付き合いをしてる”という噂があった。のちに少女漫画「ホットロード」(紡木たく)の舞台ともなった神奈川でありがちな話です。

あるとき、仲良しのチカちゃんが

「ユカリンが、修学旅行に持っていく下着を買いに行こうって。行く?」と聞いてきた。

は?なんで修学旅行行くのに下着新調しなきゃいけないの?成績はトップクラスだが、そっち方面はオクテだったいそくみは思った。それに、おしゃれな下着買うったって、当時の海老名には駅前のニチイかダイエーしかない。(続く)