前のお話はこちら↓

 

氷の上でスケートをする

「親方、この小さい椅子も積むの?」

「ああ、それも積んでおくれ」

ちまとユリアお姉さん、親方の3人で大きなソリに荷物を積んでいます。

「まぁ、その椅子はちまちゃん専用みたいだけど、親方が作ったのかしら?」

親方は聞こえないフリをしています。

「いいわねえ、ちまちゃん。親方にいろいろ作ってもらえて」

「はい。小さなコタツも作ってもらいました」

ちまはニッコリ笑って答えました。

「ちま、部屋から小さい火鉢を持って来ておくれ」

「え?またお餅焼くの?」

「お餅はもう無いよ。釣りをしてお魚を焼くんだよ」

ちまは釣りが何か知らないのですが、お魚と聞いて嬉しくなりました。

「ちまちゃん、お部屋に行くなら私と一緒に行って着替えましょう」

ユリアお姉さん、大きなバッグからデニムのオーバーオールを出しました。

「これは私が小さい頃に着ていたのよ。スケートの時は必ずね」

「それじゃ、私は残りの荷物を積んでおくよ」

クマの親方はソリに残りの荷物を積み始めました。

「じゃーーん。どお、親方コレ似合ってる?」

「ああ、似合ってるよ」

「ちまちゃん、可愛いから何でも似合うわよ。 ね、親方」

「む、まぁ、そうだな」

またしてもお姉さんがぷぷぷっと笑います。

「帽子を編んでおいたわ。白いのがちまちゃん、緑のが親方の」

「わぁ、ありがとう、お姉さん」

「ありがとう、ユリアさん」

「どういたしまして」

「さて出発しようか、ちま、ソリに乗りなさい」

「あら親方、私は乗れないの? そんなに重くないけど」

「座席は一人分しかないんだよ、困ったな」

「じゃぁちまちゃん、私の膝の上に座って」

「はーい。 出発進行!親方、お弁当忘れてないよね?」

「ああ、ちゃんと積んであるよ」

親方が二人を乗せたソリを引っ張って進みます。

「わーい、楽チン、楽チン。 楽しいね、お姉さん」

「そうね、楽しいわね。ソリに乗るのはずいぶん久しぶりだわ」

「雪が降るとソリに乗れるんだ。雪がなくならないといいな」

「いや、それはそれで困るな。お店も開けられないし」

大雪のせいで、パン屋さんは臨時休業しています。町のみんなもお休み中です。

 

「さぁ、着いたよ」

「ここが池? 真っ白だよ」

ちまは凍った池を見るのは初めてです。

親方は凍った池の上にどんどんソリを進めて行きます。

「親方、大丈夫なの? 池に沈まない?」

「ははは、大丈夫だよ。カチコチに凍ってるからね」

「ちまちゃん見て、子供達がスケートをしているわ」

凍った池の上をスイスイと滑っている子供たちがたくさんいます。

「あれがスケート? 変わった靴を履いてるけど」

「ちまちゃんの靴も用意してあるわよ」

「なんか面白そうだ!」

ちまは早速ソリから降りることにしました。

「ちま、滑りやすいから気をつけて降りるんだよ」

「あ、わ、わぁ」

ちまがすべって転びそうになったところをお姉さんが助けてくれました。

「ちまちゃん、片足ばかりに体重かけちゃダメ。しっかり両足でバランスとるのよ」

「は、はい、氷の上はツルツルですね」

親方は慣れた足取りで氷の上にシートを広げています。

「さぁちまちゃん、スケート靴を履くわよ」

親方がシートの上にちま専用の椅子を置いてくれました。

「ちま、ここに座りなさい」

お姉さんがバッグから赤いスケート靴を二つ出してきます。

「この小さいのがちまちゃんの靴。私が子供の頃に使ってたのよ」

椅子に座っているちまにお姉さんが靴を履かせてくれます。

お姉さんは慣れた手つきで自分も靴を履きました。

「さぁ、ちまちゃん、まずは氷の上に立つ練習よ」

ちまがお姉さんの手につかまって、ゆっくり立ち上がりました。

「お姉さん、なんか足元が、、ぐらぐらします」

「しっかりと刃の上に乗って。まっすぐに立って」

お姉さんはちまの手を持ったまま、後向きですぅっと進んで行きます。

「お、お姉さん、倒れちゃうよ」

「ちまちゃん、腰を引いちゃダメよ。しっかりまっすぐに立つの」

お姉さんはちまを引っ張ってスイスイ進んで行きます。

「どお?ちまちゃん。慣れてくると長くつより立ちやすいでしょ」

「はい」

ちまは猫なので、もともとバランス感覚が良いのです。

「ちまちゃん、左足を少し前に出して、体重を乗せて、、」

ちまはお姉さんに言われたとおりにしてみます。

「次は右足を前に出して、、」

なんとなくジグザグに進んでいるようです。

「そう、その調子よ。右、左、、」

お姉さんに引っ張られながら少しづつスピードが上がって行きます。

 

その頃、親方は鉄の棒でこつんこつんと氷に穴を開けていました。

「よし、開いたぞ」

親方は穴の前に座って釣りを始めます。

「おやかたー、見て見てー、ボク滑ってるよー」

声のする方を見ると、ちまがお姉さんに手を引かれてこちらに来るのが見えました。

「おー、ちま、上手いじゃないか」

ちまとお姉さんが親方の前まで来ました。

「親方、何してるの?」

「お魚を釣ってるんだよ」

「お魚? 氷の下にお魚がいるの?」

ちまは氷に開いた穴を除いてみましたが何も見えません。

「お、来た来た」

親方が釣り竿を上に揚げると小さな魚が2匹ついていました。

「あ、お魚だ、お魚が2匹!」

ちまが歓声をあげます。

「私はそろそろお弁当の準備をするわ。火を起こしておかなきゃね」

お姉さんが火鉢の準備を始めました。

「じゃぁボク、もう少しスケートの練習をしてますね」

ちまがちょこちょこと足を動かして滑り始めます。

「わ、わわっ、あ、いたたたた」

ですが、少し進んだところで転びました。

「ち、ちま!」

親方が慌てて駆け寄ろうとしますが、お姉さんに止められます。

「ダメよ、親方」

ちまは起き上がってまた滑り始めましたが、すぐに転びます。

親方はそんなちまの様子を見てハラハラしています。

「親方、子供はああやってスケートを覚えるの。手出ししちゃダメよ」

「そ、そうなのか、、」

「ああ見えてちまちゃんは運動神経がいいの。すぐに滑れるようになるわ」

それでも親方は心配そうにしています。

「親方、お魚をたくさん釣ったら、ちまちゃんが喜ぶわよ」

「そうか。そうだな」

親方はまた釣りを始めました。

 

「親方、見てーー」

ちまが右に左に方向を変えながら上手に滑っています。

「ボク、滑れるようになったよー」

ちまが笑いながら親方の近くまで滑って来ます。

「すごいな、ちま。もう滑れるようになったのか」

「上手な子がいたので、真似をしたら滑れるようになりました」

「お魚もたくさん釣れたぞ」

「わぁ、本当だ。楽しみだな」

お姉さん、火鉢の上にミルクのポットを置くと、

「じゃぁ、ミルクが温まるまで今度は私が滑って来るわ」

お姉さんが滑り始めると、あちこちから声がかかります。

「ユリアさーーん、こっち来てー」

「素敵! ユリアさん」

お姉さんがジャンプしたりクルクル回ったりするたびに、あちこちから歓声があがります。

「すごい、お姉さんすごい!」

ちまがビックリしてお姉さんを見ています。

「ユリアさんはスケートの選手だったんだよ」

「ボクもユリアさんみたいにスタイルの良い美人になれるかなぁ」

「美人になりたかったら野菜をたくさん食べなきゃな」

「え、野菜?野菜はちょっと、、」

ちまは野菜があまり好きじゃありません。

「お姉さんは野菜をたくさん食べているだろ」

「たしかに。お姉さんは野菜のサンドイッチとサラダばかり食べてるかも」

「そうだよ。だからちまも野菜を食べなきゃダメだ」

「はい。ボクも野菜を食べて、お姉さんみたいな美人になる!」

そう言うと、ちまはお姉さんの方に向かって滑り始めました。

「ボク、お姉さんと滑って来るね」

 

「あははは」

「うふふふ」

しばらくすると、二人が手をつないで帰って来ました。

「親方、ボクもうおなかがペコペコだよ」

「ちょうどお弁当もミルクも暖かくなっているよ」

親方がふたりに暖かいミルクを注いでくれました。

「わーい。いただきまーす」

みんなでお弁当のサンドイッチを食べ始めます。

「ちま、お魚も焼けたみたいだよ」

火鉢の網の上に小さな魚がいくつも乗っています。

「おいしい! このお魚、すごくおいしいです」

「そうか、良かったな、ちま」

「お魚は美味しいし、スケートは楽しいし、ボク、また来たいな」

「そうね、ちまちゃん、またスケートしに来ようね」

「わーい」

ちまはサンドイッチを頬張りながら、みんなの周りを滑り始めました。

「あははは、美味しいな!楽しいな!」

 

2月のお話でした。おしまい。

 

あちこちで戦争が起きてるせいか、しばらく体調不良でお休みしていました。

もう少し手をいれたらその1と結合して完成させます。

3月のカレンダーもできてないし。

 

じゃあの。

 

 

 

 

 

 

前の記事はこちら↓

 

さて飯場シリーズ第二弾です。

まず私が飯場に通うことになった経緯を説明しましょう。

 

私、学校出てから4年ほどサラリーマン生活をしていたのですが、ある日、もうやめてやる!やってられるか!と思う出来事がありまして、これからはフリーランスの映像屋さんとして食っていくぞ!なんて思ってたわけですが、そうそう仕事が来るはずもなく毎日市民プールで泳いだり、テニスの壁打ちしに行ったりしてたんです。

まぁ、慢性的な睡眠不足と超不規則な生活で心身ともにガタガタになっていたので、リハビリしていたようなもんです。

それで、手持ちの現金が無くなったのでATMでお金おろそうとしたら、残高がほぼ空っぽになっていた。

え? なんで? まだ20万円以上あったはずなんだけど?

当時はスマホアプリなんかで確認する手段なんて無いので、慌てて通帳持って記帳しに行ったんです。

そしたら、車のローンのボーナス月加算ってやつでごっそり引き落としになってたんですわ。

あーこりゃいかん、一文無しになってしもた! 入金の予定なんてまったく無いし。

とりあえず数千円でもいいから現金欲しいし。

そこで思い出したのが、学生時代の友達が日雇い労働のアルバイトしてたこと。

さっそく友達に電話したら、そこの社長にお世話になった挨拶もかねて連れていってくれるとのこと。

私の家から車で10分くらいの場所に、その飯場はありました。

関東総業って手書きの看板がかかっている、古い学生寮みたいな建屋でしたね。

「ごめんください」

玄関で声をかけると

「おう」

と言ってパンチパーマに作業服のちょっと怖そうなおじさんが出てきました。

「電話くれた兄ちゃんか?俺はここの番頭だ」

「はい。あ、これどうぞ」

と言って友人が一升瓶を差し出すと、

「おお、こりゃ悪いな、ありがとさん」

と言ってニコニコしています。

「昔、社長さんにお世話になりまして」

と言った瞬間、機嫌が悪そうな顔になって、

「へえ、そう」

と言ったきり黙ってしまいました。

後で聞いた話ですが、以前の社長は売上を持ち逃げしたらしく、その債権者が居抜きでこの飯場を差し押さえて経営してるとのこと。

番頭さんは、債権者の怖い筋の人から派遣されて来てるんですね。

「で、ウチの仕事楽じゃないけど出来るの?」

「はい、たぶん大丈夫だと思います」

私は学生の頃に解体のアルバイトしてた事があると伝えました。

「あ、そう。あの車、兄ちゃんの?」

「はい」

「車で来て、ウチの人夫運んでってくれるか?」

「はい」

「じゃ、日当¥7.500で車の手当て¥2.000の合計¥9.500で良ければ明日の朝6時に来てくれる?」

「はい、わかりました」

あっさり日払いのバイトが決まって、なんか拍子抜けしちゃいました。

さて、次の日朝6時に飯場に行きますと、むさくるしい男達が広間でワイワイガヤガヤしながら握り飯を頬張っています。

卓袱台が二つあって、その上の大皿に、にぎり飯がたくさん乗っているんです。

「山本さん、鈴木と高橋つれて浅田建設行ってくれ」

番頭さん、山本さんという人に昼食代と交通費を渡しました。

飯場に定住しているベテランは「世話役」と呼ばれていて、今風に言えば現場リーダーってヤツでして、さん付けで呼ばれています。

「内田さん、田中と川本連れて、そこの兄ちゃんの車で杉山の現場な。 あ、田中の野郎まだ寝てんのか? おい、お前、田中起こして来い!」

田中という人と同じ部屋で寝起きしてるらしい人が部屋に向かいました。

「まったくあの野郎、たった3日の満期もろくに勤めやしねえ」

田中という人は、もう4日も飯場にいるらしいのですが、腰が痛いとか調子悪いとか言って、まだ2日しか働いてないのだとか。

「番頭さん、田中、トンコしました」

起こしに行った人が戻ってきて、そう告げると

「なぁにぃーーーーー、トンコしやがっただとぉーーー」

番頭さん、大声で叫びました。

トンコっていうのは、逃走、トンヅラのことで、田中さん、夜明け前に飯場から逃げたらしいです。

広間のあちこちでクスクス笑う声が聞こえましたが、番頭さんが周囲を睨むと皆黙りました。

なんで田中さんは逃げたのでしょうか?

田中さんは4日滞在していたので、天引き一日¥4.500×4で¥18.000、ところが2日しか仕事してないので日当¥7.500×2で¥15.000しか稼げていない。

つまり¥3.000の赤字ってことです。

すると、5日目の今日¥7.500の仕事をするとプラスマイナス0で満期解放されるってことになるんですが、田中さんってば、¥3.000赤字で逃げちゃったんですね。(笑

 

「しょうがねぇ、内田さん、3人で行ってくれ。兄ちゃん、行先は内田さんが知ってるからよろしくな」

そんなこんなで、飯場のお仕事初日がスタートしたのでした。

 

第三話に続く

 

 

 

 

 

 

前の記事を読んでいない方はこのへんからどうぞ↓

 

 

 

さて、すっかりサボっていたパチプロのお話ですけど。

私、重要な事を忘れていまして、その⓹で書いた優良店の秘密っていうの書き忘れていたんですよ。

 

パチプロのネギが

「この店は甘いですきに」

と言ってたアレです。

 

私が通っていた店は、客に対する還元率が高い良く出る店っていう評判の優良店だったのですが、なぜその店はたくさん出すことができたのか?

この店の常連客は、ほとんどが私やネギが打っている権利ものと、ゴト師のツルコーが打っている一発台についていて、だいたい50人位いたと思います。

この50人が、毎日コンスタントに負けるだけで店の経営にかなり貢献していると思われます。

当時のパチンコには「定量」というものがありまして、あらかじめ店が定めた出玉に達すると「定量打ち止め」となります。

私の打っていた権利もので3000発、一発台で4000発が定量となっていました。

定量に達すると店員がやってきて「お客さん、打ち止めっす」と言ってドル箱をカウンターに運んでくれます。

この時、出玉をジェットカウンターという機械に流して計量するのですが、権利ものの場合3000発ちょい超えたところで計量ストップします。

3050発とか、そのへんで。

だいたい定量より100~200発くらい多く出てるのですが、その残り球はカウンターのお姉ちゃんが足元の大きなバケツに貯留します。

それで、客には3000発分の景品しか渡しません。余り球なんかカウントしないのです。

「定量3000発」なので客に文句は言わせないと、まあそういうことですね。

出玉3050発くらいをカウンターに流しても、3000発分の景品しか渡さないので、その分は店の儲けです。店の経営者に対しても、ちゃんと儲けが出ていると思わせることができますね。

まぁ、これくらいならどこの店でもやってる事なんですけど。

この店には「足元のバケツ」がありまして、ここに溜まった球をチョコチョコとカウンターに流してその出玉レシートを「着服」するんです。

これ、一日で相当な数量、おそらく15000~20000発位になるはずです。

2円50銭の換金で4~5万円ですね。

これをマネージャー(釘師)とお姉ちゃん(愛人)、ホール主任と副主任で分けます。

はい、税金のかからない所得が月に数十万も得られるし、ちょくちょく焼肉屋とか寿司屋とかで福利厚生しちゃったりするんですね。

だから見せかけの人件費や経費が安く抑えられるし、自分の懐は痛まないのでオーナーも文句は言わない。

そんな理由もあって、釘の甘い「良く出る優良店」に出来るんです。

常連客が沢山いて、毎日適度に勝ったり負けたりして帰る。(ほとんど負けですが)

評判がいいので客が沢山集まるし、たしかに他の店より出ている実感がある。

(いや、これもほとんどが負けなんですが)

店の経営状態が良いので、プロに対しても大目にみて寛大になれる。

磁石使いのゴト師ツルコーみたいなのが、一発台で稼げるワケです。

 

でも結局は客の懐から巻き上げているんですけどね。

ギャンブルってのは、店や胴元と勝負してるなんて考えを持っている人がほとんどですが、甘いですね。甘すぎます(笑)

たとえばパチンコだと、自分の周囲にいる人間、他の客との叩き合いなんですよ。

自分以外の客が負けるから、自分が勝てるんですよ。

店側は誰が勝とうが負けようが知ったこっちゃないんです。必ず勝つ側なんです。

だからね、本当のプロっていうのは、ひっそりと姿を消して他の客の負け分を回収していくんです。

常連客と一緒になって勝ったの負けたの騒がない。

目立たず気が付かれず、他のカモの負け分を回収するんです。

 

私、パチプロ経験をしてギャンブルの本質を知ってからは、勝とうと思ってギャンブルしたことは無いです。

あくまで遊び、レクリエーションの一種として「楽しむ」ことにしています。

 

あ、もう20年以上やってませんが、競馬の場合はちょっと違うかな。

私、競馬はたぶん収支プラスだと思います。

どうすれば勝てるか?

必勝法は「馬券を買わない事」と「当たる馬券を買う事」です。(笑

いや、まったく買わないってことじゃないんです。自信のあるレース以外買わないってことでして。

自信のあるレースなんて一日12レースで、ひとつあるかどうか。

すべての開催レースの結果をストックして、分析に分析を重ねて、考え抜いた結果の鉄板レースです。オッズなんてどうでもいいんです。

それでも、そうそうあたりゃしない。はずればっかりです。

でもね、自信のあるレース三つのうち一つでも当たれば、だいたい収支はプラスになります。

考え抜いた予想を持って競馬場に行きます。

朝、最初のレースから見ます。

パドックを見て返し馬を見てレースを見る。

もちろん馬券は買いません。

その日の馬場のコンディションや騎手の調子、レースの流れを分析します。

そしてお目当てのレースが来た時、その日の分析結果と自分の予想は合致しているかを考えます。

その結果、予想と違っていたら馬券は買いません。

そして最終レースまでしっかり見て帰ります。

競馬場へ行って、馬券を買わずに帰ることが出来るようになって収支はプラスになりましたね。まぁ、でも楽しくはないですよ。

自分の好きな馬を応援して、ワーワー声援して、勝ったの負けたの騒ぐ。

そんなのが楽しみですよね。

確実に負けますけど(笑

 

脱線しました。

パチプロのお話はたぶん後2回くらい。

仔猫のちまちゃんのお話も下書き終わってないし絵もたくさん描かなきゃだし、飯場の話も始めちゃったし、もう収集つきませんよ。

 

じゃあの。

 

 

 

 

 

 

ところで

飯場

(はんば)

って何よ?

って思う人多いですよね?

ひと昔前ならいざしらず、現在ではキーボード叩いても変換されませんでした。

えー、そんな飯場について語る前に、私の理想とする人生をちょいと書かせてください。

 

私の理想とする生き方とは、今は亡き渥美清さん演じるところのフーテンの寅さんなのです。若い人はもう知らないかもしれない「男はつらいよ」という映画の主人公。

足の向くまま気の向くまま、日本全国を旅しながら気ままにその日暮らしをする。

そんな人生が私の理想なんです。

地縁血縁、職場のしがらみや学歴家柄、そんなものに縛られず、寒くなったから南へ行って商売するか、桜の季節だから花見客の集まるところへ行くか、そんな思いつきであちこちへ出向いて、口八丁手八丁のテキヤ商売をして歩く。

そんな男の生き方ですね。俗にいう渡世人(とせいにん)ってやつです。

まぁ、いかにも気楽で楽しそうな人生だと思われがちですが、これはこれで覚悟がいるんですよ。

気楽で気まま、しがらみ無しってのは、そのかわり、たった一人で野垂れ死にする可能性が非常に高いんです。だから、それなりの覚悟や勇気がなければ出来ませんね。

フーテンの寅さんこと車寅次郎には、最後の最後に帰ることが出来る場所があった。

優しい妹、賠償千恵子演じるさくら、そして育ての親のおいちゃんとおばちゃんが待つ「家」です。

 

さて本題、飯場ってなんでしょう?

簡単にいうと、日雇い労働者が集まる「寮」のような場所です。

だいたい一つの飯場で15人~30人くらいが生活していまして、私が入ったことがある飯場もそんな規模で、定住者は2~3割程度だったと思います。

その他の大部分の人々は、あちこち流れ歩いている住所不定の日雇い労働者なんです。

で、この飯場や労働者が集まってる地域を「ドヤ」って言ったりします。

明日のジョーという漫画はドヤという地域のボクシングジムの話でしたね。

西日本では「山谷」って言うらしいです。岡林信康の山谷ブルースという歌は、やはり日雇い労働者の歌だったりします。大阪には今でもそんな地域があるそうな。

それで、この労働者たちは

どんな伝手で飯場に流れてくるのでしょう?

これ、手配師っていう「人買い」がいまして(花柳街の女衒みたいなもの)、

その手配師が集めて来るんです。

その昔、学生時代にJR山の手線の新大久保から高田の馬場へ向かう途中で、窓の外に戦後の闇市のような風景をしょっちゅう見ていまして、うどん屋とかモツ煮屋とかの屋台がたくさんあって、労働者達が群がって朝飯を食べていたり酒を飲んでたりしてるんです。ああ、美味そうだな行ってみたいな、なんて呑気に思ってましたっけ。

その辺には、簡易宿泊500円とか、ベッドハウス一泊300円とかいう看板もたくさんありましたね。

そういった「ドヤ街」に手配師達がトラックで乗りつけて人を集めるんです。

「解体、7000円、三日満期!」とか

「足場、7500円、五日満期!」とか言って大声で叫ぶと、労働者さん達が集まってきて、手を挙げるんですね。

手配師は長年の勘で使えそうな人間を瞬時に見抜き、お前とお前、あとそっちのお前、荷台に乗れや!なんて言って「攫って」いくんです。

まぁ、そんなふうにしてあちこちの飯場に労働者が流れつくんです。

さて、三日満期とか五日満期とかってどういうことなんでしょう?

飯場っていうのは三食宿泊付きの職場で、三日満期っていうのは、三日働いたら賃金がもらえるっていう契約なんです。

7000円三日満期ですと、三食&宿泊費として一日2500円、そして「前借り」という現金給付が一日2000円で合計4500円が天引きされます。

労働者はこの「前借り」で銭湯に行ったり、酒を飲んだり、生活に必要なものを買ったりします。

すると7000円から4500円差し引かれた残り2500円X三日で、7500円が満期後に支払われるんことになります。

それで7500円の現金を手にした労働者はまたドヤに舞い戻り、ベッドハウスに泊まったり、闇市跡のようなところで酒を飲んだりモツ煮を食べたりして過ごすんです。

ちなみにベッドハウスっていうのは、2段ベッドがたくさん並んだ部屋があって、夜8時から朝8時まで数百円で寝泊まりすることが出来るらしいです。

ただし格安なもんで、衛生環境はかなり劣悪なんだとか。

そうして7500円の現金で2,3日暮らした労働者は、また手配師によってどこかの飯場に流れつくんですね。

 

まぁ、そんなのが飯場ってやつでして、そこに入った(正確には通った)私の体験やそこで知り合った人の話なんかを次回から書いてみましょう。

 

 

御殿山 準

(ごてんやま ひとし)

ってどんな人? 何書いてるの?

 

私、御殿山準は赤坂の某放送局でラジオ番組の生放送をやっていたり、その後、映像ディレクターだとかプロデューサーとしていろんなアーティストや役者さん達と関わったり、某ジャ〇ーズの国民的アイドルグループのディレクターやってたり、会社立ち上げたり、解散したり、パチプロやってたり、一文無しになって日雇い労働者として飯場に入っていたり、パンの移動販売をやっていたり、小学校のトイレ掃除をやっていたり、霊能者とお知り合いになって怖い経験したり、子供の頃に妖精を見たり、一緒に遊んだり、たまに未来が見えてしまったり、宮沢賢治が好きだったり、下手な絵を描いたり、お話を書いたり、、

 

いろんな国でいろんな見聞をしたり、いろんな仕事に携わっていろんな人達から教わったりしたことをなんとなくノンビリ書いてみたいなと、そう思って始めたブログですね。

徒然なるままに、その日暮らし

そんなふうに人生送ってる変人の書くことが面白いと思った人は是非ご贔屓に。

コメントやメッセージいただけると励みになります。お気軽にお寄せください。

 

鬼は外 福は内

 

 

 

「しっかり食べるんだよ。ちま」

「はい、たくさん食べます!」

ちまは今、遅い朝ごはんを食べています。

昨日大雪が降ったので、今日の朝はとても寒くて、なかなかベッドから出られなかったのです。

「ごはんを食べ終わったら豆まきだからね」

「まめまき?」

「そうだよ。豆で鬼を追い払うんだ」

「オニ?」

「鬼は大きくて真っ赤な顔をしていて角があって毛むくじゃらなんだぞ」

「えー! それは怖いの?」

ちまには鬼の姿がまったく想像できません。

「そうだ。悪い子は食べられちゃうんだ」

「ボ、ボクは悪い子じゃないから大丈夫でしょ?」

「さぁ、どうかな。今日は町に鬼がやってくる日なんだ」

 

ちまは急いでご飯を食べ終わりました。どこかに隠れているつもりなのです。

「ちま、怖がってないで鬼が来たらちゃんと追い払うんだよ」

「ボクはちょっと、そういうのは苦手なんで、、隠れてます」

「あーー、それはダメだな。隠れている子はすぐに見つかっちゃうからな」

「そんな!どうしよう、ボク、どうしよう」

「大丈夫だよ。鬼は豆に弱いんだ。豆を投げれば逃げて行っちゃうから」

「そうなの?でも、ボク自信ないな」

「鬼が物置に入らないように、しっかり追い払うんだぞ」

「親方も一緒に追い払ってくれるんでしょ?」

ちまは親方の後ろに隠れているつもりなのです。

「いや、それはダメだ。私はお店を守らなきゃいけないから、物置はちまが一人で守っておくれよ」

「え、、えーーー! 無理です、無理無理!!」

「大丈夫だよ。羊のお姉さんが助けに来てくれることになってるから」

「ユリアお姉さんが一緒に追い払ってくれるの?」

「ああ、だから安心していいぞ」

ちまは親方から豆がたくさん入った升を渡されました。

「さぁ、これを持って物置に行きなさい。豆を鬼にぶつける時は鬼は外!と大声で言うように。鬼が逃げたら家の中に豆をまいて福は内と言うんだよ」

「オニはそと、ふくはうち、、ですね」

「うむ。豆まきが終わったらお姉さんがスケートを教えてくれるから、頑張るんだよ」

すけーと、、よくわからないけど楽しそうだな。

お姉さんが一緒ならオニさんも怖くないや。

ちまはお店の裏口から外へ出て物置に向かいます。

物置までは10歩くらいなのですが、鬼がいるかもしれないのでまわりをキョロキョロ見回しながら急いで歩きます。

長靴履いてるから足が冷たくないぞ。カプカプって音がして楽しいや。

ちまは昨日初めて長靴を履いたのですが、なかなか気に入っています。

よし、オニさんが来る前に物置に着いたぞ。早くお姉さん来てくれないかな。

そうこうしているうちに、町のあちこちから鬼は外、福は内という声が聞こえて来ました。

ああ、どうしよう、もうオニさんが来てるんだ。

お姉さん、まだ来てないのに。ボク一人なのに。

ちまは物置の扉を少しだけ開けて外の様子を見てみました。

 

「悪い子はいねーかー、このへんに悪い子はいねーかー」

大きくて赤い顔をして角が生えたもじゃもじゃ頭の怪物がこっちへ向かって来るのが見えました。

「キャー、、悪い子はいません!ダメ、こっちに来ないで、オニはそとーー」

ちまは怖くて目が開けていられなかったのですが、夢中で豆を投げつけました。

「うがーー、やられたーー」

ドスンドスンと音がして、オニが逃げる足音が聞こえて来ます。

ちまは恐る恐る目を開けて外を見ました。

 

「ちまちゃん、どこ?どこにいるのー?」

あ、お姉さんの声だ。お姉さん来てくれたんだ!

お姉さんの声のする方を見てみると、大きなバッグを持ったユリアさんがいました。

でも、すぐ近くにのそのそと歩く鬼もいます。

「お姉さん、オニさんがいます! 逃げて! 早くこっちに来て!」

「キャー、怖い怖い、キャー」

お姉さんが走って逃げて来ましたが、なぜかニコニコ笑っています。

「ちーまー、ワシも中に入れろーー」

鬼が後を追いかけて向かって来ます。

「お姉さん、大変、オニさんがこっちに来る!」

「ちまちゃん、豆をぶつけて。鬼は外よ!」

 

「キャー、オニさん、入って来ちゃだめー、オニはそと、オニはそとーー」

ちまは相変わらず目をつぶったまま、めちゃくちゃに豆を投げています。

「うがー、やられたー、うがー」

またしても鬼は逃げて行きました。

それを見たお姉さん、物置の扉を閉めると、

「ちまちゃん、福は内しないと。鬼は外だけじゃダメよ」

と言いました。

「そ、そうだった。忘れてました。ふくはうち、ふくはうちー」

ちまは豆をまきながら奥へ進んで行きます。

一番奥まで来ると、自分の部屋のドアを開けました。

「あら、ちまちゃん、新しいお部屋ね。ちまちゃんのお部屋?」

「はい。親方が作ってくれました」

「まったく、親方はちまちゃんに甘いわねぇ、うふふふ」

「お姉さんはオニさんが怖くないの?」

「私は毎年見てるから全然怖くないわよ」

ちまはお姉さんがいてくれて良かったと思いながら、部屋に豆をまき始めました。

その時です、

「悪い子はいねえかー、悪い子はどこだー」

窓の外に鬼の赤い顔がありました。

「あははは、ソレ、鬼じゃなくてナマハゲだから!」

お姉さん、窓をガラガラと開けて何か言ってます。

「キャー、お姉さん、窓を開けちゃダメー、早く閉めてー」

「何してるの、ちまちゃん、鬼は外でしょ!」

「オニはそと、オニはそと、オニはそとーー」

ちまが目をつぶったまま豆を投げると、今回も鬼は逃げて行きました。

ちまは鬼がすぐ近くまで来ていたので、怖くて座り込んでいます。

「ちまちゃん、もう鬼は来ないから安心して」

お姉さんがちまを立たせてくれました。

「もう来ない? 本当に?」

「うふふふ、来ないわ」

お姉さんはなぜ鬼がもう来ないとわかるのでしょうか?

 

「ちまー、ここを開けておくれー」

「キャッ、お姉さん、オニさんまた来たよ!」

「あれは親方よ、親方の声でしょ」

ああ、そういえば親方の声だな。オニさんの声と親方の声似てるんだな。

「うん、親方の声みたいだ」

二人は入口へ行って扉を開けました。

「ちま、鬼は追い払えたかい?」

「なんとか、お姉さんがいてくれたので追い払えました」

「そうか、良くやったな。えらいぞ、ちま」

そう言いながら、ほうきとちり取りを持った親方が物置に入ってきます。

その時、なにかがポトリと落ちました。

   「あ!」   「あ!」

ちまと親方が同時に声をあげます。

お姉さんがそれを見て「ぷ、ぷ」っと笑いました。

 

「オ、オニさんのお顔だよ! オニさんのお顔!」

「む、むむ、これは、その、あ、ああそうだ、そこで拾ったんだ、そこに落ちていたんだよ」

「顔を落とすなんてマヌケな鬼だわ、あはははは」

お姉さん、手を叩いて喜んでいます。

「そ、掃除だ、掃除。私は掃除をしに来たんだから」

親方は物置の奥へずんずん入って行って散らばった豆を片付け始めました。

お姉さんは何がおかしいのか笑い続けています。

 

「ガオー、ガオー」

「あら?ちまちゃん、何してるの?」

鬼のお面をつけたちまが、お姉さんに向かってきます。

「オニさんの真似ですよ、悪い子はいねえかー、ガオー」

お姉さん、ぷぷぷプーっと笑ってしまいます。

「ちょ、ちょっと、ちまちゃん、笑わせないで、苦しい、、それナマハゲだし」

「ナマハゲ? ボクはナマハゲだぞー、ガオー」

お姉さん、とうとうプハーっと大笑いです。

「や、やめ、ダメ、苦しい、はは、ははは、イヤー!」

お姉さんがお腹を押さえて大笑いするので、ちまもつられて笑いました。

「あははははは」

いつのまにか親方もやってきています。

「ちま、楽しそうでよかったな」

「はい、さっきまで怖かったけど、今は楽しいです」

 

オニはそとー! ふくはうちー!

ちまはもう一度大声で叫びました。

 

その2に続く

 

 

なんとか節分の日に間に合いました。

弁天様の豆まきをキャンセルした甲斐があるってもんです。

この後3人でスケートにいくらしいのですが。

さてさて、どんなお話になることやら。

 

 

 

 

 

2月のカレンダーです。なんとか間に合いました。

 

スケートに出かけたみたいですね。

羊のお姉さんが美人なことは知っていましたが、これほどとは!

スタイルは抜群だし、美しいですねぇ。

名前はユリアさん。フィギュアスケートの選手だったそうです。

ちまも大きくなったらお姉さんみたいになれると思ってるらしいのですが。

ちょっと方向性が違うかなと。

 

じつは、、 お姉さんの鼻を書く時、こげ茶の鉛筆を持ったつもりが、、

赤紫の鉛筆だったみたいで、、描いた瞬間、あーーしまったーーと思ったのですが。

顔に消しゴムかけると汚くなってしまうので、あきらめました。

 

親方は穴釣りですね。

ちまが覗き込んでいる姿が可愛いです。

 

さてさて、どんなエピソードが隠れているんでしょうか。

楽しみです。

 

 

 

 

コタツでお雑煮を食べる

 

 

「あけましておめでとう、ちま」

「あけましておめでとうございます、親方」

今日は1月1日、ちまにとって初めてのお正月です。

「今、お雑煮の鍋を持ってくるから、ちまはコタツに入ってなさい」

「はい、親方」

ここは親方の部屋。親方の部屋にはコタツがあって、ちまは親方の部屋で過ごすことが多いのです。

座布団が3枚重なっている方がちまの席。ちまは小さくて座布団3枚ないと顔がコタツの上に出ないので、親方が座布団を増やしてくれました。

 

わぁ、いろんなお料理があるな。赤や黄色、ピンク、黒、オレンジ、綺麗だし見てるだけで楽しいな。

「さぁ、ちま、食べようか」

親方がなにやら鍋を持ってきて脇にある火鉢に乗せました。

「はい!」

ちまは初めて見る綺麗なおせち料理にドキドキワクワクしています。

親方が卓の上にある小さな火鉢に網を乗せ、その上に何か白くて平べったいモノを乗せました。

「親方、それは何?」

「これはお餅だよ」

「何をしてるの?」

「お餅を焼いてるんだよ」

「お餅は焼いて食べるの?」

「そうだよ。焼くと柔らかくなるんだ」

ちまはお餅を指でつついてみました。

「固い、固いですよ」

「しばらくすると柔らかくなるんだよ」

ちまは卓の上のあっちこっちをキョロキョロ眺めています。

「親方、このピンクと白いのは何?」

「それは蒲鉾」

「この黒いのは?」

「それは黒豆」

「この黄色いのは?」

「それは栗きんとん」

ちまはとうとう座布団3枚の上に立ち上がりました。

「これ、この丸まってとんがってるオレンジの生き物みたいなのは?」

「ん? それは海老だな」

「えび?」

「うむ。それは海にいる生き物だよ」

「うみ? うみって何?」

「ああ、ちまは海を見たこと無かったな」

「はい、それはどんな場所?」

「川が行き着くと海になるんだよ」

「えー、それじゃ水があふれて大変なことになるでしょ」

「あふれないんだよ。海はそりゃぁもう大きな水たまりだからね」

「えーーーー、だって川にはたくさんの水が流れているのに?」

ちまには海の大きさがまったく想像できません。

「暖かくなったら、海を見に行こうか」

「はい、ボクは海を見てみたいです!」

 

その後もちまの質問は止まりません。これは何、あれは何?と料理を食べるのを忘れて親方に質問を続けています。

そうこうしているうちに、火鉢の上のお餅がプーっとふくれました。

「あ、親方、お餅が大変、プーってふくれちゃってます!」

「ああ、焼けたな」

親方は箸でお餅を一つ摘まむと、ちまのお椀に入れました。親方のお椀には二つ。

それから鍋に入っていた熱々のスープをお椀に注ぎます。

「これはお雑煮だよ、熱いから気をつけて食べるんだよ」

「はい、いただきます!」

 

まずは、このスープから飲んでみて、、ああ、美味しい、いつものスープと全然ちがう味がする。

次はこのお餅を、、

ちまは箸でお餅をつついてみました。

お、なんかプニュプニュして柔らかいな。ちょっと引っ張ってみよう、、

あれ?お餅が箸にくっついて離れないな。

あれ、あれ、どうしよう、お餅がどんどん伸びて来るよ。

「親方、どうしよう、お餅が箸からはなれませんよ!」

お餅はどんどん伸びて、とうとうちまの顔の前まで来てしまいました。

「親方、これ、どうしよう」

親方はププッと笑うと、

「そのまま食べてごらんよ」

ちまは伸びきったお餅を食べてみました。

「美味しい! 美味しいですよ。」

お餅にはスープの味がしみ込んでいて、暖かくて柔らかくてとても美味しく感じられました。

「そうか、そりゃ良かった」

親方は笑いながら、また二つお餅を焼いています。

ちまはチラチラとお餅を気にしながらおせち料理を食べ始めました。

いつまたお餅がプーっとふくれるか、気になって仕方ないのです。

あ、栗きんとんって甘いんだ、おいしい。

これはかまぼこって言ってたな、お醤油つけて食べるのか。

次から次へとちまはおせち料理を食べていきます。

どれを食べても美味しくて、自然にニコニコしてしまいます。

 

すべての種類を食べ終わったところで、ちまの箸がピタッと止まりました。

なにやらしかめ面をして悩んでいるようです。

「ん?どうしたんだ、ちま」

親方が声をかけます。

「そろそろお腹一杯になりそうで、、、、最後にどれを食べるか、、 どれも美味しくて」

「なんだ、そんなことか。明日また食べるといいさ」

「え?明日も食べられるの?」

「おせち料理はお正月中食べられるんだよ」

「そうなの!やったー! お餅も食べられる?」

「ああ、もちろん。でもその勢いじゃ明日で品切れかもな」

二人は顔を見合わせて笑います。

ちょうどその時、お餅がプーっとふくれました。

「ちまはどうする?お雑煮か?おせちか?」

「ボクは栗きんとんをもう一つ食べます」

「じゃぁお餅は私が食べるよ」

「はい。でもまだ明日の分もありますよね?」

「ああ、お餅はまだまだたくさんあるし、お雑煮以外の食べ方がたくさんあるから試してみるといい」

「それは楽しみ! ボク、明日はお餅三つ食べますよ!」

「ああ、それじゃ私は五つ食べよう」

「あはははは」

 

おばあちゃんにご挨拶

 

「パンが焼けたよ、ちま」

「親方、ありがとう」

親方が焼きたてのパンを二つと木苺のジャムの瓶を二つカゴに入れました。

ちまはこれから森のマリヤちゃんに会いに行きますが、その前にラルクおばあちゃんの家に寄って挨拶をする予定です。

「それじゃ行ってきますね」

「ああ、暖かい格好をして行くんだよ」

「大丈夫ですよ、ほら」

ちまはその場でくるっと回ってみせます。

「羊のお姉さんが編んでくれたセーターと半ズボン、マフラーまであるんだから」

「そうだな、それなら大丈夫そうだ」

「ボクはもう小さい子供じゃないんだから、そんなに心配しないで」

「う、うむ。そうか」

「そうですよ」

いや、どこからどう見ても小さい子供だろ!と親方は思いましたが、黙っておくことにしました。

「暗くなる前に帰って来るんだよ」

「はーい」

ちまは大きく手を振って森へ向かう道を歩いていきました。

さて、ちまが出かけているうちに一仕事するかな。

親方は大工道具を持って物置に入っていきました。

 

カサカサ ザクザク

ザクザク カサカサ

ちまは森の道を進んでいきます。

わざと枯れ葉の上を選んで歩いているようです。

うふふふ。カサカサザクザク、枯れ葉を踏んで歩くのは楽しいな。

もう少しでおばあちゃんの家に着くぞ。おばあちゃん元気かな?

 

 

ああ、今日はいいお天気。毎日こんな日ばかりならいいのに。

アライグマのラルクおばあちゃんは、いつものように窓際の長椅子に座って空を見上げました。

青い空、白い雲、お日様は明るくてポカポカと暖かい日差しを届けてくれています。

「おばあちゃーーん、ラルクおばあちゃーーん」

どこからか聞きなれた声が聞こえて来ます。

 

あら、ちまちゃんの声だわ。

可愛い仔猫ちゃんが来てくれたみたい。

 

声のする方を見ると、ちまが手を振って近づいてくるのが見えました。

 

「ちまちゃん、あけましておめでとう」

「あけましておめでとうございます、あばあちゃん」

ちまがペコリとお辞儀しました。

まぁ可愛い。毛糸の服を着ているのね。

「ちまちゃん、暖かそうな服着てるわね」

「はい。羊のお姉さんが編んでくれたんです」

ちまは嬉しそうにニコニコ笑っています。

「おばあちゃん、コレ、親方が焼いてくれたパンと木苺のジャムです」

「あら、ご丁寧にどうもありがとう。お部屋でお茶でもどうかしら?」

「そうしたいんですけど、ボク、これからマリヤちゃんの家に行くんです」

「狐のマリヤちゃんかしら?」

「はい。遅くなると、、マリヤちゃんに怒られちゃうから、、」

「ふふふ。そうね。じゃ、少しだけ待ってて」

おばあちゃんは部屋の奥に行って何か探して戻って来ました。

「はい、コレ、かるたよ」

「かるた?」

「私の娘とマリヤちゃんのお母さんは友達だったの。よく二人でこのかるたで遊んでいたわ」

おばあちゃんはちまにかるたを渡してくれました。

「それからコレ、自家製のハチミツ。マリヤちゃんにも差し上げて」

「おばあちゃん、ハチミツも作れるの?」

「ミツバチを飼っているのよ」

「すごいや!ありがとう、おばあちゃん」

「どういたしまして。また来てね、ちまちゃん」

「はい、それじゃ、さようなら」

ちまはハチミツの瓶二つとかるたをカゴに入れて歩き始めました。

振り返って見ると、おばあちゃんが小さく手を振ってくれています。

「ありがとう、おばあちゃん。また来るねーー」

ちまはブンブン大きく手を振って返しました。
 

 

かるた取りをする

 

 

急がなきゃ 早く行かなきゃ。

マリヤちゃん待たせちゃってるから。

 

ラルクおばあちゃんに挨拶した後、ちまはマリヤちゃんの家に向かっています。

手に持っているカゴには焼きたてのパンやジャムの瓶が入っているので、走ることは出来ません。

それでもできるだけ急いで歩いています。

「ちまちゃーん」

あ、マリヤちゃん、おうちの外で飛び跳ねてる!

マリヤちゃんが家の外に出てぴょんぴょん飛び跳ねているのが見えます。

「マリヤちゃーーん」

ちまが大きな声で返事をすると、マリヤちゃんはいっそう大きく飛び跳ねました。

 

「あけましておめでとう、ちまちゃん」

「あけましておめでとう、マリヤちゃん」

ふたりは挨拶をすると、顔を見合わせてにっこりしました。

「あけましておめでとう、ちまちゃん。今年もうちの娘と仲良くしてね」

隣でマリヤちゃんのお母さんもニコニコしています。

「あけましておめでとうございます。マリヤちゃんのお母さん」

「さぁ、ちまちゃん、早くおうちに入るのよ!」

ちまはマリヤちゃんに引っ張られて家に入って行きました。

 

あれ?マリヤちゃん、赤い服着ててサンタさんみたいだな。

 

「ちまちゃん、アナタ、可愛い服着てるわね」

「これ、羊のお姉さんが編んでくれたんです」

「ふーーん。いいわ、なかなか似合ってるわよ」

マリヤちゃんがちまの周りをぐるっと一周しました。

「ところでちまちゃん、アタシのことサンタさんみたいって思ったわね?」

「え? いや、それは、そんなことは、、」

「いいのよ、これはサンタさんの格好なの。アタシ、クリスマスにはサンタさんの格好をして、みんなにお花を配りに行くんだから」

マリヤちゃんは一年中、たくさんのお花を育てているのです。

「ちまちゃん、アタシの服可愛いかしら?」

「はい。とっても可愛いです」

「ふふふ。そうでしょ、そうに決まっているわ」

マリヤちゃんの目が一瞬キラッと光ったように見えて、ちまは何か嫌な予感がしました。

 

「さぁ、二人とも、お茶がはいったわよ。テーブルへどうぞ、ちまちゃん」

お母さんがお茶とお菓子を持って来てくれました。

「ありがとう御座います。これ、くまの親方から、パンと木苺のジャムです。」

ちまはカゴからパンとジャムを出してお母さんに渡しました」

「それからこれ、ラルクおばあちゃんからいただいたハチミツです」

「まぁ、ご丁寧にどうもありがとう。親方によろしくね」

「はい」

しばらくの間、二人はお茶を飲みお菓子を食べていましたが、どうやらマリヤちゃんがそわそわし始めたようです。

「さぁ、ちまちゃん、遊ぶわよ! 早く遊ぶのよ! さぁさぁ、何をする?」

マリヤちゃん、ちまのマフラーをつまんで左右にゆすっています。

「あ、それは、首が、、」

ちまは首がしまってしまい、咳き込みそうになりました。

「ちまちゃん、マフラーは預かっておくわね」

お母さんがマリヤちゃんの手をぴしゃっとはたき、ちまのマフラーをそっと外しました。

 

「ラルクおばあちゃんから、こんなのをいただいて来ましたよ」

ちまはカゴからかるたを取り出して見せました。

「何かしらこれ、かるたって書いてあるわね」

マリヤちゃんが早速かるたの箱を開けています。

「あら、懐かしい、これでカミルちゃんと良く遊んだわ」

「お母さん、カミルちゃんって誰?」

「ラルクおばあちゃんの娘さんよ。私とお友達だったの」

お母さんは懐かしそうにかるたの札を一枚手にとりました。

「猫に小判、ふふふ、これ、ちまちゃんに良く似てるわ」

「あら、ホント。ちまちゃん、これアナタによく似ててよ!」

 

 

「ええー、そうかなぁ」

「似てるわ、そっくりなのよ」

お母さんは笑いながら絵札をテーブルに広げています。

「さぁ、二人でかるた取りをやってごらんなさい」

「えー。どうするの?」

「私が字の札を読むから、二人は絵の札を探して先に取るのよ」

「先に取るのね!」

「あ、あのー、ボクはこのままじゃ手が届かないので、椅子の上に立ってもいいですか?」

「どうぞ、ちまちゃん」

マリヤちゃんはちまを見てふふっと笑いました。

「負けないわよ、ちまちゃん」

「は、はい、よろしくお願いします」

「じゃ、読むわよ。 かっぱのかわながれー」

二人はキョロキョロと絵札を探しています。

「あ、これだ!」

見つけたのは二人同時でしたが、ちまが先に札をとりました。

ちまは力ではマリヤちゃんにかないませんが、素早さでは負けていません。

「な、なかなか早いわね、ちまちゃん」

ちまは取った札を眺めて不思議そうな顔をしています。

「なんだろう、かっぱ? 川にはかっぱさんが住んでいるの?」

「アタシはそんな生き物見たことないわ。頭にお皿みたいなの乗っけてるし」

二人はお母さんの方を見ました。

「ふふふ。どうかしらね? じゃ、次よ。 へそでちゃをわかすー」

「これよ!」

今度はマリヤちゃんが先に取りました。

「ふふふ、どお、ちまちゃん、今度はアタシが取ったわよ!妹に負けるわけにはいかないのよ」

マリヤちゃんが取った札をちまに見せつけました。

「ぷ。なんだろ、その絵。でべその上にやかんが乗ってるよ」

「あらホント、お母さん何よコレ?」

マリヤちゃんのお母さん、ぷぷーっと大きく笑ってしまいました。

「さ、さぁ何かしらね? ぷ、ぷぷーー」

二人もお母さんにつられて笑ってしまいます。

その後も、えびでたいをつる、とか、いしのうえにもさんねん、とか、ひょうたんからこま、とか良くわからない言葉や意味不明なへんてこな絵が続きます。

その度に二人はお母さんに聞きますが、お母さんは笑うばかりで答えてくれません。

それどころか笑いすぎて字の札が読めなくなったりしています。

 

そうこうしているうちに、全部の札を取り終わりました。

結果はちまが二枚多く取ったようです。

「ま、負けたわ、お姉ちゃんのアタシが妹のちまちゃんに負けるなんて、、」

マリヤちゃん、がっくりと肩を落としています。

「そ、そんなにがっかりしなくても、、」

ちまは心配になってしまいました。

「そうね、そうよ。がっかりなんてしていられないわ。 次はお外よ。ちまちゃん次はお外で勝負なのよ。アタシ、準備してくるわ」

さすがはマリヤちゃん、あっさり立ち直るとどこかへ走って行きました。

「え?マリヤちゃん、勝負って何?」

ちまはまたしても嫌な予感がしましたが、とりあえずかるたを片付けることにしました。

「はい、このかるたはお母さんが預かってください」

「あら、ちまちゃん、どうして?」

「ボクが持っているよりいいですよ。お母さん、楽しそうだったし」

「ちまちゃん、ほんとにいい子ねぇ。うちの暴走娘に見習わせたいわ」

二人は顔を見合わせてニッコリ笑いました。

 

その時、マリヤちゃんが現れました。

手には赤い服となにやら板のようなものを持っています。

「さぁちまちゃん、次はお外で勝負するのよ!」

 

 

羽根つきをする

 

「ちまちゃん、お外に行く前にこれに着替えて!」

マリヤちゃんがちまの目の前に赤い服を差し出しています。

「え、なんで? なんで着替えるの?」

「お母さんにお願いして、ちまちゃんに合うようにお直ししておいたの。だから早く着替えるのよ!」

「マリヤ、それはクリスマスに着てもらう予定でしょ」

マリヤちゃんのお母さんも予想外だったようで、困った顔をしています。

「お外で勝負するのに、そんな綺麗な毛糸の服じゃダメよ。汚したら洗濯だって出来ないわ」

「そういえばそうね。ちまちゃん、洗える服に着替えた方がいいかも」

おかあさんもその意見に納得したようです。

ちまも羊のお姉さんに編んでもらった服を汚したくなかったので着替えることにしました。

 

「いいわ。ちょっと大きいけどクリスマスの頃にはちょうど良くなってると思うわ」

「あのー、クリスマスってどうして?」

「今年のクリスマスは、アタシとちまちゃんの二人でお花を配るのよ!」

「ええー、いつのまに、、そんなことになってたなんて」

「その服は前に私が着ていた服なの。今年のクリスマスはお揃いのサンタさんよ」

なるほど、さっきマリヤちゃんの目がキラリと光ったのはそういうことか。

これはもう断れないな。

でも、それはそれで楽しそうかも。

ちまはちょっと困りながらもそう思いました。

「さぁ、ちまちゃん、お外で勝負よ!」

「い、いや、だから、その、勝負って、、、何?」

 

 

「ちまちゃん、私がこの羽根を打つから、それを打ち返すのよ。用意はいいかしら?そーれ!」

マリヤちゃんが羽根を高く打ち上げました。

わー、羽根がクルクル回ってる。

ん、落ちてくるぞ。

アレを打ち返せばいいのか。

「はいっ!」

コツーンと音がしてちまが打ち返した羽根がマリヤちゃんに向かいます。

「それっ」

マリヤちゃんは全力で打ち返してきます。

「あははは、はいっ」

ちまはすぐに夢中になりました。

仔猫は動くものを追いかけると楽しくなるのです。

「やるわね、ちまちゃん、ソーレ」

マリヤちゃん、思いっきり高く打ち上げます。

「はは、はははは、それ」

ちまは簡単に追いついて打ち返します。

「むむむ、なかなか、やるわね、えーい」

しばらく打ち合いが続きましたが、マリヤちゃんは常に全力で打つので息がはぁはぁして来ました。

「こ、これでどうだ! やぁーーー」

マリヤちゃん、とうとうオーバーハンドでおもいきり打ち返しました。

「にゃ!」

こつーーん、ちまのおでこに羽根が命中し、ちまはしりもちを着いてしまいました。

「どう、ちまちゃん、これが私の実力よ!ほほほほほ」

魔王が高笑いをしているようです。

ゴツン

「きゃっ」

その時、お母さんがマリヤちゃんの頭にげんこつを落としました。

「なんてことするの、この暴走娘は!」

お母さん、急いでちまに駆け寄りました。

「大丈夫、ちまちゃん、ケガしてない?」

「だ、大丈夫です」

「おでこが赤くなってるわ、おうちで手当てしましょう」

お母さんがちまを立たせて家に向かいました。

「え、ちまちゃんケガしちゃったの、アタシ、そんなつもりじゃなかったの」

マリヤちゃん、オロオロしながら後を追って来ます。

「ごめんね、ちまちゃん、ごめんね、どうしよう、ごめんね」

「大丈夫だよ、たいしたことないから」

 

お母さんが手当てをしている間、マリヤちゃんはずっとションボリしています。

「アタシ、いけないことをしちゃったわ。どうしよう、、、」

「マリヤちゃん、そんなに心配しないで。平気だから」

「マリヤ、ちまちゃんに謝りなさい」

「はい。ちまちゃん、ごめんなさい」

マリヤちゃん、涙目になって謝りました。

「許してくれる? ちまちゃん」

「許すも何も、羽根つき楽しかった、ボク、すごく楽しかったよ」

「うわーん、ちまちゃーーん」

マリヤちゃん、ちまに抱きついてしまいました。

「ちまちゃん、ずっとお友達でいてね」

マリヤちゃんのお母さん、そんな二人を置いてどこかへ行きました。

 

「マリヤ、ちまちゃんにコレあげるんじゃなかったの?」

 お母さんの手には小さな鉢植えがあります。

「そう、そうだったわ。ちまちゃん、コレどうぞ」

マリヤちゃん、お母さんから受け取った鉢植えを、ちまの目の前に差し出しました。

「わぁ、可愛い。小さくて黄色いお花だ」

「コレは福寿草っていうの。お正月に咲くお花よ」

マリヤちゃん、少しモジモジしながら言いました。

「喜んでもらえるかしら」

「はい。すごく可愛くて、すごく嬉しいです」

涙目だったマリヤちゃん、やっといつもの元気が出てきたようです。

「今年のクリスマスはお揃いのサンタさんでお花を配るのよ!」

「はい。楽しみです」

「私、たくさんお花を咲かせるわ!」

「はい。ボクも手伝いますね」

「ははは」「あははは!」

二人が笑う姿をマリヤちゃんのお母さんが優しく見守っていました。

 

 

ミニコタツでお餅を焼く

 

 

「ただいまー。親方、今帰りましたよ」

ちまはお店の裏口から声をかけました。でもお店の中には誰もいないみたいで静かです。

あれ? 誰もいないのかな。親方、出かけちゃったのかな?

「おや、ちま、早かったな」

ちまが振り返ると、大工道具を持った親方が物置の前に立っていました。

親方、物置で何してたんだろ?

「ちょうど良いところに帰って来たな。ちょっと来てごらん」

ちまは親方に続いて物置のなかに入って行きました。

 

「今日からここがちまの部屋だ」

物置の奥のドアを開けると、小さな部屋が出来ていました。

「うわー、ここが僕の部屋? 親方が作ってくれたの?」

「そうだよ。少しスペースがあったからね」

ちまは部屋に入ると、嬉しそうにあちこち見回っています。

「これ、ちいさなコタツ!」

「うむ。ちま専用のミニコタツだな」

「これも親方が作ったの?」

「古いコタツを改造したんだよ」

「これなら座布団三枚無くても平気!一枚で十分だ!」

「ははは、そうだな一枚でいいな」

「カゴのベッドも新しくなってるし、大きくなってる!」

「そうだよ。寝るときはコタツじゃなくてベッドで寝なきゃダメだぞ」

「はい!」

ちまはニコニコしながらコタツに入ってみました。

「ちょうどいい。ボクにぴったりのコタツだ」

「良かったな、ちま」

親方もニコニコ笑っています。

「親方、ボクこのコタツでやってみたいことがあります」

「なんだい?ちま」

「ボク、コタツでお餅を焼いてみたい」

「そうか、そろそろおやつの時間か。じゃぁ用意するから待ってなさい」

なんだかんだ言って親方はちまに甘いし、少し過保護のようです。

「わーい」

 

「ちま、炭を使うときは窓を少し開けて換気をしなきゃダメだよ」

「はい。親方」

「お餅が焼けたら、この砂糖醤油をつけて食べてごらん」

親方が火鉢の網の上にお餅を乗せてくれました。

「じゃぁ、暗くなったら晩御飯だからね。お餅を食べ過ぎないように」

「はーい」

親方はそう言うと自分の部屋に帰って行きました。

ちまはお餅をつついたりひっくり返したりしながらお餅が焼けるのを待っています。

お餅、突然プーって膨らむからな。ドキドキするな。

ちまはいつお餅が膨れるか気が気じゃありません。

あ、膨れた、プーって膨れたよ。

アツ、熱々だよ。ここにお醤油をつけて、、、伸びる伸びる、ピザのチーズみたいだ!

 

 

ははは、美味しい、美味しいや。

お正月は楽しいな。

 

仔猫のちま 楽しいお正月 のお話でした。   

おわり

 

 

とりあえずお正月のお話は完結しました。

なんとなく描いた1月のカレンダーでしたが、そこにはこんなエピソードがたくさんあったんですね。

暇な時に絵を何枚か描き足したり入れ替えたりしたいと思っています。

 

さぁ2月のカレンダー完成させなきゃ。

 

 

これからお正月の挨拶に行くらしいのですが。

羊のお姉さんに編んでもらった毛糸のマフラーとセーター、パンツで暖かそうですね。

寒がりの動物は冬の間だけ服を着たりしますけど、羊のお姉さんは夏も服を着ています。

毛を刈り取ってしまった姿を見られるのは恥ずかしいんだとか。

ちまはくまの親方が過保護だと感じているようです。

もう小さな子供じゃないんだから!と主張しています。

 

まぁ、こんな可愛い格好されたら、過保護にもなりましょう。

ピタっと手が止まっています。

去年夏の絶不調から少し回復したものの、12月から不調。

なんというか波動?っていうんですかね?

詳しいことは判りませんが、かなり影響しているみたいです。

 

今日は朝から体調が良いので、記録を残そうと思いました。

 

部屋の中を風が吹いています。

北東から南西に向かって。

スキマ風ではありません。

あちこち点検したのですが、窓や扉から風は入っていません。

たまに煙が現れます。

焦げ臭かったりしますね。

地を這うような白いモヤの時もあります。

これは焦げ臭くありません。

 

ベネズエラの事変やイランの暴動、日本の解散総選挙、全部リンクしているようです。

今回の選挙は、対中国にどんな覚悟で臨むかを問われるんじゃないでしょうか。

私は別に中国を嫌っているわけじゃありませんが。

平等とか博愛とか世界平和とか。

宗教の名のもとに虐殺を行ったり、平等で平和な世を作るといいながら一部の特権階級を生み出し、独裁を行う。

 

社会主義っていうのは机上の理論としては美しく完成に近いものに見える。

 

でもね、人類にその運用は出来ません。

 

必ず支配層が悪用するようになります。

毛沢東が何をしたか、スターリンが何をしたか、チャウシェスクがどんな末路を辿ったのか。

宗教指導者も同様ですね。

ヒジャブを着用しなかっただけで宗教警察に逮捕され、拷問を受けた後殺害された女性がいる。

そんなことをしながら、民衆が暴動を起こしたらさっさとロシアに逃げる準備をする。

隣国、北の独裁者は自分の兄をVXガスで殺害し、叔父を火炎放射器で処刑した。

南のペテン師は民族間の憎悪を煽り、司法をねじ曲げている。

 

さすがに大掃除が始まるんじゃないかな。

私、毎日、午後になると猛烈な眠気に襲われて倒れるように眠ってしまいます。

 

あんまりこういう内容の事を書きたくないのですが、記録しておきます。