(承前)Q、ありがとうございます。
なるほど、顕名があれば無権代理ですね。そうするとさらに疑問が出てきてしまいました。 受取証書を偽造して、さらに顕名までしてきたら、その人は無権代理人になりませんか。
もしそうだとしたら、113条1項で契約(弁済金受取行為)は無効と思うのです。
480条だと債権の準占有者と扱われて、弁済行為は有効になる。矛盾するような気がします。
民法の債務者保護の基底を鑑みたら、478条・480条を優先適用されるのでしょうか?なかなか沼にはまってしまいました(笑)
行政書士 2017年向け行政書士
第32回 債権の消滅 2017年09月27日(水) 20:44
A、
なるほど。面白いですね。
まず、無権代理→弁済無効
と必ず、論理必然に流れるとはいえません。
無権代理を修正し、相手方を保護する手段として「表見代理」があるからです。
そして、債権の準占有者の場合も、無権代理事案も、共通する点として、
「弁済者は自分が債務者であることを知っている」点が挙げられます。
無権代理人事案でも、顕名があるわけですから、
「債権者本人に支払う代わりに、代理人に支払う」という意思を持ち、弁済するはずです。
となると、債権の準占有者の場合も、無権代理事案も、
民法が共通して想定している問題解決ルートとしては、
A、債権の準占有者の場合→「本来の債権者」と「準占有者」との間で最終決着。
B、無権代理人事案→「本人」と「無権代理人」との間で最終決着。
と、考え、弁済者はイチ抜けとする(=弁済を有効とし、紛争に絡ませない)。
と考えられ、紛争解決方法としてスジが良いかと思います。
いかがでしょうか。
繰り返しになりますが、
「弁済者には、債務がある」ということが前提になる以上、
弁済を無効にするというスジは、問題解決に迂遠であるだけと考えます。
弁済が無効になっても、また、債務を弁済しなければならないわけですから・・・。
なお、本試験では、必ず具体的な事実が設定されるので、両者の区別が付かないという問題は出ないでしょう。
講師 宇塚悠介
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実家ッテ、