英検1級を圧倒したこの一冊【18】東大入試 英文要約のグラマティカ | ひとときのときのひと

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外資系で英語を再開し、アラカンでも英検1級1発合格。
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そんな人間が、ためになる言葉を発信します。
だいたい毎日。



まずは英語から。

 ここでは、英検にこだわらず「ためになる英語」学習に関するる手に入りやすい本の案内として説明をしていきます。

 

 紹介するのは、この

 

 「東大入試英文要約のグラマティカ」(冨士哲也)です。

 

 「何をいまさら、大学入試の参考書、問題集なんか?」と思われるかもしれませんが、そういう方は果たしてどの程度の英文読解力があるのか、この本で試してみてはいかがでしょうか。

 

 というのも、ビジネス英語などとさも高尚な知的業務と日本ではされているようですが、英文メールのやりとりなど、よほどのことが無い限り、「仕事」ではなく「作業」です。

 

 すなわち、その業務は機械的反復的行為であり、つまりバケツリレーよりは少々難しいといった程度の頭脳活動なのです。たいがいは。

 

 また、英検だのTOEICの英文読解問題も、しょせんといってはなんですが、四択ですから、結構「試験テクニック」で解けてしまったりするのです。

 

 したがって、「こういった資格試験問題で英語力十分伸ばしたから、もう読解の勉強など不要だ」とそう思い込んでいる人は、ぜひこの一冊に当たって、気持ちよく打ちのめされることをおすすめします。

 

 本ブログ筆者も英検1級1発合格、特にReadingについては、特段強化する勉強はせずにきていました。

 

 ところが、この一冊に掲載されている過去問を解いていくうちに、いかに自分が常日頃「ふんいき読み」をしていたかがわかります。いや、わかりました。

 

 取り上げられているのは、東大の英語試験として出題された要約問題10問。だから、やろうと思えば、休日の午前か午後数時間で解答だけは作れるでしょう。

 

 しかし、その正解に至るまで、この本の著者は4つものステップを設け、きわめて細かな分析と回答への道を示していきます。

 

 最初に来るステップが「要約の文法的視点」となっており、ここでまず「ふんいき読み」の甘さを指摘してくれます。相当きついパンチで、です。

 

 続いて、課題文の再検討、キーセンテンスの発見の実際と続き、最後に解答(日本語の文字数に制限があります)作成の実際といった流れになっています。その間に、参考となる類似問題も使って、いかに間違いなく変に主観的な判断を入れずに解答を導くかが書かれています。

 

 最後に本著者が「まえがき」で述べているところを引用してみましょう。

 

 英語学習のキモとなるような言葉がちりばめられていますので、この本にあまり興味のない方も、示唆やヒントが得られるのではないかと思います。

 

 こんなことが書いてあります。

 

 従来の受験参考書・問題集では、要約と言う出題形式が、あたかも「読解力」ないしは「和訳力」という、日本語力の一部を問う主観テストであるかのように扱われてきました。実際、要約対策の問題集には、英文法事項の役割・機能そのものを解答の根拠としているものがほとんどありません。残念ながら、解答の根拠は、日本語訳という、英語そのものの外部に、英語そのものからは独立したものとみなされている意味・内容の方に求められてきたのです。

 しかし、要約問題も英語の試験問題であるかぎりは、「正解」あるいは「最も点数の高い答案」の根拠は、客観的に、課題文である英語そのものに求めることができるものでなければなりません。本書では(中略)解答に到るまでのプロセスを、可能な限り的確に可視化するように努めました。

 

 以上、英語の参考書には載っていないかもしれませんが、あなたの英語学習の参考になれば幸いに思います。