英検1級を圧倒したこの一冊【16】英米人のものの見方を理解するための教養の英語 | ひとときのときのひと

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だいたい毎日。



まずは英語から。

 ここでは、英検にこだわらず「ためになる英語」学習に関するる手に入りやすい本の案内として説明をしていきます。

 

 

「英米人のものの見方を理解するための教養の英語」(臼井俊雄)です。

 

 この本には、こんな副題がついています。そのまま引用してみます。

 

 米国独立宣言・聖書・シェイクスピアをやさしく学ぶ

 

 さらにその下に

 

 英米人のバックボーンを知ると英語が深く学べる。

 

とあります。

 

 たとえば、911事件後の標語に

 

UNITED WE STAND(団結して立ち上がり、この困難や悲しみを乗り越えよう!」

 

 というのがあります。日本人からするとなんていうことのない言葉かもしれません。

 

 しかし、著者はこの標語を日本人が理解するにはもっと背景を知らなければならないと説きます。

 

 なぜなら、この言葉はアメリカの独立時に歌われた「自由の歌」の一節に由来し、それは新約聖書の中にルーツがあり、さらにたどるとホメロスやイソップといったギリシア・ローマ時代に生まれた名言に基づいているからです。

 

 つまり、少しずつ言い方や表現は異なるものの、時を超えて「団結は力なり」の概念が英米人の中に受け継がれている。その事実を知らずして、この短い言葉を日本人がとらえることはできない、というわけです。

 

 読んでみて、次々にページをめくりたくなる、といった類の本ではありません。エンタメ性は皆無と言っていい。

 

  しかし、今すぐには読みこなせなくても、少なくとも英語を読んだり聞いたりするとき、その背景知識を常に吸収しておこうとする意識を高めるには、うってつけの一冊です。

 

 本ブログの筆者も、読みながら、ある気付きを得ることができました。

 

 それは、シェークスピアが書いた喜劇「十二夜」の冒頭に出てくるあの名セリフに関してです。

 

If music be the food of love, play on;

もし音楽が恋の糧(かて)であるなら、そのまま続けてくれ)

 

 ですが、実はこの明言は、聖書の中に出てくる

 

a labor of love

(愛の労苦、報酬を期待しないで好きにする仕事)

 

 をベースにこしらえたのではないかという仮説です。

 

 すなわち、a labor of loveは、愛の労苦という非常に厳しく苦難に満ちているものではあるものの、このlaborをfood(食べ物)にたった一言かえて、つまり、the food of loveとするだけで労苦と正反対の甘美なものに変わる。

 

 そこにシェークスピアらしい文学的「仕掛け」を感じたのです。そして、この仕掛けが数百年も英米人の脳神経に織り込まれている。

 

 いかがでしょうか。

 

 ビジネスで英米人と、いまよりもさらに厚みや深みあるやりとりがしたい方は、本書を一読してみてはいかがでしょうか。

 

 以上、英語の参考書には載っていないかもしれませんが、あなたの英語学習の参考になれば幸いに思います。