おそらく日本初!警備員英語ガイドブック | ひとときのときのひと

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広告業界で鍛えたから、読み応えのある文が書ける。
外資系で英語を再開し、アラカンでも英検1級1発合格。
警備業界にいたから、この国の安全について語りたい。

そんな人間が、ためになる言葉を発信します。
だいたい毎日。



まずは英語から。

 資格は、ないよりはあった方がいい。それは間違いない。

 

 だから、「資格なんか役に立たないよ」というよく聞かされるセリフをもじって、「資格なんか役立ちます」というテーマ名にしている。

 

 ここでは、英検1級と警備員指導教育責任者1号の両方をあわせ持ったことによるメリットに関して、説明してみたい。

 

 英検1級の資格については、読者もある程度は知っているだろうが、警備員指導教育責任者1号については、ほとんどの方が知らないだろう。

 

 実は、警備員の世界も大きく4つの分野に分かれている。中でも、自分が携わったのは、その中の一つ、すなわちオフィスビルや商業施設、空港などを守る警備員の分野だった。ある程度現場にも立ったが、実際の警備員に対して英語を教えることも担った。

 

 その経験の延長として、警備員を指導するための国家資格である、この警備員指導教育責任者1号を取得し、本格的な「警備員英語」の指導書を書くこととしたのだ。ちなみに警備員の中にも、英検1級取得者はいる。ごくごく稀な存在だが、自分が見たから、間違いない。その一方、この警備員指導教育責任者をもあわせ持つ者は、おそらく日本で数人、もしかすると自分だけではないだろうか。

 

 そんな自分にとって、従来ネット上に散見される「警備員英語」ほぼほぼ道案内という考え方はまったく時代遅れであると思った。なぜなら、現在、日本にやってくる外国人はスマホを片手に行く先を自分たちで探せるからである。

 

 また、施設に来た方への「おもてなし」という行為も本来の警備員の中心業務ではない。あくまでも付随的業務だ。

 

 警備員の警備員たるための使命とは、そのビルなり敷地内において、その所有者(警備契約の相手方とおもっていただいていい)の施設管理権の委託を受け、安全と秩序を守ることにある。

 

 しかも、警備員には、警察官のような特別な権限は認められていないという制限の中でだ。

 

 このややこしい制限(警備業法等)を守って、しかし、日本人に対してと同じように外国人に対しても、適正に抑止抑制を行うには、英語が欠かせない。それは、喫緊の、いますぐに必要なスキルなのだ。

 

 しかし、こんなにもいくつも制限がかかる教育本制作作業はおそらく自分にしかできない、という自信がなくもなかった。

 

 なぜなら、若いころの広告制作の中においては、いやというほど「制限の中での表現」を学んできていたからだ。

 

 もう一度整理すれば、こういうことだ。

 

 まず、今必要なのは、まさにインバウンド復活後の時流に適した、日本人に対してと同じように外国人に対しても場違いの喫煙や飲食を止めれるような英語なのだ。それが何かを明らかにして案内する本にしなければならない。

 

 次に英語で強制的な命令というわけにはいかない。なぜなら、それは警察官にしかできないからだ。あくまでも警備員に法律で許されている範囲での英語にしなければならない。そのことを警備員指導教育責任者の資格を取るときに学んだ知識、また現場での経験をもとに説明する形にしなければならない。

 

 そして、三番目の条件として、英語が得意でない、フツーの警備員でもサクッと試せるようなもの。さらに読み物として面白くとの四番目の条件も考えなればならない。

 

 これだけの条件をクリアすることを頭において、そして実際に警備員に教えたときの感触を参考にしながら、書き進めていった。

 

 その結果、思いのほか、面白い読み物ができてしまった。20234月に発刊して、全く大きな告知をしていないのに、すでにアマゾンのレビューがいくつか付いている。

 

 作品の冒頭を引用してみよう。こんな感じだ。

 

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娘のカスミがカレーライスを作っていたら、とーちゃんが帰ってきた。

とーちゃんは約30年務めた中堅出版社の幸先が思わしくないことから見切りをつけて退職し、最近、ある施設の常駐警備員になった。

そのいきさつには、やや勢い任せのところがあった。

転職サイトのいくつかに登録すると、警備会社各社から勧誘のメールが次々にやって来た。

試しにそのうちの一社をクリックしてみたところ、すぐ呼ばれてすぐ面接。その二日後には正式採用になり、さらにその翌日には制服の寸法を取られていた具合。

新任教育を受けた後、ある大型施設の常駐警備員として配属され、既に半年余りが経過している。

とーちゃん
「カスミ、ただいま」

カスミ
「おかえり、きょうの晩御飯はカレーライスや。じきにできるで」

とーちゃんのカミさん、つまり、カスミの母親は、カスミが小学校6年生のとき、とある事故で亡くなっている。

だから、カスミは物心ついたころから殆ど毎日夕食を作っているのだ。

特にカレーはレシピが「カスミ・オリジナル」のせいか、とーちゃんの大好物なのだ。

とーちゃん

「おお、ええ香りやな。カレーか。あんな、カスミ、きょうな、仕事行ったらな、英会話やってん」

カスミ
「はあ、どんな時間帯に?」


とーちゃん
「休憩時間。声の大きなおっさんが、突然『まいど!こんど警備員に英語教える担当として入社しましたあ』て、休憩室に乗り込んできてな」

カスミ
「貴重な休憩時間にか?」

とーちゃん
「そのとおりや、英会話おしえてくれるんやて。」

カスミ
「なんや、英会話の行商かいな?なにを教わったんや」

とーちゃん
「道案内や、ほら『まっすぐ行って次の角を右に曲がってください』」

カスミ
「フーン。ほな、英語で言うみて、それ」

とーちゃん
「うーん。あの、あの、うーん。なんていうたかな」

カスミ
「なんや、頭に入ってへんのか。ちっとも」

カスミがゆっくり深呼吸した。
これはカスミがとーちゃんにひと講釈する直前の癖なのだ。

カスミ
「あのなあ。警備員は英会話なんかしてる暇なんかないんとちゃうんか?」

 

カスミは、中学校の英語教師。既に5年目だ。しかも、大学を休学していた時に、友達からの頼みを断り切れず、警備員として働いていた経験がある。

とーちゃん
「警備員が英会話やってはいかんのか。なんでや?」

カスミ
「まずな。いまどき旅行客はスマホ持ってはるで。そんな時代遅れの道案内英語なんか教わってどうすんの?」

とーちゃん
「そう言われたら、そうかもしらんな」

 

(中略)



カスミ

「だいたい、英語について過大な期待とすごい卑下する根性があるわ、日本人には」

とーちゃん
「?」

カスミ
「日本人で英語使えるゆうたら、なんかネーティブみたいなきれいな発音でペラペラできなあかんていった感じがあるやろ」

とーちゃん
「あるある。そやさかい、わしもカスミから、英語こうやって教えてもらわなんだら、なーんも、できんと思うわ」

カスミ
「あのな、『警備員英語』は、前も言うたけど、中学英語で十分や。


とーちゃん
「大半の警備員は、そう思ってないよ」

カスミ
「日本人で英語の上手な人、そら野球にたとえるなら、プロ野球レベルのめちゃくちゃ上手な人もいれば、高校野球レベルの人もおれば、そらいろいろおると思う。

でも、日本人てな、たか―い実力を夢見続けるか、それとも英会話習い始めて、こらあかんあかん言うて三日坊主であきらめるか、そのどっちかやないかと思うで。

つまりな、日本人は、まじめすぎて適当なところで手が打てへんねん」

とーちゃん
「不思議やなあ。変な完璧主義があんねんな」。

カスミ
「たとえば、どんなにうちのカレーがうまい言うたかて、世界料理コンテスト、いや、そんなんホンマにあるのか知らんが、入賞するもんでも、なんでもない」

とーちゃん
「でも、こんな風にちゃんと美味しくできる。立派に献立のひとつとして、たぶん誰にでも食べてもらえると思えるで。英語もそんな実用レベルやな。まずは。夢ばっかりみんと、実際に使えることを考えな」

カスミ
「そのとおりや」

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 こんな小説風の英語本、おそらく日本初!の画期的な警備員英語の指南書ができたのではないかと思っている。

 

 資格も二つ以上あわせ持つと、アイデアしだいでこんな楽しみ方ができる。未公認ではあるが、日本初をこしらえることができる。ちょっとしょいすぎかもしれないが、世のため人のための作物を生み出すこともできる。

 

 このあたりを少しでも理解していただければ幸いである。

 

 さらに、もし興味があれば、↓ご一読いただきたい。

「小説風 外国人に堂々とNO!と言える警備員英語」
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Kindle Unlimited 会員は、追加料金なし、0円で読める。

 

 警備員なんて関係ないよな、という方も、一種の英会話指南本として一度は手に取って(サンプルだけでも)読んでいただきたい。