10月に人事異動があってなにかと忙しかったのと、寝不足続きで体調を崩してしまい、しばらくブログをお休みしました。

別に誰も気に留めないだろうと思っていたら(卑屈になっていたワケではなくて)何人かの方にご心配いただき、本当にありがたいことです。嬉しかったです。






10月のとある日のこと。

「ぼ、ぼくは、お、おむすびが好きなんだなぁ」

こどもの頃、『裸の大将』というテレビ番組に家族全員が釘づけになっていたのをよく憶えている。そしてエンディングに


野に咲く花のように〜♪


が流れると、感動して涙してしまったことが照れ臭く、わざとらしい伸びとあくびをして誤魔化すのであった。

考えてみたら、山下清というと、芦屋雁之助演じるあのタンクトップに半ズボン姿のイメージがすべてで、実在した山下清の軌跡などは殆ど何も知らなかった。

同僚たちが〝立食いそば〟の話をしていて、JR常磐線の我孫子駅にある『弥生軒』の唐揚げそばの量がハンパない、しかもそこは山下清が実際に働いていた、というのである。

ただ、同僚によれば、量がハンパないだけで味はイマイチだとか。わざわざそれのためだけに行くのはオススメしないとのこと。

んーでも気になるなぁ... 
周辺に何か観光するところでもないかと地図を見てみると手賀沼があるではないか。

こどもの頃、同じ保育園に通っていた子が我孫子に引っ越して、その家に遊びに行ったことがあった。当時の手賀沼はヘドロで日本一汚い湖沼なんて云われていたけれど、その後、水質汚濁に強いブラックバスなどの外来種が増えてしまって元来の生物多様性が脅かされているのだとか。

一周18キロ。レンタルサイクルもあるみたいだし、満天の湯というスーパー銭湯もあるではないか。

ひとっ走りしたあと湯に浸かってサッパリして、例の唐揚げそばなるものを食べて帰ってくるプランでいくことにした。

水辺を気持ち良く走れるのかと思いきや、芦が繁っていてアクア感はあまりというか殆どない。
←水辺を走るのであれば水戸の偕楽園がオススメ
ただ、ひと昔に比べて水はだいぶキレイになったのでは?


え、これサクラ?この暑さで狂ってしまった感じ?


十月桜... っていうんだ。そのまんま。


こちらは狂ってしまった部類でしょう。ツクツクボウシが大量に。

そう言えば、九州の人にとって一般的なセミと言ったら、あのシャンシャンシャンシャンシャンシャンって鳴くクマゼミなのだとか。関東の人はあまり馴染みがないと思う。

関東でセミと言えば、ジ、ジジ... ジーーーーーーのアブラゼミか、ミーンミンミンミンミンミィのミンミンゼミだと思う。
その九州の人は、その人だけなのかもしれないけれど、東京のセミの鳴き声を聞いて、別の惑星に降り立ったような気分だと言っていた。


以前、人とハクチョウが、久々に再会した旧友のように堰を切って抱き合っているのをYoutubeで見たことがあった。ぼくもあの羽毛の翼に包まれてみたいと思い、しゃがんで腕を広げてみたが、ちょーめんどくさそうな感じのハクチョウたち。


「10月なのに暑い、暑すぎ」とは言うものの、やっぱりトンボを見ると秋を感じる。

日本では、トンボが前にしか進まないことから〝勝ち虫〟として武将たちに好まれた。
西洋では、英語で dragonfly と言うように、何か不吉なヤツというイメージ。例えば、スウェーデンの伝承ではトンボは悪魔の使いで、人の魂の重さを計るのだとか。
ルーマニアの伝承では、聖ゲオルギウスが王女を救うためにドラゴンを倒した際、悪魔の仕返しで愛馬を空飛ぶ巨大な虫にされてしまったそうな。それが dragonfly の語源らしい。
ウチの近所には、トウモロコシと言えず、トンボ殺しと言っていたガキんちょがいた。因みにぼくはエレベーターが言えず、エベレーターと呼んでいた。

この日は暑すぎて(10月なのに30℃)とてもとても18キロは走れなかった。しかも途中でレンタルサイクルを借りようとしたら平日はやっていない?それ早く言えよ...
スーパー銭湯も諦めて、我孫子駅まで戻ることにした。

例の弥生軒は、我孫子駅の1・2番線ホームに2店舗、4・5番線ホームに1店舗ある。山下清が働いていたのは1・2番線ホーム上の店舗(6号店?)らしいが定かではない。


間違いなく店内は改装されているので往時を偲ぶようなものは何もないのだけれど、ここのおばさんが当時から働いていたのではないかと思われる。
常連さんも多い様子で、本人たちにしか分からないような世間話をしていた。


どれどれ、唐揚げそば、早速頼んでみようではないか。

上の写真はなんとハーフサイズ。
唐揚げというか、小麦粉で揚げたかしわ天といった感じ。ハーフサイズなのに衣の中には鶏肉が2枚も。


そしてこれが普通盛り。衣の中に鶏肉が2枚入っているヤツが2枚ドカッとのっかっている。
めちゃくちゃお腹空いていたはずなのに、途中で食べ切れるか不安になったくらいだ。

同僚が言っていたように、そば自体はお世辞にも美味しいとは言えない。味がしないのと、ちょっと茹で過ぎな感じ。真っ白。でも唐揚げはサクサク衣に汁がしみて美味しい。でもおっさんは胸焼けが...

部活帰りの高校生らが「唐揚げそばのそばナシ」を頼んでいくのだとか。うん、食べ盛りにはたまらんかもしれない。

ぼくが見たワケではないのだけれど、時間帯によっては混んでいるらしく、何人かどんぶりを持って店の外、つまりホーム上で、立ったまま食べていることもあるらしい。そんなときに発車のチャイムが鳴ると反射的に電車に乗ってしまう人がいるらしく、揺れる電車の中で汁をこぼさないようにバランスを取るリーマンオヤジを目撃したことがあると同僚が言っていた。

なんとも中途半端な一日になってしまったが、我孫子の弥生軒はホーム上(改札内)なので、常磐線で出掛けるときは寄ってみるのもいいかもしれない。