◆ 突然の訪問者、その目的は…
ある日、いつものように会社で仕事をしていると、
60代くらいの女性が二人、にこやかに事務所へやってきました。
「こんにちは〜、ちょっとお聞きしたいことがあって…」と穏やかな雰囲気。
どうやら、近くで売り出していたマンションの売主Aさんの知人らしく、
「急に引っ越しちゃったものだから、連絡先聞いてなくて…。
どうしても伝えたいことがあるの。電話番号、わかるかしら?」
と、ごく自然な感じで話しかけてきました。
◆ 危うく情報漏洩寸前!
対応していた事務の女性が「少々お待ちください」とPCを触ろうとした瞬間、
たまたまその場にいた私が声をかけました。
「申し訳ありません。お教えすることはできないんですよ。」
すると、態度が急変。
「え〜困るのよぉ…」「本当に重要な話なの」と泣き落とし作戦スタート。
でも、こちらも負けません。
「何を言われても教えることはできません。不動産会社には守秘義務があるので」
それでも彼女たちは引きません。
「じゃあ…あの物件、売れたんですよね?いつ頃だったかだけでも」
この質問も当然アウト。
「それについてもお答えはできません。それも個人情報ですから」
最終的には帰っていただきましたが、あとで売主のAさんに確認したところ、
「絶対に誰にも教えないでください」ときっぱり。
(ふー 危ない)
◆ 不業者の守秘義務とは?
不動産会社には、業務上知り得た情報を守る義務があります。
これは法律や倫理に基づく、非常に重要なルールです。
◉ 宅地建物取引業法 第45条(秘密保持義務)
宅地建物取引業者及びその従業者は、業務上知り得た秘密を正当な理由なく漏らしてはならない。
※退職後もこの義務は続きます。
◉ 個人情報保護法
顧客の氏名・住所・電話番号などの個人情報の取り扱いに関する厳しいルールがあり、
適切な管理と慎重な運用が求められています。
◉ 守秘義務の対象例
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顧客の氏名・住所・連絡先
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売買・賃貸の契約や交渉の詳細
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契約の有無や成立日
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財産状況や収入
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離婚・相続・転職などの事情
◆ 意外と“やっちゃってる”かも?
今回のようにピンと張った場面で守秘義務を守るのは簡単ですが、
怖いのは、油断してるときです。
たとえば――
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お酒の席で「ローン通すのギリだったんですよ〜」なんて話
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仲間内の雑談で「〇〇さんって、実は色々滞納してて…」みたいな噂話
これ、場合によってはアウトです。
(直接、本人の名前出さなくても、知っている人が聞けばわかるのもアウト)
誰が聞いてるかわかりません。ほんとに。
◆ 守秘義務は“空気を読まない”強さがカギ
「ちょっと教えてくれません?」と聞かれても、
「申し訳ありません、それはお答えできません」と即答できるかどうか。
空気を読まずに断れる強さが、守秘義務を守るコツだと実感しました。
◆ 最後に
今回の一件で、「情報を守る」という意識がより強くなりました。
油断した“ひとこと”が命取りになる――
これは、不動産業界に限らず、どの仕事でも言えることかもしれません。




