最近(に限りませんが)専門医についてのお尋ねがあります。

 

「普通のお医者さんと、専門医は違うんですか?」、「専門医を目指している先生は、何をしていてあんなに忙しいんですか?」こんな感じ。

 

本紙では以前も専門医に触れましたが、改めて専門医についてご紹介しえときたいと思います。

 

専門医とは正確には、「学会認定専門医」と言います。

 

「学会認定専門医」は医療系の各学会が、厳しい審査を行って認定する一般の医師よりも高度な専門的知識・技術を身に付けた先生達。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一例として日本脳神経外科学会の専門医認定制度を見てみると、

 

日本脳神経外科学会が指定する年間400例以上の脳外科手術を行う病院で、2年間の前記研修(いわゆる研修医の期間)。

 

さらに4年間の研修プログラムを終了しなければなりません。

 

しかもその研修プログラムを終了すれば、専門医になれるわけではないんです。

 

研修プログラムが終了して初めて日本脳神経外科学会の専門医試験の受験資格が、できるだけという厳しさ。

 

そう、4年間の研修の後、さらに試験を受け合格しなければ日本脳神経外科学会の専門医にはなれない!

 

試験は筆記試験と口頭試問に分かれており、筆記試験は脳神経疾患や脳神経外科に関する超難しい問題が250問も出される!

 

その合格者が口頭試問に進むのですが、これがまたウルトラスーパーな難関!

 

日本脳神経外科学会のホームページによると、

 

「実際に治療された患者さんの症状、診断画像や手術中の写真・動画などが実例として計9例提示されます。

 

それぞれについて一問一答形式で、診断、治療方針、手術の実際など、実地に即した診療能力が

試験官によって問われます。」ですと。

 

 

 

 

日本脳神経外科学会のホームページ

 

 

 

 

 

幼少時から必死に勉強し学年トップクラスの成績で進学校に進み、限られた人しか入れない医学部・医大に合格。

 

さらに勉強に継ぐ勉強を重ね、最も難しい国家試験である医師国家試験に通って医師となり、

2年間の臨床研修をみっちり受けた上で、さらにこの難関に挑む!

 

一体どんだけ勉強するのか想像も付きません。

 

日本脳神経外科学会における専門医試験の合格率は、これほどの研鑽を積み重ねてもようやく70%だそうで。

 

4年にわたる長期間の研修プログラムと筆記試験・口頭試問をパスするんですから、いかに日本脳神経外科学会の専門医が優秀で能力が高いか実感できますよね。

 

しかもですね。

 

日本脳神経外科学会専門医は一度試験に合格したら、それでオーケーではありません。

 

専門医資格を維持するための「専門医生涯教育制度」が用意されていて履修単位まである!

 

これは「生涯研修」と位置付けられており単位の中味は、

 

・学会等への参加や発表

 

・学術誌での論文発表

 

・日米合同生涯教育プログラムへの参加

 

さらに上記の履修単位に加えこれに加えて、

 

「5年間の認定期間に最低1回、本学会が認定する医療倫理、医療安全、医療事故、医事法制に関する研修を受講することが義務づけられています。」

 

と来るんですよ、これが。

 

日常の診療をこなしながら生涯研修の課題を、クリアしていかなければならない。

 

こうした研鑽を積み重ねないで実績・結果を残さず、腕が落ちるとみなされた場合、資格の停止・剥奪まで有り得る!

 

と規定されていますから、もう筆舌に尽くし難い研鑽を生涯にわたって送る必要があるわけで。

 

平成30年度の厚生労働省統計では脳神経外科医の先生は全国で7,147人います。

 

ところが日本脳神経外科学会の公式ホームページには、日本脳神経外科学会が認定する学会認定専門医は7,622人が登録されているという記述があるんです。

 

学会認定専門医より、脳神経外科医の方が数が少ない。

 

という事は今現場にいる脳神経外科医の大半が、日本脳神経外科学会が認定する専門医である可能性が高いわけ!

 

 

 

 

脳神経外科の手術風景

 

 

 

 

 

脳神経外科の事を病院内では略して、「脳外(のうげ)」といいます。

 

「脳外(のうげ)」の先生は、そのほとんどが、とてつもない医療知識・技術を有したエリート中のエリートなんですね。

 

そしてドクターはこういった環境の中で、名医と呼ばれ権威と目される事に人生における至高の価値観を置きます。

 

そこから「白い巨塔」のような医療ドラマも生まれるわけですが。

 

とにかくその向上心・情熱と努力はハンパではない。

 

おまけにプライドが高く自尊心も強い。

 

加えて合理主義者で完ぺき主義者。

 

従って日常の診療でも全身全霊を挙げて取り組み、失敗など考えられないほど妥協の無い徹底した診療を施します。

 

仕事が生きがいであり人生そのもの。

 

医学医療以外の事は何もかも瑣末事に過ぎない。

 

そのくらいのスタンスを確実に持っているでしょう。

 

そんな先生がですよ。

 

のんびり結婚相談所のサロンでウキウキとマッチングしたり、お見合いパーティに、いそいそ参加すると思います?

 

そんな時間や心のゆとりが彼らにあるでしょうか?

 

学会認定専門医になるような医師らしい医師である先生なら、およそ有り得ないことだと理解できるのでは。

 

学会認定専門医の意味を知ればドクター婚活の手法に関しても、様々な可能性が考えられるかと。

 

同時に先生達の価値観や感性が実感できるのではないでしょうか?