終末期ケア(1628)ー2 "意思決定支援①" | 65歳のおたんこナース

65歳のおたんこナース

22歳に看護学校を卒業して、結婚や出産を経て69歳となりました。約13年間医療療養型の病棟で、病棟スタッフと一緒に、終末期ケアに取り組んできました。
2021年には、終末期ケア専門士の資格も取得しました。
その経験を少しでもお伝え出来ればなと思っています。



うさぎ2部に分けて投稿していますロップイヤー
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星緩和ケア

スター意思決定支援①

花意思決定支援の概要

・医療やケアに関する意思決定は、
 専門的知識がなければ難しい。➡︎専門家
    (=医療者)による意思決定の支援が
    必要不可欠!

意思決定支援の5ステップ





花意思決定支援の5ステップ


流れ星Step1 現状の整理・選択肢の検討


1、現状の整理


・まずは判断に必要な患者さんの医学的情報

 を収集します。


緊急度(急いで決めるべきか?待てるか?

 むしろ待つべきか?)を判断します。


意思決定に関わる患者背景についても、

 可能な限り情報収集します。


意思決定に関わる患者背景の例

・ご本人について:事前意思の有無、性格
         価値観

・ご家族について:家族構成、ご家族各々
         の居住地や患者さん
         ご本人との関係性

・生活状況について:居住環境、経済状況
          現在の就業状況



2、選択肢の検討


・収集した情報を基に、治療やケアの選択肢と

 各選択肢の医学的妥当性

 メリット・デメリットなどを医療者間で十分

 検討します。


意思決定の難易度をざっくり判定します。






流れ星Step2 患者さんの意思決定能力の評価


・意思決定能力とは、自分の価値観と情報を

 基に物事を決める能力、細かく分類すると、

 「理解力」「認識力」「論理的思考力」

 「意思表明する力」4つからなります。


クローバーポイント

 「意思決定能力があるかないか」ではなく

 「意思決定の難しさに対して、意思決定能力

 は十分か不十分か」を考える。➡︎「知的障害

 や認知症がある=意思決定能力なし」とは

 限らない。


クローバーポイント

 意思決定能力が不十分だと思われても、

 補う方法はないか、明確な意向でなくても

 参考になる情報はないか慎重に検討する。

 ➡︎意思決定能力は、0か100ではない! 


理解力が不十分

・絵や図を用いて説明する。
・説明内容を紙に書いて渡す。
・説明後に理解度を看護師等が確認する。


挿管中で話せない

・鎮静薬などは必要最小限にする。
・筆談や文字盤を利用する。
・処置時の反応から何が不快かを推測する



流れ星Step3 説明・話し合い


1、意思決定能力が十分な場合

  ➡︎患者さん自身による意思決定を支援


クローバーポイント

 意思決定をするには、医師からの病状説明

 が必要不可欠!

 客観的な情報だけでなく、必要に応じて

 専門家としての推奨・助言を行う。


クローバーポイント

 患者さんの価値観や意向、気がかり、悲嘆

 や苦悩といった感情など、患者さんしか

 知りえない情報をしっかり聞き取ることも

 重要。

 



1、意思決定能力が不十分な

  場合➡︎代理意思決定を検討


・代理意思決定においては、以下の3点が

 重要となります。


❶あくまで「患者さんご本人にとっての最善」

 が重視されるべきで、「ご家族や医療者に

 とっての最善」になってしまわないように

 注意する。


※意思決定の内容によっては、患者さんの心身

 に害を与えうるため


一人で決めない(決めさせない)、複数の関係

 者で協議する。


※主観による偏りを避け、誰かに責任が集中

 することも避ける


一度で決めない 状況や気持ちの変化に

 配慮し、いったん結論が出たとしても、

 必要に応じて繰り返し検討する。



・代理意思決定者は誰でも良いわけでなく、

 以下のような条件が必要です。


❶医師からの十分な説明を受けて、病状等を

 理解している。


❷患者さんご本人にとっての最善を考えて

 意思決定することができる。


❸患者さんの人間性や考え方をよく知って

 いる。➡︎たとえば、何十年も会っていない

 親戚や、仕方なく最低限の手伝いをして 

 くれている知人などは、代理意思決定者と

 して適切とはいえない。

 ➡︎適切な代理意思決定者がいない場合は

 複数の医療者で対応を協議、そのプロセスや

 結論をカルテに記載し、ご家族や関係者が

 いれば説明する。




流れ星Step4 方針決定


・話し合いで結論が出た!…と油断しては

 いけない。


1、認識のズレや疑問が 

      ないか確認


クローバーポイント

 医療者が「説明した」「決めた」と思っても

 患者さんやご家族が誤解していることは

 本当によくある。➡︎確認例)話し合いの最後

 に決定事項を要約して伝え、誤解がないか

 確認、看護師らが説明後に患者さんやご家族

 の理解・認識を改めて確認する。



2、必ず記録を残す


クローバーポイント

 いくら時間をかけて話し合っても、

 記録がなければ客観的には「やっていない」

 と見なされる。

 面倒でも必ずカルテに記録を残す。


最低限カルテ記載すべき事項

・説明内容(誰と誰が、いつ、何について
 話したのか)

・患者さんやご家族の発言(認識、意向、
 説明への反応、質問)

・結論(何が決まったのか、何が決まって
 いないのか)




3、重要な決定事項は

    関係者に直接伝える


・話し合いの結果を関係各所に迅速・確実に

 伝えるには、電話などで直接伝えるのが

 一番だし丁寧です。


・カルテ記載だけだと読まれないことが

 あります。




流れ星Step5 事前意思


・患者さんが意思決定困難となった場合の

 対応を事前に話し合う意義は…


❶患者さん:もし意思決定を行えなくなっても

      自分の意向を示せる


❷ご家族など:代理意思決定で患者さんの意向

       を推定する根拠となる


❸医療者:たとえば、主治医らが不在のときに

     患者さんが急変しても、当直医らが

     治療の経緯や患者さんの意向に

     沿った対応ができる


・事前意思の示し方には、大きく分けて

 二つの方法がある。


❶具体的な事前意思:医療行為などについて

          具体的な意向を示して

          おく


❷包括的な事前意思:大まかな方針や価値観

          好みだけを共有しておく


具体的な事前意思の代表例

リビングウィル:医療行為などに関する
         患者さんご本人の意向

DNAR:心肺蘇生を行わないという指示

AD(事前指示):医療行為全般に関する
        指示、
        代理意思決定者の指名

POLST:生命維持治療に関する具体的
     な指示







参考資料

 緩和ケア
 即戦力ノート
  あなたにもできる、やさしい緩和ケア
        著者 鳥崎哲平

 



     次回は、

        "意思決定支援②
       
             
                          
             について


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