終末期ケア(1508)ー2 "BPSDのとらえ方とケア 落ち着きなく歩き回る②" | 65歳のおたんこナース

65歳のおたんこナース

22歳に看護学校を卒業して、結婚や出産を経て69歳となりました。約13年間医療療養型の病棟で、病棟スタッフと一緒に、終末期ケアに取り組んできました。
2021年には、終末期ケア専門士の資格も取得しました。
その経験を少しでもお伝え出来ればなと思っています。



うさぎ2部に分けて投稿していますロップイヤー
 本文はこちらですウサギウサギウサギ


星行動・心理症状(BPSD)の
      とらえ方とケア




スター落ち着きなく歩きまわる②

認知症の人にみられる行動症状のひとつに
家のなかや外を歩きまわることがあります。

歩行機能自体に障害がなくても、
場合によっては転倒や交通事故などに
つながる可能性もある危険な行動です。

要因として、見当識障害(時間・場所・
人を認識する能力の低下)や判断力障害、
不安、焦燥などさまざまです。

また、認知症の種類によって症状も異なり
ます。




スターご家族や周囲の方が
     気をつけたいこと


ご家族や周囲の方が気をつけたいこと



見当識障害が起きると、ご自宅にいても「家に

 帰らなくては」と言って外へ出ようとすることが 

 あります。


・こういうとき、身近な方はつい「ここが家

 でしょう」「危ないから出ないで」などと否定して

 しまいがちです。周囲から見れば不可解な言動

 ですし、交通事故なども心配ですから、理屈で

 説得したくなるのは無理もないと思います。


・しかし、認知症の方の世界を頭ごなしに否定したり

 責めたりしても通じません。


徘徊には、その方なりの理由や背景があることが

 多いものです。たとえば「会社に行かなければ」

 「子どもを迎えに行かなくては」という場合は、

 いちばん輝いていた現役時代に戻りたいという

 気持ちがあるのかもしれません。


・そのため、ご家族や周囲の方は、認知症になる前の

 ご本人の生活史を知り、理由や背景を想像して対応

 することが大切です。


・「人生でいちばん幸せだった時期はいつか」

 「若い頃に好きだったことは何か」などがわかると

 ご本人が安心できるような言葉が見つかることも

 あります。


・また、普段の様子をよく観察して、ストレスに

 なっていることはないか考えてみましょう。


・もし思い当たることがあれば、できるだけストレス

 を解消するようにします。




スター徘徊で困ったときの対応方法


徘徊で困ったときの対応方法



花「家に帰る」と

       言い出したとき(帰宅欲求)


まずは「そうだね」「じゃあ、一緒に帰ろうか」

 などといったん受け止めます。


・そして「お菓子を用意しましたから、

 お茶をもう一杯どうぞ」「夕食もぜひご一緒に」

 「明日の朝送りますから、今夜は泊まっていって

 ください」などと声をかけてみましょう。


・また、ご本人が好きなことを話題にしたり、

 得意なことを頼んだりして関心をそらすと、

 帰ろうとしたことを忘れて落ち着く場合があり

 ます。


・「帰る理由」がころころと変わることもありますが

 ご本人のお話に合わせてうまくサポートをすること

 が必要です。




花同じコースを歩き続ける

 とき(周徊)


原因や目的がはっきりしない周徊の場合は、

 無理に妨げずに見守ることも方法のひとつです。


・危険な場所を歩いていないかなどを確認しながら、

 安全に歩けるように配慮しましょう。


脱げにくく歩きやすい靴を履いていただき、転倒の

 などの危険防止につとめます。


疲れても休まずに歩き続けてしまうことがあるため

 休息が取れるような工夫も必要です。


・制止するのではなく、ご本人が好きなことを提案

 して関心をそらすなどの対応をしてみましょう。




花夜間に外へ出ていこうとする


徘徊がひどくて夜間にひとりで外に出てしまう

 ときなど、やむを得ない場合は、徘徊感知機器

 (マットレス型・送信機型・人感センサー型など)や

 徘徊防止用の鍵などを活用する方法があります。




・夜間は鍵をかけても、1日中家に閉じ込めるのでは

 なく、昼間は一緒に散歩や買い物に出かけるなど

 して気晴らしをすることが大切です。


・昼間の活動量が少ない場合は、趣味の時間をつくる

 デイサービスを利用するなどして、楽しく活動

 できる環境を整えてみましょう。


・また、昼夜逆転していた方が、ショートステイを

 利用して生活リズムを取り戻すケースもあります。



花知らない間に

 外に出てしまったとき


・もし徘徊で行方不明になってしまった場合は、

 ご家族だけで探そうとせず、まずは速やかに警察に

 捜索依頼を出してください。


・次に、お近くの地域包括支援センターや町内会、

 ケアマネジャーなどにも相談しましょう。


・自治体等によっては、ご高齢者のための「SOS

 ネットワーク」を構築しています。(事前登録など

 が必要な場合があります。)





頻繁に徘徊が起こる場合は、万が一のことを考えて

 名前や連絡先などを記載したものを洋服の内側に

 縫いつけたり、お守りの中に入れたりして

 おきましょう。




・また、普段からご近所の方や近くの交番に事情を

 説明して協力を仰いでおくことも重要です。


GPS機能をもった携帯端末機を貸し出している

 自治体もありますので、お住まいの市区町村へ

 問い合わせてみてください。





参考資料

 認知症ケア
 アイデアノート
    編著 石川県こころの病院

 



     次回は、

     "行動・心理症状(BPSD)の  
        とらえ方とケア
         落ち着きなく
            歩き回る③"
 
       
            

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